令和4年8月、我国周辺における中露両軍・北朝鮮の活動と我国/同盟諸国の対応


2022-09-08 松尾芳郎

令和4年8月、我国周辺における中露両軍の活動と、我国および同盟諸国の動きに関し、公的部門等から多くの発表があった。以下に内容を紹介する。注目すべきニュースは次の通り。

  1. ナンシー・ペロシ米下院議長の台湾訪問に合わせて中国は大規模な弾道ミサイル演習を実施、うち5発が日本の排他的経済水域(EEZ)内に着弾
  2. 8月8日-14日の間、日米豪韓加の5ヶ国海軍はハワイ周辺海域でミサイル警戒演習「パシフィック・ドラゴン22」を実施
  3. 8月9日、沖縄周辺の海空域で航空自衛隊と米空軍は共同戦術訓練を実施
  4. 8月1日-5日の間、中国海軍艦艇は尖閣諸島を含む我が国周辺海域で活発な活動
  5. 8月20日及び21日、ロシア海軍の大艦隊がオホーツク海から日本海に向け航行
  6. 8月21日-29日の間、グアム島周辺で日米豪韓加5ヶ国海軍と陸自水陸機動団及び米海兵隊・第3機動展開部隊が共同演習「パシフィック・バンガード22」を実施

(The military maneuvers by Russo-Chinese Forces around Japan’s Islands are active as previous month.  Following six were noteworthy in August.

  1. China kicks off large-scale war games in August 4th through 7th, intended to punish Taiwan for hosting US house speaker Nancy Pelosi. The exercises included ballistic missile live-fire drill into the sea off Taiwan, five of them hit Japanese EEZ.
  2. Naval Forces from Australia, Canada, Japan, Korea, U.S.A, and US Missile Defense Agency conducted Pacific Dragon 2022, air and missile defense exercise, from August 5-15, in Hawaii off the coast of Kauai.
  3. Japan and US Air Forces, together with number of aircraft, played military drill in airspace near Okinawan Islands.
  4. Chinese Naval vessels cruise around Japan’s Islands including Senkaku islands in Aug. 1st through 5th.
  5. Large number of Russian Naval vessels sailed from sea of Okhotsk to sea of Japan.
  6. Naval Forces of Australia, Canada, Japan, Korea, and U.S.A. together with Japan’s Amphibious Rapid Deployment Brigade and US III Marine Expeditionary Force, sailed together to conduct war game, Pacific Vanguard 22, in Philippine sea.)

以下にそれぞれの詳細を述べる。

  1. ナンシー・ペロシ米下院議長の台湾訪問に合わせて中国は大規模な弾道ミサイル演習を実施、うち6発が日本の排他的経済水域(EEZ)内に着弾

米下院議長の台湾訪問に対抗して中国は台湾近海で前例のない規模の軍事演習を実施した。演習は8月4日から7日まで連続して行われた。その後も断続的に実施され中国の軍事的威圧が常態化している。

中国軍は8月4日午後3時から4時過ぎにかけて、弾道ミサイル11発を台湾周辺の北、東、南、の海域に撃ち込んだ。発射地点は福建省沿岸、浙江省沿岸、中国内陸部江西省、からそれぞれ数発ずつ、射程は約350 kmから約700 kmに及ぶ。

英ジェーンズ・デフェンスによれば、発射したミサイルには、ロケット軍の短距離弾道ミサイル(SRBM)「DF-15B (射程500km)」、同「DF-16 (射程900 km)」、及び陸軍の長距離ロケット砲「PHL16」が含まれている。

2022年防衛白書は「固体燃料のDF-16、DF-15及びDF-11を多数台湾正面に配備し、我が国尖閣諸島、石垣島などを射程に入れている、と述べている。これらミサイルの半数が着弾する「平均誤差範囲(EP)」は約 5 mで精度が高い。

