カテゴリー: 政治

敵は財務省にあり ‼安倍晋三回顧録で浮き彫りに

本稿は鳥居徹夫氏の寄稿である。「安倍晋三 回顧録」(中央公論新社)が2月に発売された。回顧録によると、財務省は「安倍政権批判を展開し、政権から引きずり下ろそうと画策」。「省益のためなら政権を倒すことも辞さない」と、安倍晋三は述べていた。
民主党・民進党・立憲民主党なども、財務省に迎合して財政規律を強調している。野党は、むしろ財務省の別動隊の役割を果たしている。
財務省の官僚は、時代劇の悪代官の思考回路と同じである。
緊縮財政が日本経済の悪化を引き起こし、結果的には税収減となっていても、国民生活は二の次としか思えないのが財務省である。
コロナ禍の国債大量発行でも、日本経済はパニックにはならかった。ハイパーインフレどころか、毎年2%の物価目標すら未達成であった。  
必要なことは、生活防衛と国民生活を豊かにする経済成長であり、果敢な財政出動を迅速に展開することである。

頼りない岸田首相、奮闘する自民党の面々

本稿は鳥居徹夫氏の寄稿である。約30年ぶりに首相の座を射止めた宏池会(岸田派)であるが、宏池会は財務省寄りであり、岸田首相が首相の座にあることで、財務省は何としても政権を死守したいところ。そのためには岸田文雄が自民党総裁であり首相であり続けることが肝要である。
岸田首相は突如、防衛増税を訴え、異次元の少子化対策と称して消費税率のアップも検討対象と訴えたが、多くの自民党議員が反発し岸田首相が押し切られた。
岸田首相が、積極財政論者に突き上げられて押し切られても、財務省は容認する。そして岸田政権を擁護する。
つまり岸田政権が弱体化すればするほど、財務省は自民党に譲歩する。苦境に立った岸田首相を守ろうとするから、財務省が譲歩し防衛力の強化や経済安全保障の確立が進んだ。
政府は「安保防衛3文書」の改訂も終え、防衛費の増額も予想以上に進んだ。これは安倍政権や菅政権で出来なかったことである。

存在感のない野党、安心して乱れる自民党

本稿は鳥居徹夫氏の寄稿である。政府は物価高やエネルギー対策など総合経済対策と補正予算案を決定し、国会に提出し年末の出に成立を目指す。
総合経済対策の予算規模を抑制したい財務省と、積極財政出動を求める自民党議員との間でバトルが繰り広げられた。
また来年度の防衛費をめぐっても、港湾整備費なども防衛費に含め水増ししたい財務省と、台湾有事や防衛力強化を目指す自民党議員とが火花を散らしている。来年度の当初予算の編成も大詰めを迎え、年末には「防衛3文書」が改訂される。
岸田首相は、ただでさえメディアに流され、世論調査に一喜一憂している。しかも官邸はリーダーシップを発揮せず、成り行き任せである。いま政府と与党が「安心して」乱れている。それは野党がだらしなく存在感がないからである。

岸田政権は「ホップ・ステップ・乱気流 」

昨年誕生した岸田文雄首相は、この10月で1年となる。発足時に支持率は6割を超えていたが、1年後の今日27.4%と危険水域にある。逆に、不支持率は5割程度が43%と逆転した。しかも支持率は回復の兆しすらなく、急流下りのように下がる一方である。

 岸田首相は、衆参2回の国政選挙に勝利し、2つのジンクスを打ち破った。

一つ目のジンクスは「追い込まれ解散総選挙」であり、二つ目は「寅年の参議院選挙」で、いずれも与党が敗北するというものであったが、いずれもクリアした。

衆参議員選挙に勝利し、今夏まで支持率も6割をキープし、「選挙のない黄金の3年間」で順風満帆と思われたが、ここにきて支持率はマサカの3割割れ、危険水域に突入した。

岸田政権は、いま内外とも諸課題山積。その生き残り策として浮上したのが、来年のG7広島サミットを成功させ、その勢いで解散総選挙を断行し乗り切ろうというもの。起死回生策になるのか。

自民、公明は比例で議席減; 左翼バブル崩壊の参院選

本稿は鳥居徹夫氏の寄稿である。第26回参議院選挙は、6月22日に公示され、7月10日に投開票が行われた。

公示日は、ウクライナにロシアが2月24日に武力侵略して約4カ月後であり、投開票日はその4カ月半後にあたる。

自民党は、一人区で28勝4敗と大勝したが、比例では伸び悩んだ。立憲民主党は選挙区で6議席減と大敗したが、比例では現状維持であった。

維新の党も比例では伸びたが、選挙区では停滞したコロナ対応と経済再生が問われる中、勤労国民の所得増によって内需拡大を図る政策へ、政府と自民党自身が大きくカジを切ろうとしている。

生活者・勤労者は、普通の市民であり消費者であり納税者である。そして労働組合は日本最大の納税者組織である。そして政治家と政党を勤務評定するのが、政治活動であり選挙活動なのである。

岸田政権はブレブレ・グタグダゆえに崩壊せず?

