令和3年6月、我国周辺における中露両軍の活動と我国/同盟諸国の対応


2021-07-03(令和3年) 松尾芳郎

 

令和3年6月、我国周辺における中露両軍の活動と、我国および同盟諸国の動きに関し、それぞれの公的部門から多くの発表があった。以下にその項目と内容を紹介する。6月の注目すべきニュースは次の通り;―

①    陸上自衛隊と米陸軍が、日本全国で「オリエント・シールド21演習」を実施した。

②    陸上自衛隊が、オーストラリア東部のショールウオーター・ベイ演習場で、米・豪・英3ヶ国軍が行う「タスマリン・セイバー21演習」に参加した。

③    航空自衛隊F-15J戦闘機6機が、アラスカで行われる米空軍主催の「レッド・フラグ21-2演習」に参加した。

④    中国陸海軍は、台湾侵攻を模して福建省沿岸で新造の強襲揚陸艦を使い上陸演習を実施した。

⑤    ロシア空軍と太平洋艦隊は中部太平洋ハワイ近海で大規模な空母打撃群攻撃演習を実施した。

(The military threats by Russo-Chinese Forces around Japan and Taiwan were reported as active. Following five were noteworthy;-

  1. Japan and U.S. armies conduct one of the largest exercise in Japan, covering Hokkaido to Okinawan Islands, named “Orient Shield 21”.
  2. Japan, U.S., Australia and British Armed Forces conduct exercise “Talisman Saver 21” at Shoalwater Bay, Queensland, Australia.
  3. U.S. Air Force conducts “Red Flag 21-2” exercise in Alaska in June, Japan has sent six of F-15J jet for joining the Red Flag.
  4. Chinese Forces conduct large scale landing exercise at Fukien coastal area, mainland China, simulated assault operation to Taiwanese island.
  5. Russian Pacific Fleet and the Air Force conduct a naval battle exercise near Hawaiian Islands, simulating to attack a potential enemy’s Carrier Strike Group..)

 

防衛省

 

6月25日岸防衛大臣記者会見

ロシア軍東部軍管区は23日我が国北方領土の択捉島、国後島領域で大規模な軍事演習を実施した。我国は外交ルートを通じて抗議したが無視されている。これは陸自と米陸軍が共同で実施中の「オリエント・シールド21演習」(後述)を牽制する意味があると考えられる。

ロシアは昨年12月に択捉・国後両島に地対空ミサイル「S-300V4」を実戦配備するなど、我国に対する軍事力を強化しつつある。

 

統合幕僚監部

 

6月1日公表  中国海軍艦艇の動向について

5月31日(月)午前8時、鹿児島県屋久島の西240 kmの海域を東に進む中国海軍ルーヤンIII級ミサイル駆逐艦1隻、ジャンカイII級フリゲート1隻およびフチ級補給艦1隻を発見した。これら3隻は大隅海峡を通過、太平洋に向け航行した。発見・追尾したのは佐世保基地第2護衛隊所属のヘリ空母「いせ」および鹿屋航空基地第1航空群所属の「P-1」哨戒機である。

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図1:(統合幕僚監部)「旅洋III級 / 052D型 昆明級駆逐艦で、中国版イージス艦。同型艦10隻を配備、追加7隻を艤装中。写真は「太原(Taiyuan) / 131」、2018年就役、東海艦隊に所属。満載排水量7,500 ton、全長156 m、速力29 kts。VLS(垂直ミサイル発射装置)64セルに対空ミサイルを装備。

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図2:(統合幕僚監部)「ジャンカイII/江凱II」は「054A」フリゲート、2008年に1番艦が就役。写真[531] は「湘潭(Xiangtan」2016年就役、東海艦隊所属。同型艦は30隻。満載排水量4,500 ton、全長137 m、速力27 kt、HQ-16対空ミサイルを32セルVLSに収納。対艦ミサイルは艦中央にYJ-83型を4連装発射機2基に搭載。

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図3:(統合幕僚監部)福地級補給艦、903型総合補給艦とも言う。写真は「890 巣湖(Chaohu)」、同級9隻中の4番艦で2013年就役、東海艦隊所属。満載排水量23,000 ton、全長178.5 m、速力20 kts、物資11,000 tonを搭載。

 