このうちの5発が我が国南西諸島波照間島の南西の排他的経済水域(EEZ)内に着弾した。また4発は台湾本島の上空を飛翔し、中国が設定した演習海域に着弾した。

本件に関し外務省森健良事務次官は4日夜、中国孔鉉祐駐日大使を呼び出したが応ぜず、やむなく電話で抗議した。電話抗議程度で良いのか、疑問を感じる

図1:(防衛省/夕刊フジzakzak 1011/8/6)中国軍が設定して演習実施エリア6ヶ所の内台湾東部の区域は我が国EEZに内部に食い込む。EEZ内に着弾した5発はこの海域になる。石垣島には陸自/対艦・対空ミサイル基地、与那国島には陸自/沿岸監視隊・レーダー基地がある。

図2:(夕刊フジzakzak 1011/8/6)中国中央TVが4日に「微信」に投稿したミサイル発射の映像。山間部から発射したところ。

図3:(ロイター)DF-15B(東風15)短距離弾道ミサイル。2015年9月北京でのパレードに登場した。射程距離は900 kmに及ぶ。

中国軍機は、今回の演習で4日には22 機が、7日午前にも20数機が台湾海峡の中間線を超え台湾側の空域に侵入した。台湾海峡は幅130-410 kmで音速に近い戦闘機が中間線を超えれば数分で台湾に到達できる。中国軍機の中間線超えは、8月3日以降ほぼ連日あり、その累計は300機に達する。

侵入した機種は、戦闘機「J-11」、「スーホイ30」、など3機種。

台湾国防省は年次報告の中で「中国軍は台湾海峡の中間線を不明確にし、侵犯の常態化を図り、軍事的威圧を強めている」と指摘している。

ロイター(Reuter)通信によると、中国の台湾威圧に対抗するため米国務省は9月2日、台湾に11億ドル(1,500億円)以上の武器売却を承認した。国防総省の国防安全保障協力局は、これには、ハープーン対艦ミサイル(AGM-84L-1 Harpoon Block II )を60発、短射程対空ミサイル・サイドワインダー(AIM-9X Block II Sidewinder)を100発、AIM-9X Block II tactical Guidance Units 4基などを含む、と発表した。この件は議会承認が必要だが、議会には反対意見はない。これで台湾軍の抗戦能力が一段と高まる。

図4:(台湾国防省)中国戦闘機の1例「J-11」。ロシア・スーホイ27SKを国産化した機体。第4世代戦闘機で米国のF-15と互角と言われる。

中国の威圧に対抗して、米第7艦隊は8月27日、ミサイル巡洋艦「アンテイータム (USS Antietam/ CG 54)」および「チャンセラースビル (USS Chancellorsville / CG 62)」の2隻が台湾海峡を通過した。これで米海軍は「自由で開かれたインド太平洋」を維持すると言う決意を改めて示した。

[アンテイータム(CG 54)]および「チャンセラースビル ( CG 62)」は共に「タイコンデロガ級 (Ticonderoga-class)」ミサイル巡洋艦21隻中の艦。前者「CG-54」は1987年就役、後者「CG-62」は1989年就役、共に横須賀を母港にしている。満載排水量9,800 ton、全長173 m、速力32.5 kts、垂直ミサイル発射装置 Mk 41 VLS 61セルを2基、対艦ミサイルRGM-84ハープーンを8発搭載する。

図5:(Naval Source Online) [アンテイータム(CG 54)]は「タイコンデロガ級」の8番艦。

図6:( 7th Fleet Mass Communication Specialist 2nd class Justin Stack) 米第7艦隊ミサイル巡洋艦「チャンセラーズビル (CG 62)」が東シナ海から台湾海峡を南下する様子。艦橋から後方を写した写真。

このように中国軍は、8月に入り一層台湾に対する威圧度と高めてきている。数年後と予想されてきた「台湾侵攻」が目前に迫りつつある。「台湾有事は日本有事」とは故安倍信三首相の言葉だが、ここへきて日本の防衛は歴史的転換点を迎えている。防衛費の上限を撤廃、早急に2 %超える増額が必要、日米両軍の統合運用/抑止 (integrated deterrence) 体制の確立も必要だ(日経9月5日)。

