パイロットの放射線被爆問題、浮上


 

ー北極圏経由、高高度飛行の多用と太陽活動が影響ー

 

2013-10-31   マーク・デブリン(米フロリダ州マイアミ)

 

民間航空機のパイロットの放射線被爆問題がクローズアップされている。NASA(米航空宇宙局)がこのほど配信した『NASAサイエンス・ニュース』で明らかになった。高騰する航空燃料対策で北極圏経由、高高度飛行の多用が問題を深刻化しているという。同時に現在、太陽活動がピークを迎えている事が環をかけているという。NASAは放射線被爆を抑える飛行ルート選択の新システム『NARIS』の活用を推進する一方、高度別の被爆実態調査でラジオゾンデ使用で解析に着手した。

それによるとパイロットは原子力発電所で働く従業員と同一分類の職種に当てはまるという。例えば『ニュヨークー北京間の飛行で受ける被爆線量は胸部レントゲン検査、2回分に相当すると指摘する。186,000㌔を飛行した場合は20回分』(NASA、クリス・マルテンス研究員)。

なぜ、こうした放射線被爆線量に曝されるのか。ジェット機時代の到来と所要時間短縮に繋がる目的空港への直行ルートへの切り替え。プロペラ機と比べ、ジェット機は1万㍍の巡航高度を飛行する。空気が薄いため宇宙空間からの遮蔽が機体の外板だけに限られる。