6月18日公表 ロシア海軍艦艇の動向について

6月16日(水)午後10時、対馬の南西250 kmの海域を北東・日本海に向け進むロシア海軍ウダロイI級駆逐艦1隻およびネフテガス級航洋曳船を発見した。発見・追尾したのは佐世保基地第3ミサイル艇隊所属の「しらたか」および鹿屋基地第1航空群所属の「P-1」哨戒機である。(ネフテガス級航洋曳船の写真は省略)

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図4:(統合幕僚監部)大型対潜艦・ウダロイ級駆逐艦は満載排水量7,500 ton、全長163 m、速度35 kt、強力なソナー、長射程の対潜ミサイル、ヘリコプター2機、SA-N-9型個艦防空ミサイルを装備。1980-1991年に作られ8隻が就役中で太平洋艦隊には4隻を配備。

 

 

6月21日公表 ロシア海軍艦艇の動向について

6月18日(金)午前11時、北海道宗谷岬の西北西150 kmの海域を東オホーツク海方面に向かうロシア海軍グリシャV級フリゲート2隻、およびソニヤ級沿岸掃海艇2隻を発見した。発見追尾したのは余市分屯地第1ミサイル艇隊所属「わかたか」と八戸航空基地第2航空群所属の「P-3C」哨戒機である。(写真は省略)

 

6月25日公表 ロシア機の日本海における飛行について

6月25日(金)ロシア空軍Su-25攻撃機1機がオホーツク海方面から宗谷岬を通過日本海に向け飛行した。航空自衛隊千歳基地からF-15戦闘機が緊急発進、領空侵犯を防いだ。

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図5:(統合幕僚監部)6月25日、ロシア空軍「Su-25」攻撃機の宗谷岬付近における飛行経路。

6-25 Su-25

図6:(統合幕僚監部)6月25日、宗谷海峡上空を飛行したロシア空軍「Su-25」は地上軍を近接支援するための攻撃機。2砲身30 mm機関砲1門、爆弾・ロケット弾など4.4 tonを携行する。操縦席は防弾構造、エンジンはツマンスキーR-95Sh、推力44 kNを2基装備。ジョージア共和国トリビシ航空機で1978-1089年で500機以上が生産された。

 

陸上幕僚監部

 

6月10日公表 令和3年度北海道訓練センター第2回実働対抗演習の概要について

戦車部隊、野戦特科部隊(砲兵)を含む普通科連隊(歩兵)同士の対抗演習を設定し、指揮幕僚活動を含む戦闘活動の練度向上を図る。

連隊規模の機動展開から実弾射撃訓練まで実戦に近い環境での演習となる。演習の内容は次の通り。

北海道第2実動演習

北海道

図7:(Google)北海道の陸自「矢臼別演習場」および「上富良野演習場」の位置。

 

6月10日公表 令和3年度国内における米陸軍との実動訓練「オリエント・シールド21 (Orient Shield 21)」の概要について

陸上自衛隊と米陸軍の部隊が、それぞれの指揮系統に従い、共同作戦を実施することを想定、共同処理能力の向上を図る。期間は6月18日―7月11日の間、伊丹駐屯地、奄美駐屯地、明野駐屯地、経ヶ崎分屯基地、米軍経ヶ崎通信所、饗庭野演習場、矢臼別演習場、で行う。

陸自饗庭野演習場

図8:(Yahoo) 滋賀県 饗庭野演習場の位置。報道された陸自迫撃砲弾の演習場外着弾の件は、今回の演習で生じた。

 

陸自指揮官は、中部方面総監野沢真陸将、米陸軍は在日米陸軍司令官Viet X Luong少将。

訓練参加部隊は、陸自は中部方面隊、第1特科団、中央特殊武器防護隊、など。米陸軍は在日米陸軍司令部、第40歩兵師団司令部、第17砲兵旅団、第28歩兵連隊第1大隊、第38防空砲兵旅団第1防空砲兵連隊第1大隊、など。

  • 「オリエント・シールド21」は陸自と米陸軍が国内で共同実施する訓練としては最大規模の演習。
  •  米陸軍のペトリオット対空ミサイル部隊「PAC 3 MSE」が鹿児島県奄美大島に初めて展開し、陸自が展開する中距離地対空誘導弾「中SAM」と共同で対空戦闘訓練を実施。
  •  米陸軍の高機動ロケット砲システム「HIMAES」と陸自の多連装ロケット・システム「MLES」が北海道矢臼別演習場で初めて共同火力実射演習を行う。