本稿は鳥居徹夫氏の寄稿です。昨年秋の総選挙から半年が経過し、岸田文雄首相が就任した。また立憲民主党は泉健太代表が選出された。さらには労働団体の連合で、初の女性会長として芳野友子が就任した。
この半年間を見ると、岸田首相や立憲民主党の泉代表は頼りなく、フラフラして軸足が定まらない。それに比べて連合の芳野会長はブレることなく安定感がありドッシリしており、ウクライナのゼレンスキー大統領のように頼りがいがある。
岸田首相は、左翼論調のメディアの顔色を気にしブレブレだが、世論調査政権とも言い訳政権とも揶揄されている。

連合は共産排除、立憲民主は共産党と共闘継続 !!;

本稿は鳥居徹夫氏の寄稿です。労働団体の連合は、先の総選挙総括での立憲民主党と共産党との共闘に反対を表明した。一方共産党は、共産党を含む共闘否定の連合に反発した。立憲民主党やメディア、そして自民党議員においても、労働組合は「反政権、反米・反安保・反体制」というイメージが強い。
労働組合が、一部野党の候補者を応援することをもって、労働組合は政党の下請け機関であるかのような報道も一部に行われている。労働組合が、あたかも左派勢力であるかのような誤解を与えている。
労働組合は、勤労者の雇用・労働政策など政策制度課題の解決を目指す政党や議員を支持し、選挙活動にも取り組むのである。
かつてロシア革命を牽引したレーニンは「労働組合などの大衆組織は、前衛党(共産党)によって指導される」とするドグマで、労働者・人民を扇動した。
労働組合も政党も、それぞれの目的をもった独立した組織である。ましてや労働組合は、革命や大衆運動の組織体ではなく、政党の下請け機関ではない。
労働組合は、組合員の「政治的、経済的、社会的地位の向上」を目指し、勤労者の生活向上と深く関わる政策制度課題の解決に向けて、政党や政治家と支持協力関係を持つのである。

激戦区で競り勝った自民党‼ 立憲民主党が敗北

本稿は鳥居徹夫氏の寄稿です。10月31日投開票の総選挙は、マスコミの予想が大いにハズれ、自民党は単独で絶対安定多数の61議席を確保した。野党の立憲民主党は14議席減の96議席。共産党も2議席減の10議席であった。とりわけ激戦区で競り勝った自民党候補が多かった。
有力議員が多く落選した立憲民主党は、枝野代表が辞意を表明した。共産党への依存度を増す立憲民主党に、労働団体の連合は距離を置き始めた。
来年は参議院選挙がある。特に比例代表における参議院選挙と今回の総選挙と連動したのが自民党で、連合と不協和音が目立ったのが立憲民主党であった。

岸田総理を選出‼再エネ狂奏の湘南グレタ隊は座礁

本稿は鳥居徹夫氏の投稿です。10月4日召集の臨時国会で、岸田文雄が第100代目の首相に指名された。それに先立ち自民党総裁が、菅義偉から岸田文雄に交替した。自民党総裁選挙(任期満了)の結果を受けて、自民党の役員人事が行われ、幹事長に甘利明、政策調査会長に高市早苗が選出された。自民党は、11月中旬とみられる総選挙に向けて、政策づくりに取り組むが、その責任者は政調会長の高市早苗議員である。自民党の総選挙アピールには、日本の国家観、日本のあるべき姿、日本の進むべき道を、国民の生命と財産を守ることを基本姿勢とすべきである。高市氏は政策調査会長として、目前に迫った衆議院総選挙の自民党の公約づくりに作業に着手しており、『美しく、強く、成長する国づくり』、『日本経済強靱化計画』などを基軸に提示するとみられる。

「前門の野党、後門の財務省」の自民党、求められる積極財政

本稿は、鳥居徹夫氏の寄稿である。菅政権は窮乏する国民生活を軽視し、いまや「財務省のために働く内閣」となっていると言っても過言ではない。

日本経済は、デフレから脱却できていない。コロナ禍では、現金給付はもとより公共投資など財政支出を拡大し、市場にお金を流すことである。

昨年2020年春に当時の安倍政権が一人あたり一律10万円の給付を行ったが、今年2021年度は一律給付を求める目立った動きはない。

米国のバイデン大統領は、コロナ対策とし日本円で200兆円を計上し、すでに議会で法律が成立した。所得制限はあるにしても、そこには1人約15万円の現金給付を実施することも含まれていた。

そもそも現行の事業者や生活困窮者を対象とする対応では、どのように判断するのか、審査の基準は何なのか、不公平が生じないか、などの問題点もある。しかも申請者のみが対象となる。

立憲民主党なども、財務省に迎合して財政規律を強調している。与野党とも、財務省の財政緊縮路線を攻撃しない。野党と財務省の思考は同じで、むしろ財務省の別動隊の役割を果たしている。

必要なことは、財務省のインチキ財政危機の主張を押し切り、積極的な財政出動を展開することである。