  • 8月5日~15日の間、日米豪韓加の5ヶ国海軍はハワイ周辺海域でミサイル警戒演習「パシフィック・ドラゴン22」を実施

8月5日〜15日の間、海自ミサイル護衛艦(イージス艦)「はぐろ(DDG-180)」はハワイ周辺の海空域で行われたミサイル警戒演習「パシフィック・ドラゴン(Pacific Dragon)2022」に参加した。この「PD 22」演習は5ヶ国海軍が参加して、飛来する敵弾道ミサイル模擬標的を追尾・撃破するための訓練で、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて連携を強めるため実施された。

演習は、ハワイの「PMRF=Pacific Missile Range Facility Barking Sands」および「カウアイ島(Kauai)」沿岸で行われた。

参加した艦艇等は次の通り。

日本:ミサイル護衛艦「はぐろ( DDG-180)」排水量10,300 ton、

米国:ミサイル駆逐艦「フィツジェラルド(USS Fitzgerald /DDG-62)」排水量8,400 ton、

      同「ウイリアムPローレンス(William P. Lawrence/DDG-110) 」排水量9,200 ton

      艦載戦闘機F/A-18F

豪州:ミサイル駆逐艦「シドニー (HMAS Sydney/DDG-42) 」排水量6,400 ton

      給油艦「サプライ(HMAS Supply/A195)」排水量19,500 ton

韓国:ミサイル駆逐艦「セジョン・デワン(世宗大王/DDG991)」排水量10,300 ton

カナダ:フリゲート「バンクーバー(HMCS Vancouver/FFH 331)」排水量5,000 ton

図7:(US Navy Photo)「パシフィック・ドラゴン22 (PD 22)」演習に参加した5ヶ国海軍7隻が横一列で航行する様子(8月12日)。手前2隻は米ミサイル駆逐艦。

図8:(US Navy Photo)「パシフィック・ドラゴン22 (PD 22)」演習で、米ミサイル駆逐艦「フィッツジェラルド/DDG-62」が、模擬弾道ミサイルを迎撃するためVLS Mk 41から「スタンダード・ミサイル[SM 3 Block 1A]」を発射したところ。

  • 8月9日、沖縄周辺の海空域で航空自衛隊と米空軍は共同戦術訓練を実施

8月4日沖縄周辺の空域で、空自第9航空団・那覇基地のF-15戦闘機3機と米空軍嘉手納基地のF-15C戦闘機2機は、各種戦術訓練を実施した。これには空自那覇基地南西航空警戒管制団も参加した。

沖縄本島の西にある久米島分屯基地には第54警戒隊が駐屯、2008年より「J/FPS-4」大型固定3次元レーダー(東芝製)を配備、運用している。

沖縄本島南部の与座岳分屯基地には第56警戒隊が駐屯、2012年より大型固定3次元レーダー「J/FPS-5」(三菱電機製)を配備、運用している。

また8月11日発表によれば、8月9日にも沖縄周辺の空域で、空自第9航空団・那覇基地のF-15戦闘機4機と米空軍嘉手納基地第18航空団F-15C戦闘機6機が各種戦術訓練を失しした。これにも那覇基地南西航空警戒管制団が参加した。

図9:(航空自衛隊)沖縄本島近くの空域で日米空軍F-15戦闘機が編隊飛行する様子。

図10:(航空自衛隊)島根県高尾山分屯基地のJ/FPS-4レーダー。沖縄本島西の久米島分屯基地にも同じものを2008年に設置。レーダー・アンテナを2面、背中合わせに取付けドーム内で回転させ監視する。対レーダー・ミサイルよる攻撃を妨害する機能も併せ持つ。