中SAM

図9:(陸上自衛隊)陸自03式中距離地対空誘導弾「中SAM」は、三菱電機、三菱重工/ミサイル、東芝/レーダー、が開発するシステム。射程は60 kmほどで、ペトリオットPAC-2に相当する。全国に5個高射特科群(各4個中隊編成)を展開するが、内3個高射群は沖縄・九州の西部方面隊に集中配備している。改良型の「03式中距離地対空誘導弾(改)」が2017年から配備開始、これまでに5個中隊に装備済み。これを基に派生型の艦対空ミサイルを開発、新型フリゲート「もがみ」(5,500 ton)型から搭載する。

PAC-3

図10:(Military Today.com) MIM-104 ペトリオット・システムはレイセオンが開発した地対空ミサイル・システム。トレーラー移動式で、1個発射中隊/高射隊は、PAC-3 MSE弾を16発搭載する発射機(写真、LS=launching station)5台ほどを中心にレーダーなど支援車両等10数台で構成する。空自は那覇基地に第5高射群・4個高射隊を配備している。

PAC-3 MSE

図11:(Lockheed Martin) MIM-104ペトリオットPAC-3 MSE (Patriot Advanced Capability-3 Missile Segment Enhancement)は、来襲する敵目標(航空機・弾道ミサイル・巡航ミサイル等)に直接衝突・撃破する(Hit-to-Kill Technology)弾頭を備え、パルス・ロケット2基を搭載、これまでの「PAC-3」に比べ迎撃高度と距離を5割ほど延伸している。姿勢制御は動翼/フィンだけでなく前部のサイドスラスター(ACM=Attitude Control Motor)で行い正確に着弾する。

高機動ロケット

図12:(military today ) 「M 142高機動ロケット砲システム (M142 HIARS=High Mobility Artillery Rocket System)」は装輪式自走多連装ロケット砲で、C-130中型輸送機で迅速に展開できる。軽歩兵師団や海兵隊に配備されている。「M26ロケット砲弾(M26 Artillery Rocket) / 射程45 km 以上」なら6発、「地対地ミサイルMGM-140 ATACMS(Army Tactical Missile System)/射程最大300 km」なら1発を搭載する。

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図13:(陸上自衛隊)米陸軍が使用していた「多連装ロケット・システム M270 MLRS=Multiple Launch Rocket System」」は、M2ブラッドレー歩兵戦闘車をベースにしM26またはM31(射程70 km) ロケット砲弾12発を搭載する。重量が25 tonになり輸送にはC-5 ギャラクシーなど大型輸送機が必要。陸自ではIHIがライセンス生産し約100両を導入、北部方面隊と西部方面隊に配置している。陸自はオスロ条約で子爆弾を散布する方式(M26)が禁止されたためこれを破棄、単弾頭のM31に改めた。中露両軍は条約に加盟していないので、散布型ロケット弾を多数配備、彼我の戦力差が拡大している。

 

6月24日公表 令和3年度豪州における米豪英軍との実動訓練「タリスマン・セイバー21」(Exercise Talisman Saber 21)について

「タリスマン・セイバー演習」は米豪合同演習として2005年から隔年に実施、今年で9回目。我が陸自は2015年から参加中で今年で4回目となる。

陸自部隊は令和3年度のオーストラリア・クイーンズランド州ショールウオーター・ベイ演習場で、米軍、オーストラリア軍、英軍と共同で実動演習を実施する。期間は6月25日から8月7日まで。

参加部隊は;―

  •  陸上自衛隊水陸機動団第2水陸機動連隊、担当指揮官は陸上総隊司令官前田忠男陸将。
  •  オーストラリア陸軍第1師団。
  • 米海兵隊第3海兵機動展開部隊ダーウイン・ローテーション部隊。
  •  英海兵隊ロイヤル・マリン・コマンド。

本演習はオーストラリアで行われるオーストラリア陸軍、米海兵隊、英海兵隊、と陸自水陸機動団、4カ国による初めての実動訓練となる。

4カ国軍部隊は、オーストラリア海軍艦艇を使って水陸両用作戦に関わる訓練を行う。

ショール・ウオーrーベイ

図14:(Google)オーストラリア軍ショールウオーター・ベイ(Shoalwater Bay) 演習場は、クイーンズランド州東海岸タウンズヘンド島(Townshend Island) に囲まれ、面積は4,500 km2(およそ四国の4分の1に相当)の広大な区域。

