令和5年6月、我国周辺での中露両軍の活動と我国/同盟諸国の対応



2023(令和5年)-07-10 松尾芳郎

令和5年6月、我国周辺における中露両軍の活動と、我国および同盟諸国の動きに関し各方面から多くの発表があった。今月の注目すべきニュースは次の通り。

(Military threats from Chinese and Russian Forces are tensed up in June. Japan and Allies conducted multiple large scale exercises as retaliation. Following were major issues.)

防衛省/統合幕僚監部発表

  1. 3-5日、中国軍ミサイル駆逐艦とフリゲート各1隻が東シナ海から対馬海峡経由日本海へ、6日に同じ経路で東シナ海に戻る。
  2. 6日、中国軍ミサイル駆逐艦とフリゲート各1隻が、東シナ海から宮古海峡を通過太平洋に進出、その後8日に奄美大島と横当島間を通過、東シナ海に戻る。
  3. 7日、中国軍H-6爆撃機とロシアTu-95爆撃機各2機、計4機が東シナ海から宮古海峡経由太平洋・グアム方向に進出、反転して同じ経路で東シナ海に戻る。途中多数の護衛戦闘機が同行。
  4. 8日、中国海軍測量艦が太平洋から屋久島領海に侵入、口永良部島付近を通過、東シナ海に向かう。
  5. 8日、中国軍Y-9情報収集機が先島諸島南方・台湾近くの太平洋空域を飛行。
  6. 13日、ロシア海軍情報収集艦が太平洋から津軽海峡を経由、日本海に入る。同艦は5月23日に日本海から宗谷海峡経由、北海道東沖を航行し、これで北海道をほぼ一周。
  7. 14日、ロシア軍情報収集機が日本海沿岸を南へ飛行、佐渡島沖で変針戻る。
  8. 15日、ロシア海軍フリゲート2隻オホーツク海から宗谷海峡を通過日本海に入る。
  9. 16日、空自F-2戦闘機4機と米空軍F-35A戦闘機4機が日本海上空で共同訓練。
  10. 19日、ロシア海軍駆逐艦2隻がオホーツク海から宗谷海峡を通過日本海に入る。
  11. 19日、海自駆逐艦1隻と米海軍駆逐艦1隻、日本海で共同訓練。
  12. 17日、ロシア海軍情報収集艦が日本海から津軽海峡を通過、太平洋に進出。
  13. 19日~20日、ロシア海軍ミサイル哨戒艇6隻を含む10隻が宗谷海峡を通過、礼文島沖を通り日本海に入る。
  14. 26日~27日、中国海軍測量艦が尖閣諸島魚釣島西から与那国島と西表島の間の接続水域を通過、太平洋に出る。
  15. 28日、中国海軍情報収集艦、東シナ海から大隅海峡を抜け太平洋に進出。
  16. 27日~29日、ロシア海軍フリゲート2隻が与那国島と台湾の間の太平洋海域を遊弋し、30日には宮古海峡を通過して東シナ海に入る。
  17. 29日~30日、中国海軍駆逐艦1隻、大型揚陸艦1隻が東シナ海から大隅海峡を通過太平洋に向かう。29日に別のフリゲート1隻と補給艦1隻が奄美大島と横当島の間を通過、太平洋に進出。

陸上自衛隊発表

  1. 29日〜7月31日、北海道訓練センターで第2回実働対抗演習を実施。
  2. 22日〜7月13日、陸自は、米海兵隊・オーストラリア陸軍がクイーンズランド州演習場で行う実働演習「Southern Jacharoo 23」に参加。
  3. 27日発表;7月10日〜17日の間、米海兵隊との実働演習「Resolute Dragon 23」の前段/指揮所演習を国内各地の基地で実施予定。