図11:(防衛省)沖縄本島与座岳に設置されている「J/FPS-5」レーダー。中国本土の東部ほぼ3分の1、北京、西安、海南島を含むエリア上空を監視する。

  • 8月1日-5日の間、中国軍は尖閣諸島を含む我が国周辺海空域で活発な活動

8月1日午前、与那国島と台湾の間を中国海軍シュパン級測量艦1隻 (25) が北上通過、東シナ海に入った。同艦はその後8月3日に沖縄本島西の久米島の北西160 kmから南東に進み、宮古海峡を通過、太平洋に進出した。

また別のシュパン級測量艦1隻 (22) が北海道礼文島沖から宗谷海峡を通過、オホーツク海に向かった。

7月27日から同31日にかけて、ジャンダオ級小型フリゲート1隻(615)が尖閣諸島魚釣島の西70 km の海域を遊弋、そのあと与那国島と台湾の間を往復、南進した。

図12:(統合幕僚監部)8月1日ー5日の間の中国艦艇の動きを纏めた図。尖閣諸島および台湾周辺に集中していることが分かる。

図13:(統合幕僚監部)シュパン級測量艦(25)。満載排水量5,900 ton、全長129 m、でかなり大きい。同型艦9隻を配備中。

図14:(統合幕僚監部)ルーヤンIII級ミサイル駆逐艦 (131) 「旅洋III級/052D型 昆明級駆逐艦で、中国版イージス艦。同型艦10隻を配備、追加7隻を艤装中。満載排水量7,500 ton、全長156 m、速力29 kts。VLS(垂直ミサイル発射装置)64セルに対空/対艦ミサイルを装備。

図15:(統合幕僚監部)ジャンダオ級小型フリゲート(615)。7月27日~31日の間、尖閣諸島魚釣島西の接続水域に侵入・遊弋し、その後南進、台湾東の太平洋に立ち去った。「ジャンダオ/江島/Jiangdao級小型フリゲート」、別名「056型コルベット」で近海防御用の艦。防空ミサイルは、最新のHHQ-10 近接防空ミサイル8連装発射機1基。主砲は76 mm単装速射砲1基(ロシア製AK-176)。同型艦は70隻以上。写真「615」「孝感/Xiaogan」は2020年就役。

海軍艦艇だけでなく8月4日には午前から夜に掛けて中国軍の偵察型無人機「BZK-005」1機と偵察/攻撃型無人機「TB-001」1機が東シナ海から沖縄本島と宮古島の間「宮古海峡」を通過して太平洋に飛び、宮古島、石垣島など先島諸島に沿って飛行、台湾東海岸に接近し旋回した後、往路を戻った。また別の無人機1機が尖閣諸島西と台湾北部の間に飛来、立ち去った。

8月4日のこの時間帯は、前述した中国軍が弾道ミサイル11発を台湾東岸沖の海域に向け発射した時間と符合する。

図16:(統合幕僚監部)8月4日中国本土から沖縄県南西諸島周辺及び台湾周辺に飛来した無人機の航跡。

図17(統合幕僚監部)

図18(統合幕僚監部)偵察/攻撃型無人機TB-001型。双発・双胴で離陸重量3.3 ton、航続距離6,0000 km、ペイロード1.2 ton、の大型機。しかし米空軍が運用するジェネラル・アトミックス(General Atomics)製MQ-9リーパー(Reaper)無人攻撃機、最大離陸重量4.7 tonより小型。米軍は7月からMQ-9リーパーを海自鹿屋基地に配備開始。

  • 8月20及び日21日、ロシア海軍の大艦隊がオホーツク海から日本海に向け航行

8月20日午後、ロシア太平洋艦隊ウダロイI級駆逐艦(543)、ステレグシチーII級フリゲート(337)、ステレグシチー級フリゲート(333及び339)の合計4隻が、宗谷海峡をオホーツク海から日本海に向け航行した。

