令和5年5月、我国周辺での中露両軍の活動と我国/同盟諸国の対応


2023(令和5年)-06-06 松尾芳郎

令和5年5月、我国周辺における中・露・両軍の活動と、我国および同盟諸国の動きに関し各方面から多くの発表があった。今月の注目すべきニュースは次の13項目。

(Military threats from Chinese and Russian Forces are tensed up in May. Japan and Allies conducted multiple large scale exercises for retaliation. Following 13 were major issues.

  1. 中国海軍ドンデイアオ級情報収集艦が4月29日東シナ海から対馬海峡・津軽海峡を抜け太平に出5月16日に宮古海峡を通過し日本列島を一周し東シナ海へ。
  2. 中国海軍ミサイル駆逐艦など3隻が4月30日~5月16日の間、東シナ海・対馬海峡・宗谷海峡経由、太平洋で伊豆諸島を横断、与那国島-西表島間を通り東シナ海へ。
  3. 中国軍無人偵察機が5月15日東シナ海から宮古海峡方面に飛来、反転。
  4. 中国海軍ミサイル駆逐艦など2隻が5月24日東シナ海から宮古海峡を通過、太平洋に出て宮古島南方海域を周り翌日与那国島-台湾間の海峡を北上、東シナ海へ。
  5. 中国海軍駆逐艦・揚陸艦など4隻が5月26日与那国島-台湾間の海峡を北上、尖閣諸島海域を航行。
  6. ロシア海軍フリゲートなど3隻が5月12日〜14日対馬海峡・東シナ海から与那国島-西表島海峡を通過、太平洋へ。
  7. ロシア海軍ヴィシニヤ級情報収集艦が5月19日日本海から津軽海峡を経て太平洋に進出、同23日には別の1隻が宗谷海峡を通りオホーツク海へ。
  8. 5月25日、ロシア情報収集機1機が宗谷海峡経由北方4島上空から北海道南岸・東北太平洋岸を飛行。別の1機が北海道・東北地方日本海沿岸を飛行、反転。
  9. 米軍主催「大規模広域訓練/LSGE 2023、5月15日~6月19日、に自衛隊が参加。
  10. 5月31日、済州島周辺での「Eastern Endeavor 23/安全保障構想( PSI)訓練」に自衛隊が参加
  11. 陸自、5月18日~6月21日の間北海道訓練センター実動演習を実施。
  12. 海自、5月8日~10日、5月18日~19日、5月23日~24日および5月25日、に米海軍と東シナ海・太平洋で共同訓練を実施。
  13. 空自、5月16日、米空軍・海軍・海兵隊航空隊と沖縄周辺で共同訓練を実施。

以下に各項目の説明をする。

  1. 中国海軍ドンデイアオ級情報収集艦が4月29日東シナ海から対馬海峡・津軽海峡を抜け太平に出5月16日に宮古海峡を通過し日本列島を一周し東シナ海へ。

ドンデイアオ級情報収集艦(796)「開陽星」は4月上旬からほぼ1ヶ月、東シナ海-対馬華僑-津軽海峡-太平洋-伊豆諸島横断-宮古海峡を通過、日本一周をした。5月には、再びほぼ同じ経路で日本列島を一周し、折から実施中の日米両海軍の演習海域に接近、電子情報を収集した。「開陽星 /796」は、2017年就役の新造艦。

図1:(統合幕僚監部)ドンデイアオ級(東調級/815型)情報収集艦は、満載排水量6,000ton、全長130 m、速力20 kts、艦尾にヘリ発着甲板、中央に弾道ミサイル追跡レーダー、艦橋上部に対巡航ミサイル短距離追跡レーダーおよび電子情報傍受アンテナ、などを装備する。

図2:(統合幕僚監部)ドンデイアオ級情報収集艦(796)の航跡。5月8日午後には伊豆諸島の須美寿島―鳥島間を通過している。

  • 中国海軍ミサイル駆逐艦など3隻が4月30日~5月16日の間、東シナ海・対馬海峡・宗谷海峡経由太平洋で伊豆諸島を横断、与那国島-西表島間を通り東シナ海へ。

ルーヤンIII級ミサイル駆逐艦2隻(119および121)およびフチ級補給艦(889)の3隻が4月30日から5月16日にかけて、東シナ海から対馬海峡-日本海-宗谷海峡-オホーツク海-

太平洋-伊豆諸島の須美寿島・鳥島間を横断-沖縄県与那国島・西表島間を北上、尖閣諸島を通過、東シナ海に戻った。ほぼ日本列島を一周する形だ。

これとは別に5月16日夕刻、レンハイ級ミサイル駆逐艦(102)およびジャンカイII級フリゲート(542)の2隻が、南シナ海方面から台湾東岸海域を北上、沖縄本島-宮古島間の海峡を通過東シナ海に入った。

