令和3年9月、我国周辺における中露両軍の活動と我国/同盟諸国の対応(その1)


2021-10-14(令和3年) 松尾芳郎

令和3年9月、我国周辺における中露両軍の活動と、我国および同盟諸国の動きに関し、それぞれの公的部門から多くの発表があった。以下にその項目と内容を紹介する。注目すべきニュースは次の通り;―

  •  中国海軍4隻の艦隊が米国アラスカ州沖合のEEZに侵入、帰路鹿児島県大隅海峡を通過東シナ海へ。
  • ロシア海軍艦艇が頻繁に宗谷海峡を往来。
  • 陸自は南西諸島での不測の事態に対処するため、30年振りとなる北海道から沖縄までを含む大規模演習を開始。
  • 海自は、数回にわたり日米英蘭加共同訓練(Pacific Crown 21)を実施。

(The military threats by Russo-Chinese Forces surroundings Japan and Taiwan were reported as active. Following four were noteworthy;-

1, Chinese Naval vessels sailed into Alaskan coastal EEZ and returned to East China Sea via Osumi Strait of southern Kagoshima.

2, Many Russian Navy vessels go back and forth through Soya Strait frequently.

3. Japanese Army conducts largest military maneuvers in last 30 years, including Hokkaido to Okinawan islands, responding to the recent China and Russian activities.

4, Japanese Navy are joining the Pacific Crown 21 Naval Exercise conducting in Philippine Sea.)

防衛省

  • 9月12日発表 ロシア機による領空侵犯について

9月12日午前9時37分と同58分頃、ロシア「An-26」型多目的輸送機1機が北海道知床岬沖の日本の領空(沿岸から22 kmの圏内)を2回にわたり侵犯した。空自戦闘機(北部航空方面隊)が緊急発進、侵犯機に対し警告、即時退去を要求した。侵犯機は機体番号から民間機と見られる。外務省は外交ルートで抗議し、再発防止を求めた。

図1:(防衛省) 9月12日午前2回にわたり北海道知床岬沖の我国領空を侵犯したロシア「An-26」輸送機。現ウクライナ・キエフ「KMZ」で製造された双発小型の多目的輸送機。1968-1986年で1,400機ほど生産されたが、大半が退役、現在使われているのは200機程度。乗員2名、空挺部隊兵員42名を輸送できる。最大離陸重量24.4 ton、巡航速度440 km/hr、航続距離1,100 km、エンジンはイーウチェンコ・プロフレースAl-24VTターボプロップ・2,850 hp x 2基。

統合幕僚監部

  • 9月1日発表 中国海軍艦艇の動向について

8月31日午前零時、対馬の北東45 kmの海域を日本海から東シナ海に向かう中国海軍小型フリゲート1隻を発見した。これは8月14日に東シナ海から対馬海峡を通り日本海に航行した艦と同一である。発見・追尾したのは海自佐世保基地第3ミサイル艇隊所属の「おおたか」および厚木基地第4航空群所属の「P-1」哨戒機。

図2:(統合幕僚監部)中国海軍ジャンダオ(江島)級小型フリゲート「FFG 649」/056A型、先月当サイトで紹介済み。現在4カ所の造船所で建造中、45隻以上の配備が確認されている。054A型フリゲート・ジャンカイII型(江凱II型)/ 4,500 ton(30隻配備)よりかなり小型で満載排水量1,440 ton、兵装は同じPJ-26 60口径76 mm単装砲、対艦ミサイルはYJ-83連装発射機2機を装備、艦尾にへり発着甲板がある。

  • 9月3日発表 ロシア海軍艦艇の動向について

9月3日午前4時、北海道宗谷岬の西130 kmの海域をオホーツク海方面に向かうロシア海軍タランタルIII級ミサイル護衛哨戒艇2隻を発見した。発見・追尾したのは海自余市駐屯地第1ミサイル艇隊所属の「くまたか」。


図3:(統合幕僚監部)ロシア海軍タランタルIII級ミサイル護衛哨戒艇。超音速対艦ミサイルSS-N-22・連装発射筒を両舷に装備。現役は25隻、満載排水量462 ton、速力36 kt、兵装はSS-N-22対艦ミサイル4基と76 mm単装砲1門。