また翌21日には、グリシャV級小型フリゲート2隻(323及び354)、タランタルIII級ミサイル護衛哨戒艇4隻(924、937、940及び978)、マルシャル・ネデリン級ミサイル観測支援艦(331)、ドウブナ級補給艦1隻、スリヴァ級救難曳船1隻、及びオビ級病院船1隻の合計10隻が宗谷海峡経由でオホーツク海から日本海に向けて航行した。

これは9月1日からロシア軍主催で実施する大規模演習「ボストーク 2022」に参加するための動きである。ロシア国防省は、演習には約5万の将兵、太平洋艦隊の艦艇50隻、多数の航空機が参加、演習区域には国後島、択捉島も含むと発表している。

8月29日には「ボストーク2022」大演習に参加すため、中国海軍レンハイ級ミサイル駆逐艦(101)、ジャンカイII級フリゲート(546)、及びフチ級補給艦(902)の3隻が東シナ海から対馬海峡を抜けて日本海に入った。

図19:(統合幕僚監部)8月20日、21日に宗谷海峡をロシア大艦隊が通過、オホーツク海から日本海に入った。

図20:(統合幕僚監部)大型対潜艦・ウダロイ級駆逐艦、満載排水量7,500 ton、全長163 m、速度35 kts、強力なソナー、長射程の対潜ミサイル、ヘリコプター2機、SA-N-9型個艦防空ミサイルを装備。1980-1991年に作られ8隻が就役中、太平洋艦隊には4隻を配備。

図21:(統合幕僚監部)写真(337)は2021年就役の新型艦で「ステレグシチー級」を改良した20381型。対空ガトリング・ガンを長射程の「3K96リドウート」に変更、巡航ミサイル運用能力が追加された。

図22:(統合幕僚監部)満載排水量2,200 ton、全長104,5 m、速力27 kts、マスト頂部はSバンド3次元レーダー、マストは閉囲型で各種レーダーを内臓。兵装は、対空用GSh-630M 30 mm ガトリング砲 2基、陸上用対空ミサイルS-400を艦載化して12セルのVLS(垂直発射装置)に装備、対艦用3M24ウラン・ミサイル4連装発射筒2基を搭載。同型は6隻で追加2隻が艤装中。

図23:(統合幕僚監部)満載排水量2,200 ton、全長104,5 m、速力27 kts、マスト頂部はSバンド3次元レーダー、マストは閉囲型で各種レーダーを内臓。兵装は、対空用GSh-630M 30 mm ガトリング砲 2基、陸上用対空ミサイルS-400を艦載化して12セルのVLS(垂直発射装置)に装備、対艦用3M24ウラン・ミサイル4連装発射筒2基を搭載。同型は6隻で追加2隻が艤装中。

図24:(統合幕僚監部)グリシャ級は、1124型小型対潜艦と呼び1970年代から使われ90隻以上が建造された。満載排水量1,200 ton、速力34 kts。うちグリシャV級は1985年以降28隻が就役中。主砲が76 mm AK-176単装砲になり、対空ミサイル4K33オサーM連装発射機(20発)を搭載、RBU-6000対潜ロケット砲(96発)を装備する。

図25(統合幕僚監部)グリシャ級は、1124型小型対潜艦。1970年代から90隻以上を建造。満載排水量1,200 ton、速力34 kts。うちグリシャV級は1985年以降28隻が就役中。主砲が76 mm AK-176単装砲になり、対空ミサイル4K33オサーM連装発射機(20発)を搭載、RBU-6000対潜ロケット砲(96発)を装備する。

図26:(統合幕僚監部)タランタルIII級ミサイル護衛哨戒艇。超音速対艦ミサイルSS-N-22・連装発射筒を両舷に装備。現役は25隻、満載排水量462 ton、速力36 kts、兵装はSS-N-22対艦ミサイル4基と76 mm単装砲1門。

図27:(統合幕僚監部)

図28:(統合幕僚監部)

8月29日には、「ボストーク22」演習に参加のため中国海軍艦艇3隻が日本海に入った。中国艦はいずれも最新型、いずれも強力な兵装を備え、海自の護衛艦に匹敵する性能を持つ。しかもその数は圧倒的に多い。台湾有事、尖閣有事が発生した場合、我が自衛隊は果たして撃退できるのだろうか?

