アメリカンB767、10月28日シカゴでエンジン大破—続報


2016-11-09 松尾芳郎

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図1:乗客乗員が脱出した後のアメリカンB767 [N345AN]、まだ黒煙が昇っている。

 

乗客161人、乗員9名が乗るアメリカン・ボーイング767-300型機[N345AN] AA-383便が、午後2時50分にシカゴ・オヘア空港(Chicago O’Hare Airport)からマイアミに向け離陸中、右翼から出火、離陸中断した件は先に(2016-11-04)報じた通り。

その後11月4日のThe Aviation Heraldは、“NTSBからの追加発表”として次のように報じている。すなわち;—

アメリカンB767はタキシーウエイN5からランウエイ28Rに入り、エンジンを離陸推力に上げ離陸滑走を開始し、6,550 ft地点で速度128 ktに達したところで右エンジン[GE製CF6-80C2] が破損した。2秒後、機速が134 ktに達したところで推力レバーをアイドルに戻し、自動ブレーキが作動、スピード・ブレーキも自動展張した。機体はそのまま滑走を続け約25秒後にランウエイ28Rの9,225 ft地点で停止したが、右翼からの燃料リークで火災が発生した。

右側エンジンの第2段高圧タービンのデイスクが破裂し4つの破片となり飛び散った。その一つは右翼を突き破り胴体を飛び越え、彼方にあるUPSの倉庫に落下した。

デイスクの破片は集められ、ワシントンのNTSBの検査部門に送られ検査をしたが、破片の一つには、ハブ内側の前部の凹みを起点とする疲労破壊の状況が発見された。

このデイスクは、使用制限15,000サイクルのところ使用実績は10,984サイクルであった。

FAAは今のところ対応措置を明らかにしていない。

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図2:(NTSB / Aviation Herald) AA B767-300右側エンジン[GE CF6-80C2] の高圧タービン2段デイスクの破損状況。前部ハブの内側からクラックが始まり疲労破壊が進行して破断に至った様子。

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図3:(NTSB / Aviation Herald)高圧タービン2段デイスクの回収された部分。写真のように4つに分かれて飛び散った。

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図4:(NTSB / Aviation Herald)オヘア空港ランウエイ28Rを中心にデイスクの破片が発見された位置関係。

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図5:(FAA)シカゴ・オヘア空港のダイアグラム。図の下から3本目のランウエイが“10L – 28R”、長さ13000 ft、幅150 ft。事故機はこの28R(右端)から滑走を始め、6,550 ft地点で右エンジンが破裂。デイスクの破片の一つが、下から2本目のランウエイ ”10C – 28C” を飛び越え、「SOUTHEAST CARGO RAMP」表示の上のUPS倉庫に落下した。

 

—以上—