  • 9月8日発表 中国艦艇の動向について

9月3日午前10時、沖縄県久米島の北西170 kmの海域を南に進む中国海軍ルーヤンIII級ミサイル駆逐艦1隻、および午後7時に同海域を南に進む中国海軍ソブレメンヌイ級ミサイル駆逐艦1隻を発見した。2隻は宮古海峡を南下、太平洋に進出した。そして9月5日に、これら2隻は同海域を行動中のルーヤンII級ミサイル駆逐艦と合流、台湾と沖縄県与那国島の間を抜け北上し東シナ海に向け航行した。発見・追尾したのは海自横須賀基地第11護衛隊所属の「あまぎり」、沖縄基地第46掃海隊所属「くろしま」、横須賀基地第1補給隊所属「ときわ」、那覇基地第5航空群所属「P-3C」哨戒機。


図4:(統合幕僚監部)「旅洋III級 / 052D型 昆明級駆逐艦で、中国版イージス艦。同型艦10隻を配備、追加7隻を艤装中。写真は「Zibo / 156」で2020年就役、東海艦隊に所属。満載排水量7,500 ton、全長156 m、速力29 kts。VLS(垂直ミサイル発射装置)64セルに対空/対艦ミサイルを装備。

  • 9月14日発表 ロシア海軍艦艇の動向について

9月10日午前9時、北海道宗谷岬北東75 kmの海域を浮上して日本海に向け航行するロシア海軍キロ級潜水艦1隻を発見した。発見・追尾したのは海自大湊基地第7護衛隊所属「まきなみ」と八戸基地第2航空群所属の「P-3C」哨戒機。

図5:(統合幕僚監部)ロシア海軍「キロ」級潜水艦。通常動力型潜水艦で「877型」と呼ばれる。1982年から就役、ロシア海軍20隻、中国12隻、インド9隻などが運用中。司令塔に射程5 km程度の対空ミサイルを装備、浮上して発射できる。排水量は水上/2,350 ton、水中/3,950 ton、長さ70-74 m、水中速力25 kts、潜航深度は240 m。533 mm魚雷発射管6門を装備、魚雷18発を携行する。最新型「877EKM型」では全ての発射管から有線誘導魚雷を発射可能。魚雷装填は自動化され装填から発射まで3分で可能。太平洋艦隊には最新型を含め12隻ほど配備中。

  • 9月14日発表 中国海軍艦艇の動向について

9月11日午前9時、鹿児島県種子島東140 kmの海域を太平洋から東シナ海に向け進む中国艦隊を発見した。艦隊はレンハイ級ミサイル駆逐艦1隻、ルーヤンIII級ミサイル駆逐艦1隻、フチ級補給艦1隻、およびドンデイアオ級情報収集艦1隻で編成、艦隊は大隅海峡を通過して東シナ海に入った。同艦隊は8月22日に対馬海峡から日本海に入り、宗谷海峡を経てオホーツク海に入ったものと同一である。発見・追尾したのは海自鹿屋基地第1航空群所属「P-1」哨戒機、佐世保基地第2護衛隊所属の護衛艦「あさひ」。

Yahoo News 9月16日高橋浩祐氏記事によると、この4隻の艦隊は8月末にアラスカ沖、米国の排他的経済水域(EEZ)に侵入、米国防総省画像配信サービス(DVIDS)に写真が掲載された。英国ジェーンズ・デフェンス・ウイークリー誌によるとこの4隻は中国海軍北海艦隊所属の第101海上編隊とされる。当該艦隊は、上述のように8月22日対馬海峡・続いて宗谷海峡を通過、オホーツク海から千島列島を抜け、アリューシャン列島の北、ベーリング海を航行、そして8月30日にはアラスカ沖の米EEZ内に入ったのを米沿岸警備隊が発見した。

中国共産党の環球時報は9月14日付けで、今回のアラスカ沖への航海で中国海軍の遠洋航海能力を示すと共に、米国が「航行の自由」作戦を繰り返すのに対抗する措置を見せつけた、と報じた。

図6:(統合幕僚監部)055型「南昌級駆逐艦」、写真「南昌・101」は2020年就役。前級「052D型昆明級」ミサイル駆逐艦(イージス艦)から各種装備を近代化した新鋭艦。満載排水量13,000 ton、米国防総省は「ミサイル巡洋艦」と呼んでいる。同型艦は3隻が完成、3隻が建造中、追加2隻を予定。兵装は、112セルのミサイル垂直発射装置(VLS)が中心、このセルは米・西側諸国のMk.41より大きく、YJ-18対艦ミサイル、CJ-10対地巡航ミサイルも発射できる。艦砲は70口径130 mm単装砲。艦尾にはヘリ2機搭載用格納庫を備える。