図29:(統合幕僚監部)8月29日には、中国海軍艦隊3隻が「ボストーク22」演習に参加するため対馬海峡経由で日本海に入った。

図30:(統合幕僚監部)レンハイ級ミサイル駆逐艦。「055型・南昌級駆逐艦」は満載排水量13,000 ton、世界最強の水上艦と言う。NATOはミサイル巡洋艦と呼ぶ。垂直ミサイル発射機・VLSを2基/合計112セルに、対艦ミサイル「YJ-21」、対空ミサイルなどを搭載。対艦ミサイル「YJ-21」は射程1,000~1500 kmで空母打撃群攻撃や対地攻撃が目的、戦略爆撃機「H-6N」にも搭載が可能。写真は1番艦「南昌 101」。同級は7隻が配備中で、さらに少なくとも3隻が建造中。

図31:(統合幕僚監部)「ジャンカイII/江凱II」型は「054A」フリゲート、満載排水量4,000 ton、全長134 m、速力27 kt、HQ-16対空ミサイルを32セルVLSに収納。対艦ミサイルは艦中央にYJ-83型を4連装発射機2基に搭載。[045A]型は外洋艦隊用で防空能力を強化。同型艦30隻が就役済み。海自フリゲートFFM「もがみ」級よりやや小型。

図32:(統合幕僚監部)福地級補給艦は903型総合補給艦。本級は903型/20,500 tonと903A型/23,000 tonがある。全長178.5 m、速力20 kts、物資や燃料を11,000 ton搭載。903型は2005年に2隻が就役、以後大型の903A型が7隻完成済み。写真「902」は艦名不詳。

  • 8月21日-29日の間、グアム島周辺で日米豪韓加5ヶ国海軍と陸自水陸機動団及び米海兵隊・第3機動展開部隊が共同演習「パシフィック・バンガード22」を実施

「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、米海軍、海兵隊、オーストラリア海軍、韓国海軍、カナダ海軍、と海上自衛隊及び陸上自衛隊は、グアム島からフィリピン海を含む海空域で共同訓練「パシフィック・バンガード22(Pacific Vanguard 22 or PV 22)」を実施した。

目的は;―

  • 海自の戦技向上
  • 海自と各國海軍との連携強化
  • 海自と陸自の協同作戦能力の向上

「Pacific Vanguard 22」は8月21日〜29日の間行われ、参加部隊は次の通り;―

日本:ヘリ空母「いずも(DDH 183)」、護衛艦「たかなみ (DD 110)」、潜水艦、P-1哨戒機、UP-3D電子戦訓練支援機、陸自水陸機動団、

米国;ミサイル駆逐艦「バリー (USS Barry/DDG 52)」、潜水艦、貨物弾薬補給艦「アラン・シェパード (USNS Alan Shepard/T-AKE 3)」、哨戒中隊[VP 5]のP-8A哨戒機、電子攻撃中隊 [Electronics Attack Squadron /VAQ 209]のEA-18G電子戦機、海兵隊・第3海兵機動展開部隊 (US Marine Corps 3rd Marine Expeditionary Force) 第5航空艦砲連絡中隊、

豪州:ミサイル駆逐艦「シドニー (HMAS Sydney /DDG 42)」、フリゲート「パース (FFH 157)」、補給艦「サプライ(HMAS Supply /A195)」、航空機数機、