後述の図の説明でも触れたが中国海軍は今やイージス艦を33隻実戦配備している、一方我が海自は僅か8隻、令和5年度予算で追加2隻が決まったがそれでも10隻に過ぎない。これで我が国の防衛は本当に大丈夫か、懸念される。

図3:(統合幕僚監部)ルーヤンIII級(旅洋III級)ミサイル駆逐艦は、「昆明級052D型駆逐艦」・中国版イージス艦で、同型艦は25隻。満載排水量7,500 ton、速力30 kts、70口径130 mm単装砲1門、垂直ミサイル発射装置/VLSを32セル型2基を装備する。写真(119)は「貴陽」2019年北海艦隊に就役。

図4:(統合幕僚監部)写真(121)は斉々哈爾(チチハル)、2020年8月就役、北海艦隊所属。

図5:(統合幕僚監部)フチ級(福池級)/903A型総合補給艦は、満載排水量23,000 ton、速力20 kts、同型艦は7隻が就役中。写真(889)は「太湖」2013年就役で北海艦隊所属。洋上補給用に門型ポストを2箇所(前方が燃料用、後方がドライカーゴ用)に設置。搭載物資は燃料10,000 tonを含み11,000 tonを超える。

図6:(統合幕僚監部)レンハイ級級ミサイル駆逐艦は「055型南昌級」駆逐艦と呼ばれ、満載排水量13,000 ton、2020年就役開始の新型。兵装は、70口径130 mm単装砲1門、垂直ミサイル発射装置VLS 112セルを備える。写真(102)は「拉薩(らさ)」2021年3月就役、北海艦隊所属。同型艦は8隻ある。前述「昆明級052D型」25隻と合わせると、彼らは33隻のイージス艦を運用している。

図7:(統合幕僚監部)「ジャンカイII/江凱II」型は「054A」フリゲート、満載排水量4,000 ton、全長134 m、速力27 kt、HQ-16対空ミサイルを32セルVLSに収納。対艦ミサイルYJ-83型を艦中央にある4連装発射機2基に搭載。外洋艦隊防空用で防空能力を強化している。写真(542)[棗荘/Zaozhuag]は2019年就役北海艦隊所属。同型艦はすでに40隻が就役済み。

図8:(統合幕僚監部)レンハイ級ミサイル駆逐艦など3隻、4月30日~5月16日の間、東シナ海・対馬海峡・宗谷海峡経由太平洋で伊豆諸島を横断、与那国島-西表島間を通り東シナ海への航跡、および、5月16日のレンハイ級ミサイル駆逐艦らの南西諸島周辺での航跡を示す図。

  • 中国軍無人偵察機が5月15日東シナ海から宮古海峡方面に飛来、反転。

5月15日昼間、偵察型無人機「BZK-005」が東シナ海から沖縄本島-宮古島間の宮古海峡を通過太平洋に出、反転して同じコースで東シナ海に戻った。空自南西航空方面隊第9航空団所属のF-15J戦闘機が緊急発進、警戒に当たった。鈍足の無人機に対し、高速の有人戦闘機が追跡・監視する非効率さが問題視されている。低速無人機に対しては、こちらも低速無人機、例えばMQ-9リーパーなどでスクランブルする方が望ましい。

図9:(統合幕僚監部/航空自衛隊撮影)無人機BZK-005は中高度長時間滞空型の多用途機。細長い主翼と双ブーム後端に尾翼を持つ。機首下面にEO/IRセンサー、データ送受信器を搭載する。翼幅18 m、滞空時間40時間、ペイロード150 kg、速度200 km/hr。

  • 中国海軍ミサイル駆逐艦など2隻が5月24日東シナ海から宮古海峡を通過、太平洋に出て宮古島南方海域を周り翌日与那国島-台湾間の海峡を北上、東シナ海へ。

5月24日-25日の間、ルーヤンII級ミサイル駆逐艦(152)およびジャンカイII級フリゲート(515)が東シナ海から沖縄本島-宮古島間の宮古海峡を通過、太平洋に出、宮古島・石垣島など南西諸島の南を周り、与那国島と台湾の間の海峡を通過、再び東シナ海に戻った。