図7:(統合幕僚監部)「旅洋III級 / 052D型 昆明級駆逐艦で、中国版イージス艦。同型艦10隻を配備、追加7隻を艤装中。写真は「貴陽(Guiyang) / 119」、2019年就役。満載排水量7,500 ton、全長156 m、速力29 kts。VLS(垂直ミサイル発射装置)64セルに対空/対艦ミサイルを装備。

図8:(統合幕僚監部)福地級補給艦、903型総合補給艦とも言う。写真は「903 可可里西湖」か?であれば同級の9番艦で2020年ごろの就役。満載排水量23,000 ton、全長178.5 m、速力20 kts、物資11,000 tonを搭載。

図9:(統合幕僚監部) 「ドンデイアオ級( Dongdiao-class)/東調級・情報収集艦」別名「815型情報収集艦」は満載排水量6,000 ton、中央にパラボラアンテナ・ドーム2個を始め数十個のアンテナ・センサーを装備、弾道ミサイル/巡航ミサイルの発射・着弾の情報収集が任務。同型艦は6隻ある。

  • 9月16日発表 ロシア海軍艦艇の動向について

9月14日午後1時、北海道宗谷岬の北東40 kmの海域をオホーツク海から日本海に向けて航行するロシア海軍タランタルIII級ミサイル護衛哨戒艇2隻を発見した。発見・追尾したのは八戸基地海自第2航空群所属の「P-3C」哨戒機。これら2隻は9月3日に宗谷岬を通過、オホーツク海に入ったものと同一である。

図10:(統合幕僚監部)図3を参照。

図11:(統合幕僚監部)図3を参照。

  • 9月22日発表 中国海軍艦艇の動向について

9月18日昼、宮古島東130 kmの海域を北西・東シナ海に向けて航行する中国海軍ジャンカイII級フリゲート1隻を発見した。発見・追尾したのは海自沖縄基地第46掃海隊所属「くろしま」、那覇基地第5航空群所属の「P-3C」哨戒機。

図12:(統合幕僚監部)「ジャンカイII/江凱II」型は「054A」フリゲート、2008年に写真の1番艦「舟山・529」が就役。満載排水量4,500 ton、全長137 m、速力27 kt、HQ-16対空ミサイルを32セルVLSに収納。対艦ミサイルは艦中央にYJ-83型を4連装発射機2基に搭載している。[045A]型フリゲートは外洋艦隊用で防空能力を強化。同型艦は30隻が就役済み。

  • 9月22日発表 ロシア海軍艦艇の動向について

9月19日午後11時、北海道宗谷岬西北西145 kmの海域をオホーツク海方面に進むロシア海軍太平洋艦隊旗艦スラバ級ミサイル巡洋艦1隻を発見した。発見追尾したのは余市分屯地第1ミサイル艇隊所属の「くまたか」と八戸基地第2航空群所属の「P-3C」哨戒機。(写真省略)

  • 9月22日発表 ロシア海軍艦艇の動向について

9月20日午前3時、北海道宗谷岬北35 kmの海域をオホーツク海から日本海に向けて航行するロシア海軍グリシャV級小型フリゲート1隻およびアムガ級ミサイル補給艦1隻を発見した。発見追尾したのは海自余市分屯地第1ミサイル艇隊所属「くまたか」と八戸基地第2航空群所属の「P-3C」哨戒機。

図13:(統合幕僚監部)グリシャV級小型フリゲート(375)

図14:(統合幕僚監部) アガム級ミサイル補給艦

  • 9月22日発表 ロシア海軍艦艇の動向について

9月21日午前11時、北海道宗谷岬北東65 kmの海域を日本海に向け進むロシア海軍ナヌチカIII級ミサイル護衛哨戒艇1隻を発見した。発見・追尾したのは八戸基地第2航空群所属の「P-3C」哨戒機。

図15:(統合幕僚監部)ナヌチカIII級ミサイル護衛哨戒艇(450)

  • 9月25日発表 ロシア海軍艦艇の動向について

9月23日午前1時、北海道宗谷岬の西135 kmの海域をオホーツク海に向け航行するロシア海軍ウダロイI級駆逐艦1隻を発見した。発見・追尾したのは海自余市分屯地第1ミサイル艇隊所属の「わかたか」。

図16:(統合幕僚監部)露太平洋艦隊所属のウダロイI級駆逐艦(564)、「アドミラル・トリプツ」。8,500 tonの大型艦で、強力な対空、対潜戦闘能力を備える。

  • 9月27日発表 中国艦艇の動向について

9月24日午前9時、宮古島の南85 kmの海域を北東・東シナ海に向けて航行する中国海軍ジャンカイII級フリゲート1隻を発見した。発見・追尾したのは那覇基地海自第5航空群所属「P-3C」哨戒機と沖縄基地第46哨戒隊所属「ししじま」。