 

海上幕僚監部

 

6月3日公表 日豪共同訓練について

海上自衛隊は「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて豪海軍と共同訓練を6月2日(水)に関東地方南方の太平洋上で実施した。参加したのは海自護衛艦「むらさめ(DD-101)」と豪海軍フリゲート「バララット/HMAS Ballarat (FFH 155)」である。

6 3 日豪訓練

図15:(海上幕僚監部)手前が汎用護衛艦「むらさめ(DD-101)、上がオーストラリア海軍フリゲート「バララット/HMAS Ballarat (FFH 155)」。

「むらさめ」は、第2世代の汎用護衛艦(DD)の1番艦で同型艦は9隻、1996年の就役、満載排水量6,200 ton、速力30 kts、兵装は62口径76 mm単装砲1門、高性能CIWS 20mm機関砲2基、個艦防空ミサイル/短SAM用16セル垂直発射機(VLS) Mk.48を艦中央部に装備、対水上戦用として「90式対艦誘導弾(SSM-1B)」4連装発射筒を2基備えている。艦載ヘリは2機で、SH-60系列機を運用する。

「バララット/HMAS Ballarat (FFH 155)」は、「アンザック(Anzac)」級8隻のうちの3番艦、2004年就役、ドイツのMeko 200フリゲートを基本に豪州で建造された。速力27 kts以上。127 mm 単装砲1門、Mk.41 VLS、ハープン対艦/対地ミサイル8基の発射筒などを備える。MH-60Rシーホーク・ヘリコプターを搭載する。

 

 

6月5日公表 日米共同訓練について

海自の戦技向上と米海軍との相互運用性の向上のため、6月4日(金)日本海の海空域において共同訓練を行なった。参加したのは海自護衛艦(イージス艦)「あたご」と米海軍の「EA-18Gグロウラー(Growler)」電子戦機2機である。

6 5 愛宕・EA-18G

図16:(海上幕僚監部)海自護衛艦/イージス艦「あたご」と、遥か遠くに見えるのが米海軍電子戦機「EA-18G」。

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図17:(Wikipedia) 米海軍電子戦機「EA-18Gグロウラー(Growler)」は、空母艦載用電子戦機として、ボーイング製の複座型F/A-18Fスーパー・ホーネット戦闘攻撃機を改造した機体。レイセオン製APG-79 AESAレーダーを含み90 %はF/A-18と共通。電子戦用装備はノースロップ・グラマン社が開発・取り纏めた。ALQ-99ジャミング・システムは、両翼端に受信アンテナ・ポッド、翼下面にジャミング発射ポッド(写真では3個)を備える。システムは自動的に敵レーダーを受感・妨害電波を発射、また発射源を特定しSIGINT電波で無力化をする。EA-18Gは、F/A-18戦闘攻撃機に同行し電子戦を行い攻撃を支援する。翼胴体などに9箇所のハードポイントがあるが、必要に応じジャミングポッドを増やしたり、携行兵装/ロケット弾を装備する。2009年から米海軍で運用を開始、豪海軍でも採用2017年から使用中で、150機が作られている。

 

6月14日公表 日印共同訓練について

6月13日インド洋で海自練習艦「かしま」と「せとゆき」はインド海軍コルベット艦「クリシュ」と共同訓練を実施した。(詳細省略)

 

615日公表 日米共同訓練について

6月12日から同14日の間、海自輸送艦「しもきた」は米海軍強襲揚陸艦「アメリカ」、ドック型輸送揚陸艦「ニューオリンズ」、ドック型揚陸艦「ジャーマンタウン」と沖縄東方の太平洋上の海空域で各種戦術訓練を実施した。

6 15 New orlinse, Garman Town, America

図18:(海上幕僚監部)海自輸送艦「しもきた」から撮影した手前から米海軍ドック型揚陸艦「ニューオーリンズ(USS New Orleans / LPD 18)」、「ジャーマンタウン(German Town)/ LSD-42」」、強襲揚陸艦「アメリカ(USS America) / LHA-6」」。

 