図10:(統合幕僚監部)「ルーヤンII型」は「旅洋II型/052C型」駆逐艦で「蘭州級」とも呼ばれる。前述「旅洋III型/052C型」の前身のミサイル駆逐艦で6隻が作られた。満載排水量7,000 ton、VLSは6セル回転式を8基、合計48発のミサイルを搭載する。艦番号「152」は「済南」、2014年の就役、東海艦隊に所属。

図11:(統合幕僚監部)「ジャンカイII/江凱II」型は「054A」フリゲートについては前述を参照。艦番号「515」は「浜州」2016年就役、東海艦隊所属。

図12:(統合幕僚監部)5月24日-25日のルーヤンII級ミサイル駆逐艦など2隻の航跡。中国艦の尖閣諸島、台湾近海での示威航行が目立つ。

  • 中国海軍駆逐艦・揚陸艦など4隻が5月26日与那国島-台湾館の海峡を北上、尖閣諸島海域を航行。

5月26日夕刻、沖縄県与那国島と台湾の間の海峡を、ソブレメンヌイ級駆逐艦1隻、ジャンカイ級フリゲート1隻、およびユージャオ級揚陸艦2隻の計4隻の艦隊が、太平洋から東シナ海に向け航行、尖閣諸島接続水域近傍を通過した。

本件に限らず最近の中国軍の行動は、日本・台湾に対し威圧的な軍事活動を常態化している、と言って良い。自衛隊による追尾・監視だけでなく更に踏み込んだ対応をしないと、相手はますます増長する。

図13(China Military)「ユージャオ(玉昭)級揚陸艦」は「071型揚陸艦」で2006~2020年で8隻建造された。満載排水量25,000 ton、速力23 kts、Z-8輸送ヘリを2~4機、エアクッション揚陸艇を4隻搭載する。Z-8輸送ヘリは、フランス製SA 321 Super Frelon大型ヘリのコピー版。揚陸艦の搭載能力は装甲車両15~20輌、上陸兵員500~800名。

  • ロシア海軍フリゲートなど3隻が5月12日〜14日対馬海峡・東シナ海から与那国島-西表島海峡を通過、太平洋へ。

ロシア海軍ステレグシチーII級フリゲート2隻(333および335)およびドウブナ級補給艦の計3隻は、5月12日に日本海から対馬海峡を南下、東シナ海に入り、沖縄県与那国島-西表島間の海峡を通過、太平洋に進出した。

図14:(統合幕僚監部)ステレグシチーII級(Steregushchiy class II)フリゲートは「20381型警備艦」と呼ばれ、沿海用汎用警備艦で防空能力が強化されている。満載排水量2,200 ton、速力27 kts、兵装はA-190 100 mm単装砲1門、30 mm CIWS 2基、3K96リドウート対空ミサイル(射程40 km)発射用VLS 12セルを装備。同型艦は8隻、写真「333」は「ソヴェルシェンヌイ」で2017年就役、太平洋艦隊に所属。

図15:(統合幕僚監部)写真「335」は「グロムキー」2018年就役、太平洋艦隊に所属。

図16:(統合幕僚監部)満載排水量12,500 ton、速力15 kts、1973~1979年に建造され、4隻あり2隻「イルクート」および「ベチェンガ」が太平洋艦隊に配属中。元来は門型の洋上補給装置を2個装備していたが、この2隻からは撤去され、主に横ずけで補給をする。燃料など7,000 ton、貨物1,500 tonの積載能力がある。写真は「べチェンガ」のようだ。

  • ロシア海軍ヴィシニヤ級情報収集艦が5月19日日本海から津軽海峡を経て太平洋に進出、同23日には別の1隻が宗谷海峡を通りオホーツク海へ。

ロシア海軍ヴィシニヤ級情報収集艦(208)が5月19日~20日に日本海から津軽海峡を通過太平洋に進出した。更に同型艦(535)が5月23日宗谷海峡を通過オホーツク海に入った。

図17:(統合幕僚監部)ヴィシニヤ級(Vishnya class)は「864型二等中型偵察艦」とも呼ばれ、旧ソ連時代1980年代にポーランド・グダニスク造船所で7隻が建造され、現在もロシア海軍で使用中。満載排水量3,400 ton、速力16 kts、写真は「SSV-208」クリルイ。1987年就役、太平洋艦隊所属。

