2016-04-16(平成28年) 松尾芳郎
少し前になるが防衛省統合幕僚監部の発表によると、4月7日(木)と同8日(金)に相次いで中国艦艇が東シナ海から宮古島北東の宮古海峡を通過、太平洋に進出した。近年中国海軍は外洋行動能力の向上に合わせて太平洋への進出が活発になってきている。
すなわち;—
・ 4月7日(木)午後3時頃、海自第12護衛隊所属「あぶくま」と第5航空群那覇基地所属の「P-3C」哨戒機が、東シナ海から太平洋に向け南東進する中国海軍ジャンウエイII級フリゲート2隻およびフチ級補給艦1隻を確認、追尾した。
・ 4月8日(金)午前9時半頃、海自第5航空群那覇基地所属の「P-3C」が宮古島北東海域を東シナ海から太平洋に向け南東に進む中国海軍ジャンカイII級フリゲート2隻及びフチ級補給艦1隻を確認、追尾した。
以下に統合幕僚監部発表の中国艦艇の写真を掲載する。
図1:(統合幕僚監部)4月7日護衛艦「あぶくま」が北側から撮影したと思われる、南東進中のフリゲート「江衛II」(Jiangwei II)級521「嘉興」。対空ミサイルを国産からフランス製クロタルHQ−7に改め、対艦ミサイルは新しいYJ-83を4基装備する実用性の高い艦。満載排水量2,300トン、1998年11月以降10隻が就役している。本館はその初号艦である。
図2:(統合幕僚監部)同じく4月7日護衛艦「あぶくま」が北側から撮影したと思われる、南東進中のフリゲート「江衛II」(Jiangwei II)級522「連雲港」。
図3:(統合幕僚監部)同じく4月7日護衛艦「あぶくま」が北側から撮影したと思われる、本艦は中国海軍最新の大型補給艦で6隻就役中の1隻で艦番号966「高郵湖」(Gaoyouhu)は2015年就役の新鋭艦。さらに2隻が進水しており本年中に就役予定。完成すれば大型補給艦8隻が揃い、中国海軍の遠洋行動能力が著しく増大する。満載排水量23,000トンの大型艦で、燃料10,500トン、真水250トン、弾薬等の貨物680トンを搭載し、優れた外洋行動能力を持つ。前部の補給ポストは給油用、後部はドライカーゴ用ポストである。
図4:(統合幕僚監部)4月8日 P-3C哨戒機が撮影したと思われるジャンカイII「江凱II」級(054A型)フリゲート、艦番号529「舟山 (Zhoushan)」は2008年に就役。満載排水量約4,000㌧。潤沢な国防支出で現在同型艦は24隻に増えている。前甲板上の矩形状は対空ミサイル(HQ-16型)発射機32セルのVLS。艦中央には対艦ミサイル発射機2基が見える。HQ-16型対空ミサイルはロシア製9M38M2の中国版で、これを備える事により本級は僚艦防空能力を持つ。
図5:(統合幕僚監部)4月8日 P-3C哨戒機が撮影したと思われる ジャンカイII「江凱II」級(054A型)フリゲート、艦番号531「湘潭 (Xiangtan)」は2016年2月に就役したばかりの新鋭艦。詳しくは図4の説明を参照のこと
図6:(統合幕僚監部)「福地」型(Fuchi)は、903型総合補給艦とも呼ばれ、中国海軍最新の大型補給艦で4隻就役中の1隻で艦番号890「巣湖」(Chaohu)は2013年就役。詳しくは図3の説明を参照のこと。
末尾に、筆者の体調不良で最近の数週間入院治療をしていたため、本ニュースの出稿が遅れた事をお詫びする。
—以上—