図17:(統合幕僚監部)ジャンカイII級フリゲート(548)。「ジャンカイII/江凱II」型は「054A」フリゲート、写真(548)は「益陽(Yiyang)、2010年就役で東海艦隊に所属。満載排水量4,050 tin、同型艦は30隻配備中。詳しくは「図12」説明を参照。

陸上幕僚監部

  • 9月9日発表 令和3年度陸上自衛隊演習について

「不確実性を増す安全保障環境(尖閣諸島、台湾、沖縄列島を指す)の中、各種事態に対応するため、陸自は、30年ぶりとなる大規模実動演習を実施する。期間は令和3年9月15日から11月下旬にかけての2ヶ月以上にわたる。

場所は全国にある各駐屯地、分屯地、演習場など。演習部隊は、陸自陸上総隊、各方面隊、防衛大臣直轄部隊、支援部隊は海上自衛隊、航空自衛隊、在日米陸軍。

訓練内容は、①出動準備訓練、②機動展開訓練、③出動整備訓練、④平坦・衛生訓練、⑤システム通信訓練。訓練の特徴は、作戦の準備段階に焦点を当てて5つの訓練を実施し、運用の実効性の向上と、抑止力の強化を図る。海自、空自、米軍からの輸送支援を受け、民間の輸送力を活用し、全国規模の機動展開や補給輸送実施する。

図18:(陸上幕僚監部)陸上自衛隊の各方面隊、師団、の配備図。今回の演習には、北は旭川の第2師団から南は沖縄の第15師団まで全てを動員して実施中。

  • 9月28日発表 令和3年度米比共同訓練(カマンダグ21)への参加について

9月28日から10月8日に掛けてフィリピン国内演習場で行われる米比両海兵隊の実動演習(災害時の救助活動が主)に陸自水陸機動団を派遣、演習に参加する。

海上幕僚監部

  • 9月1日発表 パラオ親善訓練の実施について

9月1日、海自の令和3年度インド太平洋方面派遣訓練部隊はパラオ周辺においてパラオ共和国海上保安局艦艇と、通信訓練、戦術運動訓練、捜索活動訓練を実施した。参加したのは海自ヘリ空母「かが」、護衛艦「むらさめ」、「しらぬい」、パラオ海上保安局巡視船「ケダム」、「レメリークII」。海自艦隊は訓練終了後2日から4日の間コロール港に寄港した。

  • 9月2日発表 日英米蘭加共同訓練(Pacific Crown 21-3)について

9月2日から7日の間、東シナ海から太平洋上の四国沖および関東沖の海域で、イギリス海軍空母打撃群を中心に米海軍、オランダ海軍、およびカナダ海軍と共同訓練を実施した。目的は、海自の戦技向上と参加国海軍との連携の強化。訓練項目は、対抗戦、防空戦、対潜戦。

参加部隊は次の通り;―

・海自:ヘリ空母「いせ」、護衛艦「あさひ」、「はるさめ」、「たかなみ」、「きりしま」、「おおなみ」、「てるずき」と搭載の「SH60J、SH-60K」ヘリ、潜水艦1隻、「P-1」哨戒機。

・空自:第3航空団・三沢、第5航空団・新田原、第8航空団・築城、第9航空団・那覇、警戒航空団・浜松、第1輸送航空隊・小牧、から「F-2」戦闘機4機、「F-15」戦闘機8機、F-35A戦闘機2機、「E-767」早期警戒管制機1機、および「KC-767」空中給油機1機、

・英空母打撃群:空母「クイーン・エリザベス」、駆逐艦「デフェンダー」、「F-35B」戦闘機

・米海軍:ミサイル駆逐艦「ザ・サリバンズ」、「F-35B」戦闘機、「P-8A」哨戒機

・オランダ海軍:フリゲート「エファーツエン」、

・カナダ海軍:フリゲート「ウニペグ」、

図19:(航空自衛隊)空自の「E-767」早期警戒管制機(AWACS)。ボーイング767に、707母体の[E-3]セントリーのシステムを搭載したAWACS。1998年から引渡し開始、空自は2016年までに4機を受領し、浜松基地の警戒航空隊第602飛行隊が運用中。

  • 9月3日発表 日米共同訓練について

9月2日、関東南方の海空域で海自護衛艦「たかなみ」は米カール・ビンソン空母打撃群/Carl Vinson Carrier Strike Group (CSG-1)の空母「カール・ビンソン/ Carl Vinson  CVN 70」と共同訓練を行なった。目的は海自の戦技向上と日米海軍の相互運用性の向上のため。