  • 「ニューオーリンズ(USS New Orleans / LPD 18)」;サン・アントニオ級ドック型揚陸艦の2番艦。2007年就役で佐世保に配備されている。満載排水量25,000 ton、全長208.5 m、速力22 kts、CH-46輸送ヘリ4機またはMV-22B輸送機2機、上陸用エア・クッション艇LCAC 2隻を搭載する。上陸兵員約700名を輸送。
  • 「ジャーマンタウン(USS German Town)/ LSD-42」」;ホイットビー・アイランド級ドック型揚陸艦の2番艦。1986年就役で佐世保に配備中。エアクッション艇LCACを4隻搭載する。満載排水量16,000 ton、全長186 m、速力20 kts以上、上陸兵員400名以上を輸送。
  • 強襲揚陸艦「アメリカ(USS America) / LHA-6」」; F-35B STOVL戦闘機20機、MV-22オスプレイ輸送機4機、その他ヘリを搭載する実質的な空母。舷外エレベーター2基を艦尾に備える。艦種は「LHA=Landing Helicopter Assault (ヘリコプター使用強襲揚陸艦の意)」。2014年4月就役。佐世保が母港、米国の「遠征打撃グループ/ESG=Expeditionary Strike Group」の旗艦を務める。満載排水量46,000 ton、上陸兵員約1,700名を輸送する。揚陸艇LCACを発進させるウエルデッキはない。しかし後継の同型艦2隻にはウエルデッキを復活させた。
  •  海自輸送艦「しもきた(LST-4002)」;「おおすみ」級輸送艦の2番艦で満載排水量14,000 ton、全長178 m、最大幅25.8 m、速力22 kts、揚陸艇LCAC 2隻を搭載、兵員330名、車両60両、戦車18両を輸送する。

 

615日公表 令和3年度実機雷処分訓練および掃海特別訓練(日米共同訓練)について

6月19日から6月26日の間、硫黄島周辺海域で米海軍と共同で実機雷処分訓練および掃海特別訓練を行う。目的は実任務に即応できる経験者を拡充するとともに、装備武器の納涼力を確認するため。参加部隊は;―

  • 海自:掃海母艦「ぶんご」、掃海艇「ひらしま」、「やくしま」、「すがしま」、「うくしま」、「あいしま」、人員約360名。
  • 米海軍:第5機動水中処分隊第501小隊、人員約10名。

 

622日公表 日米共同訓練について

6月21日(月)インド洋海域で、海自練習艦「かしま」、「せとゆき」は米海軍の空母「ロナルド・レーガン」、巡洋艦「シャイロー」、駆逐艦「ハルゼー」と戦術運動と通信訓練を実施した。

 

624日公表 米・スリランカ主催共同訓練(CARAT)への参加について

6月30日スリランカのトリンコマリー沖の海空域で、海自護衛艦「ゆうぎり」は米海軍の沿海域戦闘艦「チャールストン」および「P-8A」哨戒機、およびスリランカ海軍の哨戒艦「ガジャバフ」と「サユララ」および空軍の「BELL 212」と共同訓練を実施、相互運用性の向上を図る。

 

625日公表 対潜特別訓練について

6月22日から24日にかけて、紀伊半島沖の海空域で海自潜水艦1隻と「P-1」哨戒機3機、および米海軍「P-8A」哨戒機4機が対潜水艦特別訓練を実施した。

6 25 対戦訓練

図19:(海上幕僚監部)厚木基地に駐機する海自「P-1」哨戒機と米海軍「P-8A」哨戒機。

 

625日公表 日米共同訓練について

6月23日と24日の両日、関東地方の南方海域で、海自護衛艦(いずれもイージス艦)「きりしま」、「まや」、「はぐろ」と補給艦「ときわ」は、米海軍ミサイル駆逐艦「マステイン(USS Mustin / DDG 89)」と各種戦術訓練を実施した。目的は海自の戦技向上と米海軍との相互運用性の向上のため。

6-25 はぐろ

図20:(海上幕僚監部)海自の最新型イージス駆逐艦「はぐろ」艦長が米海軍ミサイル駆逐艦「マステイン(USS Mustin / DDG 89)」を見送る。「マステイン・DDG 89」はアーレイ・バーク級」ミサイル駆逐艦の39番艦。2003年就役、2006年から横須賀に配備、第7艦隊所属で弾道ミサイル防衛能力を持つ。満載排水量9,700 ton、速力31 kts。最新の報道によると「マステイン」は15年間の横須賀勤務を終え先週サン・デイエゴに向け出港、近代化改修をしたのち第3艦隊所属となる。新しく2018年就役の同型駆逐艦Flight IIAの「ラルフ・ジョンソン(USS Ralph Johnson / DDG-114)」が横須賀に来航する予定。