図18:(統合幕僚監部)写真は「SSV-535」カレリヤで1986年製造、太平洋艦隊所属。

  • 5月25日、ロシア情報収集機1機が宗谷海峡経由北方4島上空から北海道南岸・東北太平洋岸を飛行。別の1機が北海道・東北地方日本海沿岸を飛行、反転。

ロシア軍情報収集機「IL-20」が5月25日沿海州から飛来、北海道東岸沿いに宗谷海峡-オホーツク海から太平洋三陸沖に進出、反転して同じ航路で戻った。

また、同日、別の同型機が日本海上を北海道西岸本州東北地方西岸沿いに飛行、佐渡島沖で変針、ウラジオストク方面に立ち去った。

図19:(統合幕僚監部)5月25日飛来したのは「IL-20M情報収集(ISR)機」。「IL-20M」はイリューシン「IL-18」ターボプロップ輸送機を電子情報支援機に改造した機体。NATOコードでは「クート(coot)」と呼ぶ。長さ37.4 m、翼幅35.9 m、エンジンはAI-20Mターボプロップ4,350 hp X 4基、最大離陸重量64 ton、巡航速度675 km/hr、航続距離は約4,000 km。

図20:(統合幕僚監部)5月25日、IL-20M情報収集機2機の飛行航跡を示す図。

  • 米軍主催「大規模広域訓練/LSGE 2023、5月15日~6月19日、に自衛隊が参加。

米インド・太平洋軍(US Indo-Pacific Command/INDOPACOM)は、5月24日から8月19日の間「Large Scale Global Exercise 23 /大規模広域訓練(LSGE 23)」を実施中。米軍からは陸軍、空軍、海軍、海兵隊、宇宙軍が参加する。この訓練には日本からの3自衛隊を含む同盟各国軍が参加し、インド-太平洋区域の平和と安定を維持するための共同作戦の技量向上を目指す。

  1. 5月31日、済州島周辺での「Eastern Endeavor 23/安全保障構想( PSI)訓練」に自衛隊が参加・

5月30日~6月2日の間、韓国が主催する済州島海域で行う「Eastern Endeavor 23 /安全保障構想 (PSI = Proliferation Security Initiative)訓練」に海自護衛艦1隻が参加する。これは海上阻止実働訓練で、我が国の他オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、米国が参加する。この訓練は大量破壊兵器、ミサイル、それらの関連物資の拡散を防止するための訓練。

  1. 陸自、5月18日~6月21日の間北海道訓練センター実動演習を実施。

陸上自衛隊は、危機感の高まる安全保障環境への対応能力を向上するため、令和5年度北海道訓練センター実働対抗演習を実施する。期間は5月18日-6月21日の間、際1師団(東京都練馬が駐屯地の地域配備師団)および第2師団(北海道旭川が駐屯地の機動師団)が参加して、実戦的環境下で各部隊の任務遂行能力を向上させるのが目的。演習の概要は次図の通り。

  1. 海自、5月8日~10日、5月18日~19日、5月23日~24日および5月25日、に米海軍と東シナ海・太平洋で共同訓練を実施。

海上自衛隊は、戦技向上のため次の通り米軍と共同訓練を実施した。

  • 5月8日~10日

太平洋上空域で、海自から「EP-3」と「OP-3C」、米海軍から「EA-18G」が参加して電磁機動戦訓練を実施した。

「EP-3」:電子戦データ収集機(電子情報偵察機)で川崎重工で5機製造。尾部のMADブームを廃止し、胴体上下にレドームを増設、電子戦データ収集機器を装備。乗員15名、岩国基地第31航空群第81航空隊に配備。

図21:(海上自衛隊ホームページ)「EP-3」多用機(電子戦データ収集機)。離陸重量56 ton、エンジンはT-56-IHI-14ターボプロップ4,900 HPを4基。乗員は15名。

「OP-3C」:画像データ収集機(画像情報偵察機)で5機改造。MADブームを廃止し、胴体前部下面にレドームを増設、側方画像監視レーダー(SLAR)または長距離監視センサー(LOROP)を装備する。乗員10名、岩国基地第31航空群第81航空隊に配備。

図22:(海上自衛隊ホームページ)「OP-3C」多用機(画像データ収集機)。要目は「EP-3」と同じ。乗員は10名。

「EA-18G」:ボーイング「F/A-18F」複座型スーパーホーネット戦闘攻撃機を艦載型電子戦機に改修した機体。電子戦装備はノースロップ・グラマン社が開発した。米海軍で2009年末から運用開始、現在170機以上が配備されている。翼下面に外部燃料タンク(2個)、ジャミング・ポッドALQ-99 (5個)、対レーダーミサイルAGM-88C HARM(2基)などを搭載する。

海兵隊岩国基地には、第141電子戦攻撃中隊(Electronics Attack Squadron 141 /VAQ 141)が駐屯、本中隊は第5空母航空団(Carrier Air Wing 5 / CVW 5)に所属する。「VAQ 141」は「EA-18G グローラー(Growler)で編成されている。

