露海軍、地中海へ原子力巡洋艦など新たに投入。シリア情勢緊迫


2013-11-03     ジョン・ボスニッチ(ベオグラード)

露海軍が地中海へ原子力巡洋艦など大型艦、2隻を投入、展開中の機動部隊の戦力強化を図った事が判明した。ノーボスチ通信が11月2日、報じた。10月末、イスラエル空軍がシリアのミサイル貯蔵施設へ奇襲空爆をかけ露供給のミサイル多数が破壊されたという。防空体制を固める狙いと、イスラエルの新たな空爆への牽制が窺われ、シリア情勢が再び緊迫化しそうだ。

露海軍が投入したのは北方艦隊の旗艦、原子力推進ミサイル重巡洋艦『ピョートル・べェリキー』(24,300㌧)と太平洋艦隊旗艦、ミサイル巡洋艦『バリャーグ』(11,490㌧)。北方、太平洋艦隊の旗艦が同時に、同一海域に投入されるのは異例だ。

露海軍最高司令官、ビクトル・チェルキン提督は9月、東地中海に恒常的に機動部隊を派遣する旨、明らかにしている。規模は10隻。今回の新戦力のうち『バリャーグ』は先遣の巡洋艦『モスクワ』の交代任務だと言う。

しかし、『ピョートル・ベェリキー』、『バリャーグ』は対艦攻撃ミサイル、対空ミサイルなど重装備で『バリャーグ』は”空母キラー”の異名を持つ。地中海の制海権で優位に立つ米第6艦隊、イスラエル空軍の一帯での航空優勢にとって気がかりな動きだ。シリア南部の地中海沿い、タルトゥースに海軍基地を持つロシアにとって、アサド政権の継続はなんとしても支援したいところだ。イスラエル空軍の奇襲空爆を阻止が露海軍の戰力強化の背景と見られ、シリア情勢は再度、緊迫化しそうだ。