東京五輪開催阻止に回った中国、韓国。揉み手外交は止めるべし


ーASEANなど”親日国家”と”友好の輪”拡大で新たな成長と繁栄の途を探ろうー

2013-09-10 伊達国重

西暦2020年(平成32年)の夏期オリンピック開催地に東京が決まった。立候補した東京、イスタンブール(トルコ)、マドリード(スペイン)の3都市で争われたが、9月8日の最後の『招致説明会(プレゼンテーション)』での真心の訴えが奏功し、東京招致を手にした。高円宮久子妃殿下の見事な仏語スピーチ、安倍晋三首相の力のこもった招致説明がIOC委員の胸を打ち、勝利を呼び込んだのは日本人の誰しもが認めるところだ。ありがとう、ご苦労さんとアルゼンチンに飛んだ招致関係者に御礼を申し上げ,その労をねぎらいたい。今、日本人が今回の東京五輪開催決定で心のモヤモヤから開放され、日本の将来へ自信と希望を持ち出した。

日本人は目標が決まれば、それに向けてたゆまぬ努力と精進を積み重ねて突き進む国民だ。戦後の歴史をみてもこうした国民性が如実に証明される。所得倍増計画の実現、鉄道に革命を起こした東海道新幹線開通、アジア初の東京五輪開催(1964年)—–。

しかしバブル経済崩壊から20年以上続いたデフレ経済が、日本の進路を狂わせ、国民から自信を奪ったのである。国家目標の欠落、人心は年々倦み若者はチャレンジの世界から距離を置き、退廃自虐の世界へ逃げ込んだ。マスコミの責任も重大だ。その行き着く先が疝気筋の民主党に政権を任せるとんでもない失態をおかすことになった。結果国民には国難を呼び込む鳩山由紀夫、菅直人、両”国賊”コンビに首相のポストをプレゼントしてしまった。2人は日本人の誇りと威信を完全に失墜させた。

記憶が鮮明なうちに思い起こそうではないか。2011年のM9という東日本大震災は自然災害であきらめるしかない。しかし、同時発生した福島原発事故は最高指揮官たる当時の菅首相の対応が事態を最悪につなげた。米国への支援要請を渋り”初期消火”のタイミングを失った。骨のあるまともな人物がその地位にいたら被害拡大は今より限定され、被害者対策もまだマシだった可能性がある。天災を人災にしてしまった。『罪、万死に値する』が菅には反省のかけらも無く、批判にもどこ吹く風。鳩山もその責任は菅に勝るとも劣らない。『トラスト・ミー』とほざいてワシントンの日本への信頼を完全に失った。尖閣列島の領有権で敵に公然と塩をおくり、しれっとしている。バカ殿ならまだしも国益を売り渡し平然としているのだから、つける薬がない。国民は暗澹たる気持ちだ。母親から、相続を受けた膨大な資産に脱税という本筋で国税、検察は踏み込まなかったのか悔やまれてならない。

一方、安倍晋三はマスコミの憎まれ役だ。先の衆院選挙の自民大勝後も大マスコミは、隙あらば罰点を暴こうと必至だ。もっと素直にならねば。国民の審判は民主党政権を引きずりおろし自民党に21世紀を託したのではないか。第一次安倍内閣を途中で投げ出したが、首相再登板という離れ技をしてみせた。                                                             『安倍は”運が良い男”である』と永田町のウオッチャーは看做す。運もまた実力である。土壇場で危うさが漂った東京五輪招致に、それが見て取れる。万一失敗していたら、あらさがしに狂奔する進歩派を自認する大手マスコミの一部は”反安倍”へ砲口を開いただろう。ところが大差でライバル都市を押さえると、TVの薄っぺらな大キャスターがハンドルをあわてて切り返した。あたかも東京五輪招致を最初から支持していたと言わんばかりに。信念も度胸も無い映像時代に跋扈するジャーナリストに虫酸が走る。高給を食みながら弱者に優しい振りなど沢山だ。この際主役の座を次世代の人材に明け渡してもらおうではないか。