 

航空幕僚監部

 

527日公表 米空軍演習への参加について

空自は、日米同盟の抑止力・対処能力を強化すべく、米空軍が6月11日〜26日の間実施する「レッドフラグ・アラスカ(Red Flag Alaska 21-2) 演習」に参加して、技量および日米共同対処能力の向上を図る。

空自部隊の派遣は6月1日から7月3日の間。訓練実施区域はアラスカ州アイルソン空軍基地(Eielson Air force Base)およびエレメンドルフ・リチャードソン統合基地 (Joint Base Elemendorf-Richardson, Alaska)とその周辺空域。

空自からの参加部隊は、那覇基地第9航空団/F-15J・DJ戦闘機6機、および浜松基地警戒航空団/E-767早期警戒機1機。F-15J・DJ戦闘機のアラスカへの飛行には米空軍空中給油機からの空中給油を受ける。

米太平洋空軍広報発表(May11, 2021)は次のように報じている;―

「レッドフラグ・アラスカ21-2」演習は、「太平洋・アラスカ統合演習空域 (Joint Pacific Alaska Range Complex)」で6月10日-25日の間、実戦を模した形で行われる。

演習には100機以上の航空機とその乗員、整備員、支援部隊要員など1,500人が参加する。演習では、米空軍だけでなく、日本の航空自衛隊、韓国空軍が参加してそれぞれの戦闘技量の向上と相互運用能力の向上を行う。

参加する航空機の大部分はアイルソン空軍基地(Eielson Air force Base)とアンカレッジのすぐ北にあるエレメンドルフ・リチャードソン統合基地 (Joint Base Elemendorf-Richardson, Alaska)から離発着する。

「レッドフラグ・アラスカ演習」は実戦に即した演習で、1975年にフィリピンのクラーク空軍基地で始まった「コープ・サンダー(COPE THUNDER)」演習を引き継ぐ形で1年に最大4回行われている。

レッドフラグ演習

図21:(USAF photo by Tech. Sgt. Jerilyn Quintanilla) アイルソン空軍基地の第18仮想敵航空隊(18thAggressor Squadron)に配備されたヒル空軍基地(Hill Air Force Base)第388戦闘航空団所属のF-35Aライトニング戦闘機(手前)が、アラスカのデナリ(Denali) 国立公園上空を飛行する姿。奥はF-16戦闘機。

 

617日公表 PAC-3機動展開訓練の実施について

6月23日に青森県三沢基地第6高射群は、対弾道ミサイル迎撃ミサイル「ペトリオットPAC-3」部隊を陸上自衛隊霞目駐屯地に展開、その後撤収する訓練を実施する。霞目駐屯地は宮城県仙台市若林区にあり、駐屯地内の霞目飛行場には陸自東北方面航空隊が駐屯する。

「PAC-3」の迅速な展開・撤収で戦技の向上を図り、同時に国民に即応体制を示すことで安心感を与えるのが目的。

 

米海軍Navaltoday.com

三菱重工「自律型水中航走式機雷探知機 OZZ-5 (next-generation mine-countermeasures technology)」の開発を完了、防衛省に納入

三菱重工は日仏防衛協力に基づき、自社開発の「自律型水中後装式機雷探知機OZZ-5」に搭載する低周波合成開口ソナー(LF-SAS)に、フランスのタレス(Thales)社が開発した高周波合成開口ソナー(HF-SAS)「SAMDIS」を組込み統合して性能向上を図り、このほど開発を完了した。これで海底に埋没された機雷を含む各種機雷の探知・類別の精度向上と合成開口処理のリアルタイム運用を実現した。防衛省に納入後、両国で評価試験を続け2024年までに実用化する。

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図22:(三菱重工)三菱重工が開発する「自律型水中後装式機雷探知機OZZ-5」。

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図23:(三菱重工)「自律型水中後装式機雷探知機OZZ-5」に搭載する各種ソナーの位置。

 