韓国:ミサイル駆逐艦「セジョン・デワン (DDG 991)」、「ムンム・デワン (DDH 976)」、

カナダ:フリゲート「バンクーバー (HMCS Vancouver /FFH 331)」、

本演習では、陸自火力誘導員が、米海兵隊火力誘導員と共同で、各國海軍の艦砲射撃を誘導し訓練に当たった。

訓練項目は、対水上射撃訓練、対地射撃訓練、対水上戦訓練、及び対潜水艦訓練など多岐にわたって行われた。

「PV 22」演習で8月27日に米海軍は、初めて次世代型亜音速標的ドローン(next generation subsonic aerial target/ SSAT)「BQM-177A」を貨物艦「アラン・シェパード (USNS Alan Shepard / T-AKE-3)」から発射するのに成功した。これを、米ミサイル駆逐艦「バリー(USS Barry /DDG 52)」及びオーストラリア海軍フリゲート「パース(HMAS Perth/FFH 157)」から迎撃ミサイルを発射し撃墜した。

図33:(海上幕僚監部)5ヶ国海軍が参加して行われた「パシフィック・バンガード22 (PV 22)」演習。海自P-1哨戒機 が撮影。

図34: (7TH Fleet 22085-N-F07114-1084)オーストラリア、カナダ、日本、韓国、米国、5ヶ国海軍の幹部が参集、開会式での記念写真。開会式は8月25日グアム海軍基地(Naval Base Guam)の埠頭に接岸した海自ヘリ空母「いずも(DDH 183)」の艦内で行われた。

図35:(7th Fleet 220828-N-FO714-1006) 8月28日、フィリピン海で米ミサイル駆逐艦「バリー(USS Barry)」から発射された対空ミサイル「SM 2」が、飛来する最新の次世代亜音速ドローン「BQM-177A」の迎撃に向かうところ。

  • その他

8月13日〜24日の間、沖縄東方からフィリピン海の海空域で、海自護衛艦「やまぎり(DD 152)」及び「おおなみ(DD 111)」は、米第7艦隊「ロナルド・レーガン空母打撃群 (USS Ronald Reagan/ CVN 76 Carrier Strike Group)」と共同訓練を実施した。米海軍からは、空母と第15駆逐艦隊 (Destroyer Squdron(DESTRON)15)所属の、ミサイル駆逐艦「アンテイータム(USS Antietam /CG 54)」、同「チャンセラーズビル (USS Chancellorsville /CG 62)」及び[第5空母航空団(Carrier Air Wig /CVW 5)]が参加した。

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図36:(7th Fleet Photo)手前から空母「ロナルド・レーガン(CVN 76)」、「おおなみ(DD 111)」、「やまぎり (152)」。

追記

小河正義ジャーナリスト基金第4回の募集を開始しました。今回が最後になりますので、有終の美を飾れるよう、皆様のご協力をお願いします。

連絡、お問い合わせは下記「藤井良宏」氏宛にお願いします。

  • 藤井良広

一般社団法人環境金融研究機構代表理事

〒101-0063 東京都千代田区神田淡路町1-9-5

天翔御茶ノ水ビル303号

電話 03-6206-6639

Email green@rief-jp.org

小河氏は元日本経済新聞編集委員で、航空、宇宙、防衛、を始めとし医療、環境、デジタルなど広い分野の解説をするウエブサイト「TokyoExpress」を立ち上げた方です。趣旨に賛同し応募される方の資格は次のように致します。すなわち、小河氏サイト内容に関連する分野で幅広い取材活動をしている若手ジャーナリストで、個人またはグループで活動されている方々です。

応募の趣意書を送って頂き、選考委員会で審査、選考し、入選者を決定します。入選は2件、各30万円を贈呈します。応募期間は2022年10月末までです。

第4回ジャーナリスト基金に応募されない方でも、本ウエブサイト「TokyoExpress」に投稿される方々を歓迎します。投稿される方は原稿を1~10ページ程度にまとめて私「松尾芳郎」宛にお送り下さい。メール・アドレスは 「y-matsuo79@ja2.so-net.ne.jp」です。

―以上―