露航空界もLCC(格安航空会社)時代の対応急ぐ。モスクワ近郊に安い使用料の空港開港へ


2013年2月18日     ジョン・ボスニッチ(ベオグラード)

露航空界でLCC(格安航空会社)時代への対応を急ぐ動きが官民双方で浮上してきた。有力ロシアメディアはモスクワ郊外に安い使用料の空港を開設し、内外のLCC乗り入れの本格誘致を今後諮るという。開設予定の空港は軍専用の空港を開放使用、モスクワで第5の民間空港となる。使用料も既存のシェレメチエボ等のハブ空港に比べ3割引き下げられ、都心とのアクセスが多少不便でも空港競争力は十分と見込まれる。

モスクワで第5の民間空港として開港が期待されているのはイェルモリノ(Yermolino)空軍基地。モスクワの中心部から83㌔南に位置する。行政区はカルーガ・リジョン。2017年を目標に3億4千万ドルを投じ民間空港に衣替えを目指す。国防省もこの計画に前向きで予算措置を準備しているという。

既存空港の活用という事で空港使用料はシェレメチェボ、ドモジェドボ、ブヌーコボ、ブイコボのモスクワ4大拠点空港に比較して3割引き下げる方向だと言う。ロシアのUTairが国内でのLCCの立場を確立するため、保有するエアバスA321、B737型、数十機の移動展開を検討しているという。

外国勢ではイージー・ジェット、ライアンエアがイェルモリノ進出に関心を寄せている。

イェルモリノに加え、モスクワ南西部の軍飛行試験センターが併設されたラメンスコエ基地も民間機発着可能な軍民併用の動きが出ている。旧ソ連崩壊後も軍用空港は厳しい警備、使用制限が課されてきた。モスクワ周辺での新たな動きはLCC時代へ乗り遅れをクレムリンが危惧している現れだろう。