中国環球時報

6月8日発表 米国の台湾接近に対抗して中国軍は上陸演習を実施

中国陸海軍は、最近の米国の台湾独立支援の動きに対抗して、中国南東部の沿岸海域で、大規模な上陸演習を実施した。これは将来起こり得る台湾の分離・独立の企みに対する戦争に備えたものである。

演習は台湾の対岸福建省の沿岸で行われ、陸軍第72軍配下の旅団が敵前上陸する想定で実施された。強襲揚陸艦から兵員、車両、物資を揚陸艇で上陸させ、撤収する形で行われた。また水陸両用装甲車も揚陸艦から発進、海岸に向かった。揚陸艇では、多数の戦車、装甲自動車を海岸に上陸させた。

中国海軍は、2007年から初のドック型揚陸艦(LPD)[071型揚陸艦]の就役を開始、現在8隻を保有している。071型揚陸艦は満載排水量25,000 ton、ウエルドックにはエアクッション揚陸艇4隻と輸送ヘリ4機を搭載、装甲車輌20輌、兵員800名を輸送できる。

2017年から後継として「075型強襲揚陸艦」の建造を開始、1番艦「海南(Hainan)/No.31」が今年始めに就役、南海艦隊に配備した。同型艦は3隻が建造中、最終的には8隻とする予定。「075型強襲揚陸艦」は、満載排水量40,000 ton、米海軍のワスプ(Wasp)級と同じく飛行甲板を備え、ヘリコプター30機を搭載可能、艦内のウエルドックには上陸部隊が保有する水陸両用戦闘車の他に2隻のエアクッション揚陸艇を搭載する。上陸用兵員1,600名を輸送できる。

075揚陸艦

図24:(中国軍ネット)「075型強襲揚陸艦」の1番艦「海南」、満載排水量4万トン、全長245 m、で艦容では中国空母「遼寧」や「山東」に引けを取らない。

 

China Military online

 

6月21日発表 中国空軍の新鋭戦闘機「J-20」多数が実戦配備へ

中国が独自に開発した新世代のステルス戦闘機「J-20」中国製エンジン付きが、中国空軍の教導航空隊に配備された。この航空隊は中国で最初に編成され朝鮮戦争(1950-53)で、侵攻する米軍機92機を撃墜する戦功を樹てた。

この日、すでに配備されているJ-20はJ-16やJ-10戦闘機と編隊を組み、各種演技を公開した。

J-20戦闘機

図25:(China Military online) 成都航空機が開発した単座、双発、全天候、ステルス第5世代の戦闘機。2011年に初飛行、2016年の珠海航空ショーで初公開、2017年から配備が始まり、これまでに150機ほど生産されている。エンジンは当初ロシア製AL-31Fターボファン(推力/アフトバーナ時33,000 lbs)を使っていたが、2020年から中国製WS-10Cエンジンを搭載している。全備重量37 ton、最大速度マッハ2以上、航続距離6,000 km、

 

ロシア海軍報道局

 

69日発表 ロシア太平洋艦隊はカムチャツカ半島沖の太平洋でミサイルと砲撃演習を実施

ロシア北東軍麾下の小型ロケット艦および小型対潜艦の2つの小艦隊は、太平洋で戦闘訓練を実施した。

小型ロケット艦艦隊は「スメルチ」と「ラズリーフ」、小型対潜艦艦隊は「ウスチ・イリムスク」と「ホルムスク」で構成、小型対潜艦が発射するミサイル標的「サマン」を、小型ロケット艦の高射ミサイル「オサー」で迎撃する方式で行われた。

スメルチ

図26:(ロシア海軍報道局)小型ロケット艦「スメルチ(423)」「プロジェクト12341」小型ロケット艦と呼ぶ「コルベット」艦。1985年に就役、ペトロパブロフスク・カムチャツキー軍港に配備。201910月に近代化改修完了。これで、対艦ミサイルを「アムラート」3連装発射筒2基から「ウラン」4連装発射筒4基に改め16発搭載とした。艦尾の76 mm単装砲AK-176を最新型のAK-176MAに換装している。「ウラン」は対艦有翼ミサイルで[ Kh-35 ]と呼ぶ。射程130 km、重量610 kg、炸薬145 kg、全長4.4 m、。米海軍の「ハープン」に似ている。

