西太平洋の軍事演習帰途の中国海軍艦船が与那国島接続水域航行


ー演習で日本最南端の沖の鳥島(無人島)が標的の可能性浮上ー

2013-10-30  小河正義

西太平洋で中国人民解放軍が実施中の軍事演習『機動-5号』から帰還途中の中国海軍艦船が沖縄県・与那国島の接続水域を5時間近く航行した事実が分かった。同時に同演習が日本最南端の沖の鳥島(無人島)を標的にした可能性が浮上、中国の日本固有の領土に対するあからさまな”野心”に総理官邸、防衛、外交当局は警戒感を強めている。

防衛省統合幕僚監部は10月29日夜、中国海軍のフリゲート艦2隻が沖縄県与那国島の接続水域を長時間航行した事実を明らかにした。それによると10月29日午前5時頃、仲ノ神島南西約44㌔(与那国島南々東約49㌔)の海上を中国海軍の『ジャンカイⅡ級』フリゲート艦2隻が航行しているのを警戒中の第3護衛隊群(舞鶴)所属、護衛艦『はるゆき』(2,950㌧)が発見した。2隻は同日午前9時頃予那国島北方、約44㌔付近迄同島の接続水域を航行、日本側を事実上”威嚇”した。その後、東シナ海方面へ北東進し中国大陸へ向かったという。

尖閣諸島に加え、中国側は露骨に日本側へ新たな軍事プレッシャーをかけてきた事になる。小野寺防衛相も同日の記者会見で『こうした行動は異例』と警戒感を露にした。

『ジャンカイⅡ級『フリゲート艦は西太平洋で実施中の最大級軍事演習『機動−5号』からの帰還途中と分析される。

同幕僚監部によると、10月29日午後4時頃、宮古島北東約100㌔の海上を太平洋から東シナ海へ北西進する中国海軍『ルージョウ級』ミサイル駆逐艦2隻と『ジャンカイⅡ級』フリゲート艦1隻を哨戒中の護衛艦『いかずち』(4,550㌧)と那覇の第5航空群所属,対潜哨戒機、P3C『オライオン』が発見した。3隻とも軍事演習参加艦船で母港に帰還中と推測される。

このほか10月28日午後3時頃、沖縄本島南西約600㌔北西進する中国海軍の『ルーヤンⅠ級』ミサイル駆逐艦1隻と『ジャンカイⅡ級』フリゲート艦1隻を第3護衛隊群の護衛艦『はるゆき』(2,950㌧)が発見した。

こうした動きを勘案すると軍事演習『機動-5号』に参加する為10月23日、第一列島線を超え西太平洋海域に進出が確認された”ミニ艦隊”は大半が帰還したらしい。問題はこうした艦船の演習内容。在京国際軍事筋は中国海軍の意図は日本最南端の沖ノ鳥島を標的にしたと疑うに十分な証拠があるという。事実なら、防衛大綱での西太平洋を含む防衛戦略の早期見直しは避けられない。

–以上−