  • 9月6日発表 日米共同訓練(ILEX 21-4)について

9月4日東シナ海海域で海自補給艦「ときわ」は、米第7艦隊のミサイル駆逐艦「バリー (USS Barry / DDG-52」に補給・給油を実施した。

第7艦隊ニュースによると、「バリー /DDG-52」はこの後9月17日に東シナ海から台湾海峡を通過南シナ海に入り、「航行の自由作戦」を実施した、と報じた。

これに対し中国軍China Militaryは、中国東部軍管区の艦艇を派遣「バリー」を追尾、全ての行動を把握した。頻繁な西側艦艇の台湾海峡侵犯は地域の平和を脅かす行為で、断固非難する、と述べた。

図20:(海上幕僚監部) 海自補給艦「ときわ」に接近、補給を受ける米第7艦隊駆逐艦「バリー/USS Barry (DDG-52)」。「バリー」は、アーレイ・バーク(Arleigh Burk)級ミサイル駆逐艦(イージス艦)で1992年就役、満載排水量9,000 ton、速力30 kts以上、Mk 41 VLS・90セルにはSM-2対空ミサイル、BGM-109トマホーク対艦ミサイル、RUM-139 VL-ASROC対潜ミサイルを収納する。

  • 9月7日発表 日英米蘭加共同訓練(Pacific Crown 21-4)について

既述の「[9月2日発表 日英米蘭加共同訓練(Pacific Crown 21-3)]に続いて、9月8日と9日に同じ関東南方の太平洋上の海空域で、共同訓練/戦術運動、通信訓練、発着艦訓練、PHOTEX、を実施した。参加部隊は次の通り;―

・海自:ヘリ空母「いせ」、同「いずも」、および搭載ヘリ「SH-60J / K」、「MCH-101」、

・空自:[F-35A]戦闘機、「E-767」早期警戒管制機、

・英空母打撃群:空母「クイーン・エリザベス」、駆逐艦「デフェンダー」、補給艦「タイドスプリング」、同「フォート・ビクトリア」、「F-35B」戦闘機、

・米海軍「F-35B」戦闘機

・オランダ海軍:フリゲート「エファーツエン」、

・カナダ海軍:フリゲート「ウニペグ」、

  • 9月10日発表 日本・バヌツア親善訓練の実施について

令和3年度インド太平洋方面派遣訓練部隊(IPD21)は、9月13日から同16日の間、バヌツア周辺海域において海自護衛艦「しらぬい」を派遣、バヌツア警察海上部隊と親善訓練を実施した。目的は両国の相互理解を深めるためで、通信訓練を行なった。

  • 9月17日発表 日仏共同訓練(オグリ・ベルニー)の実施について

令和3年度インド太平洋方面派遣訓練部隊(IPD21)は、9月17日太平洋上のニューカレドニア島周辺の海空域で、海自護衛艦「しらぬい」を派遣、ニューカレドニア駐在のフランス軍と共同訓練「オグリ・ベルニー」を実施した。訓練項目は防空戦、PHOTEXで、戦技向上とフランス軍との連携強化をかかるのが目的。訓練終了後、18日と19日に「しらぬい」はヌメア港に寄港した。

図21:(海上幕僚監部) 護衛艦「しらぬい」と上空を飛ぶニューカレドニア駐留フランス軍哨戒機。「しらぬい/DD-120」は「あさひ型」の2番艦、満載排水量6,800 ton、全長151 m、速力30 kts、2019年就役の新型艦。兵装は62口径5 インチ砲、20 mm CIWS対空機関砲2基、Mk. 41 VLS 32セルを装備、SH-60K哨戒ヘリコプター1機を搭載する。

  • 9月19日発表 日豪共同訓練について

令和3年度インド太平洋方面派遣訓練部隊(IPD21)は、9月18日オーストラリア北方海域で、海自の戦技向上とオーストラリア海軍との連携の強化のために共同訓練を行なった。参加したのは、海自ヘリ空母「かが」、護衛艦「むらさめ」、オーストラリア海軍哨戒艇「マイトランド(88)」。訓練項目は戦術運動、PHOTEX。訓練に先立ち9月15日〜18日に海自艦隊はダーウイン港に寄港した。

図22:(海上幕僚監部) 手前オーストラリア海軍哨戒艇「マイトランド」と奥は海自ヘリ空母「かが」

(その2に続く)