ホルムスク

図27:(ロシア海軍報道局)小型対潜艦「ホルムスク(368)」。グリシャ(Grisha)級を1124型小型対潜艦と呼び、1970年代から90隻以上を建造した。グリシャV型はその最新版で28隻が就役中。満載排水量1200トン、速力34 kt、対潜ロケット砲2 (96)など強力な対潜装備を持つ。

 

6月10日発表 太平洋中央のハワイ近海で太平洋艦隊が大演習を実施

太平洋中央部で太平洋艦隊の大規模演習を行うため、各艦艇が準備に入った。演習は、太平洋艦隊旗艦のロケット巡洋艦「ワリヤーグ」、大型対潜艦の「アドミラル・バンテレーエフ」、フリゲートの「マルシャル・シャーポシニコフ」、コルベット艦の「グロムキー」、「ソベルシェンヌイ」、「アルダル・ツジェンジャポフ」、測量艦の「マルシャル・クルイロフ」、その他支援艦など合計20隻が参加する。さらに遠距離対潜哨戒機「Tu-142M3」、迎撃戦闘機「MiG-31BM」および空軍機など合計20機が参加する。

総指揮官は太平洋艦隊司令官セルゲイ・アバキャンツ大将が執る。

6月30日には、旗艦「ワリアーグ」とフリゲート「マルシャル・シャポシニコフ」は、ミサイルおよび砲射撃を実施、仮想敵の航空機を撃破した。さらに海上目標への砲撃を実施した。

6月19日には、艦隊はハワイ・ホノルル沖50 km近くまで接近、21日にはこの付近の海域で仮想敵の空母打撃群を攻撃する演習を行なった。さらにその後、ロシア空軍の爆撃機「Tu-95MS」と「Tu-22M3」は“仮想敵の地上設備”と“仮想敵空母艦隊”を攻撃する演習を行なった。

ワリヤーグ

図28:(ロシア海軍報道局)ハワイ沖での演習を主催した太平洋艦隊旗艦「ワリヤーグ(011)」。1989年就役、2008年に近代化改修を完了。満載排水量11,300㌧、強力な防空力と打撃力で敵空母打撃群を攻撃するのが主任務。3隻が配備中。両舷に見える4本ずつの筒の中には、射程距離700 km、速度マッハ2の「P-1000ブルカーン(Vulkan)」対艦ミサイルを装備する、各筒に2基ずつ、合計16発を搭載。

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図29:( Wikipedia) ロシア空軍ツポレフ(Tupolev)「Tu-22M3」戦略爆撃機は超音速、可変翼、超航続性能のミサイル爆撃機。原型の「Tu-22M」は1972年から量産され改良型の「Tu-22M3」を含み500機近くが作られた。「Tu-22M3」は1983年から配備が始まった。エンジンはNK-25ターボファン/アフトバーナ時推力245 kNを2基、乗員4名、全長39.6 m、翼幅(20度)34.28 m、(65度)23.3 m、最大離陸重量130 ton、最大速度マッハ2.05、戦闘行動半径2,400 km。爆弾/ミサイルは胴体主翼下面と内部爆弾倉に最大12 tonを携行できる。空母攻撃用の対艦攻撃用Kh-22/32ミサイルの場合は1発のみ携行可能。弾頭は、通常爆弾では1 ton、核弾頭では1,000 k ton、射程は600 km。

Tu-95MS

図30:(統合幕僚監部)ロシア空軍[ Tu-95 ]爆撃機、改良型Tu-95MS「戦略ミサイル輸送機」の名称で63機が配備中。軸馬力14,800 hpのクズネツオフNK-12MAターボプロップを4基、最大離陸重量185㌧、最高速度925 km/hr、航続距離は6,400 km。海軍用に対潜哨戒機Tu-142がある。[ Tu-95MS ]は、超音速対地攻撃用ラドガ(Raduga) Kh-15巡航ミサイル(射程300 km) 6発を胴体内のドラムランチャーに搭載。派生型のTu-95MS-16は、ラドガ(Raduga) Kh-55亜音速・射程2,500 kmの巡航ミサイルを胴体内に6発と翼下面に10発、計16発搭載できる。

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図31:(ロシア海軍報道局)ロシア太平洋艦隊のハワイ・ホノルル沖での演習は6月24日に終了、艦隊はウラジオストックに向け帰還の航海に入った。

 

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