図23:(US Navy photo by Cmdr. Ian C. Anderson)翼端に広帯域受信装置ALQ-218、下面に広帯域・低帯域用ジャミング・ポッドALQ-99が5個、外部燃料タンク2個が見える。ジャミング・ポッドの外側には中射程対空ミサイルAIM-120 AMRAAM、胴体側面に対レーダーミサイルAGM-88C HARM 2基がついている。

  • 5月18日~19日

太平洋および東シナ海で、海自から護衛艦「ありあけ」、米海軍から空母「ニミッツ」、ミサイル駆逐艦「ウエイン・E・メイヤー」が参加して各種戦術訓練を実施した。

図24:(海上自衛隊)護衛艦「ありあけ・DD-106」は、「むらさめ」型の9番艦、2002年就役、佐世保基地第1護衛隊群第5護衛隊に所属。満載排水量6,200 ton、速力30 kts、兵装は62口径76 mm単装砲1門、Mk.48 VLS  16セル1基、Mk,41 VLS  16セル1基、対艦ミサイル4連装発射筒2基、など。ヘリ2機を搭載する。

図25:(US Navy photo)原子力空母「ニミッツ (Nimitz / CVN-68)」は、「ニミッツ」級空母10隻の1番艦、1975年就役、満載排水量約10万トン、全長333 m、最大幅89 m、速力30 kts、の世界最大級の軍艦。乗員3,200 名、航空要員2,500名が乗組む。搭載機は70機程度、F/A-18E/F中心の第17空母航空団 (CVW 17)が乗り組んでいる。

図26:(US Navy) ミサイル駆逐艦「ウエイン・E・メイヤー (USS Wayne E. Meyer /DDG-108)」は、「アーレイ・バーク」級ミサイル駆逐艦の58番艦で、フライトIIAに分類される。「イージス武器システム(AWS) 7フェイズ!R」を搭載する。満載排水量9,500 ton、速力30 kts以上、兵装などは海自イージス艦「まや」級とほぼ同じ。2009年就役。同級は70隻以上になる予定。

  • 5月23日~24日

本州南方の太平洋上で、海自から「しらぬい」、米海軍から空母「ニミッツ」、巡洋艦「バンカー・ヒル」、駆逐艦「ウエイン・E・メイヤー」が参加して対水上戦演習を実施した。

図27:(海上自衛隊)「しらぬい・DD-120」は、「あさひ」型の2番艦、2019年就役、第3護衛隊群第7護衛隊に編入、大湊が定係港。満載排水量6,800 ton、全長151 m、速力30 kts、主な兵装は、62口径5 inch単装砲1門、対艦ミサイル4連装発射筒2基、Mk.41 VLS 32セルを装備。

  • 5月25日

相模湾で、海自から「SH-60K」ヘリコプター、米海軍から「MH-60R」ヘリコプターが参加して対潜水艦戦演習を実施した。

図28:(海上自衛隊)相模湾上で対潜水艦戦演習をする海自ヘリ「SH-60K」(左)と米海軍へり「MH-60R」(右)。

  1. 空自、5月16日、米空軍・海軍・海兵隊航空隊と沖縄周辺で共同訓練を実施。

5月16日沖縄周辺の東シナ基および太平洋の空域で、航空自衛隊は米空軍、海軍航空隊、海兵隊航空隊と共同訓練を実施した。参加したのは;―

  • 航空自衛隊:那覇基地第9航空団「F-15J」戦闘機8機、那覇基地警戒航空団「E-2C」早期警戒機1機、それに南西航空警戒管制団のレーダー部隊
  • 米空軍:「KC-135」空中給油機2機
  • 米海軍:「F/A-18」戦闘攻撃機4機、「EA-18G」グローラー電子戦機2機、および「E-2C」早期警戒機1機
  • 米海兵隊:「F-35B」短距離離陸垂直着陸(STOVL)戦闘機4機

図29:(航空自衛隊)「E-2C」(ホークアイ(Hawkeye))早期警戒機は、低空で侵入する敵機の早期発見が主たる任務。5人乗り、エンジンはアリソンT56-A-425・5,250馬力を2基装備。胴体上部に直径7.3 mの回転式レーダー・ドームを備える。空自では13機運用するが2023年度予算で5機(E-2D型)の追加購入が決定。ノースロップ・グラマン製で米海軍で1964年から配備が始まったが、年々改良が加えられ300機以上が作られている。現在はさらに性能向上した「E-2D」が生産中。最大離陸重量26 ton、時速650 km/hr、滞空時間は地上発進の場合は8時間。

―以上―