アベノミクスは東京五輪開催決定で新たなパワーを得た。”メシア教”のエコノミストも『五輪開催は”第4の成長の矢”』と言い出した。お笑いだが、事実だ。第3の矢の反響がいまいちだったアベノミクスはこれで成功への階段を一気に昇りだした。何より9・8のIOCの決定が日本社会を基盤から変え出した。国民の心に間違いなく高揚感がみなぎり始めた。景気が回復する前兆だ。景気は読んで字の通り。気持ちの持ちように大きく左右される。日本の運気と国力がこの先あがるのは間違いない。日本に取り付いた疫病神のデフレ。それからの脱却は一両年で正夢になろう。

安倍政権は日本を国際社会で責任を果たす国家として憲法改正は欠かせぬと見ている。集団安全保障体制を実のあるものにしたいのだ。それなくして真の独立国家とは言えない。安倍晋三は国粋主義者でも軍国主義者でもない。愛国主義者なのだ。国民に独立国家として目覚め、その為の義務と責任を問うている。

西暦1964年(昭和39年)の第1回東京五輪では経済復興を果たした日本の姿を世界に印象ずけた。敗戦の屈辱からこれで日本人は精神的に立ち直った。しかしもう一つの課題はまだ成し遂げられてはいない。       マッカーサー元帥が押し付けた”占領憲法”。反米主義をあらわにする学者、高級官僚、法曹関係者、マスメディアの一部は占領憲法をもろ手で受け入れる。一体どうなっているのか。日本弱体化を願う護憲勢力は左派勢力と気脈を通じ、憲法改正が日本を滅ぼすと言わんばかりの主張をくり広げる。内外の状況は現憲法制定時と様変りしている。国際社会は日本に独立国家としての責任分担を問うている。資金ではなく連帯して世界平和を守る集団安全保障のスキームに早く加わることを促しているのだ。

安倍晋三の慧眼は、政治家として憲法改正に真っ向から取り組む決断と行動力にある。”いいとこどり”など世界では通用しないことを安倍は知り尽くしている。日米関係を真の同盟関係にし、独立国家として国益を堂々と主張するには憲法改正が欠かせぬと見る。護憲勢力が奉る周辺の大国の憲法の実態をよく知る必要がある。彼らは平和主義とは程遠く、その憲法には国益第一、覇権主義が隅々迄貫かれている。

安倍の政治姿勢に危険性を匂ったら、平和の祭典五輪開催を司るIOC委員が東京開催に賛成する訳が無い。安倍が任期中に悲願の憲法改正に風穴を開けたなら、後世の史家は『大宰相の評価を惜しみなく与える』。

それにしても隣国の中国、韓国が見せた東京五輪招致に対する露骨な妨害は、隣国への外交姿勢を改めて考え直すまたとない機会を提供した。ここまでやるかと暗澹たる気持ちにさせる。

中国は国営の新華社通信が『2020年の五輪開催地はイスタンブールに決定』を世界に速報。誤報に対する誤りも反省もいっさい受け付けない。『東京にさせたくない』の反日姿勢がありあり。日本のメディアも新華社の大失態に意外とクール。自分達がしでかしたらどうなるか知り尽くしているのにだ。              韓国も中国に負けず劣らずだ。IOCが2020年の開催予定地を最終決定する直前、福島の汚染水問題を大義名分に福島県等8県の水産物輸入を禁止すると大々的に発表した。東京開催阻止の切り札に韓国の朴槿惠政権が動いたとみられても仕方ない決断だった。その証拠に他の隣国からこの種の動きが出てこない。韓国の動きに疑問を感じているからだろう。                                        朴槿惠大統領の父親で凶弾に倒れた故朴正煕大統領の”漢河の奇跡”と呼ばれる経済近代化路線実行で、日本は製鉄など重工業分野で惜しみない支援を行なった。サムスン電子の成功の陰で、多数の日本のエンジニアの才覚が寄与したのは常識だ。朴槿惠政権の病的な反日姿勢は金大中政権以降、党派に無関係で歴代政権に連綿と受け継がれている。韓国との付き合い方は今一度考え直してはどうだろう。

反日運動を海外でも絶やさない隣国に我々はもう用はない。

–以上−