海上自衛隊および航空自衛隊発表

  1. 9日〜24日、空自F-15戦闘機6機、E-767早期警戒管制機1機およびC-2輸送機1機は、統合太平洋アラスカ訓練空域/Joint Pacific Alaska Range Complexで行われる「レッド・フラッグ演習/Red-Flag Exercise 」に参加。
  2. 3日〜5日、海自護衛艦は、東シナ海で米海軍駆逐艦、豪海軍フリゲート、カナダ海軍フリゲートおよび補給艦と共同演習「Noble Wolf (SGE 23の一つ)」、を実施。
  3. 7日、海自護衛艦および潜水艦、空自F-2戦闘機は、四国南方太平洋上でフランス海軍フリゲートと共同訓練「Oguri-Verny 23-3」を実施。
  4. 7日〜10日、海自護衛艦2隻(IPD 23)と空自F-2戦闘機4機等は、東シナ海および太平洋上で米海軍空母打撃群2個、米空軍B-52爆撃機、とフランス海軍フリゲートと共同訓練「Multi Big-Deck Event (LSGE 23の一つ)」を実施。
  5. 20日〜29日、海自掃海隊艦艇は、硫黄島周辺海域で、米海軍水中処分員等と機雷処分および掃海訓練「Live-Mines 23」を実施。
  6. 23日〜7月22日、海自潜水艦は、グアム島周辺海域で米海軍と対潜水艦訓練を実施。
  7. 10日〜14日、海自護衛艦2隻(IPD 23)は、南シナ海で米海軍空母打撃群、カナダ海軍フリゲート、フランス海軍フリゲート、と共同訓練「Noble Typhoon  (LSGE 23の一つ)」を実施。
  8. 13日〜14日、海自練習艦2隻は、カナダ太平洋岸のビクトリア周辺海域(バンクーバー島の南)で、カナダ海軍フリゲートと共同訓練/「Kaedex 23」を実施。
  9. 3日〜15日、海自哨戒機および潜水艦は、太平洋上で、米海軍哨戒機およびオーストラリア軍哨戒機と共同訓練を実施。
  10. 14日〜19日、海自護衛艦(IPD 23)は、南シナ海で、米海軍駆逐艦およびカナダ海軍フリゲートと共同訓練/「Noble Raven 23 (LSG 23の一つ)」を実施。
  11. 14日〜19日、海自護衛艦(IPD 23)は、南シナ海で、米空母打撃群およびフランス海軍フリゲートと共同訓練「Noble Buffalo (LSG 23の一つ)」を実施。
  12. 24日〜25日、海自護衛艦2隻は、南シナ海でオーストラリア海軍フリゲートおよび同空軍哨戒機と共同訓練「Trident 23」を実施。
  13. 28日、空自F-15戦闘機4機等は、東シナ海および太平洋空域で、米空軍F-35A戦闘機4機、B-52爆撃機2機、KC-135タンカー1機と共同訓練を実施。

(注)

  • LSGE 23米インド・太平洋軍(U. S. Indo-Pacific Command)が主催する「2023年大規模広域訓練 (Large Scale Global Exercise 23)」で、5月24日〜8月19日の間実施中。米国から陸軍、空軍、海軍、海兵隊、宇宙軍、が参加、またインド・太平洋区域の日本を含む同盟諸国軍も参加し、共同作戦の技量を高め、地域の安定性確保に努める。
  • IPD 23 海上自衛隊が実施する「令和5年度インド太平洋方面派遣/ IPD 23 = Indo-Pacific Deployment 2023」演習に参加する部隊名称で、ヘリ空母「いずも」、護衛艦「さみだれ」、「しらぬい」と搭載航空機4機等で編成する。

米第7艦隊発表

  1. 3日、第7艦隊駆逐艦およびカナダ海軍フリゲートは、台湾海峡を通過、航行の自由作戦を実施。
  2. 9日、空母ニミッツ(CVN 68)および空母ロナルド・レーガン(CVN76)打撃群は、海自ヘリ空母いずも(DDH 183)、およびカナダとフランスの水上艦と西太平洋上で共同訓練「Multiple Large Deck Event」を実施。
  3. 20日、米コースト・ガード警備艦USCGC Stratton (WMSL 752)は、台湾海峡を通過、航行の自由作戦を実施。

米政府および台湾国防部発表

  1. 9日、中国軍機37機および艦艇5隻が台湾南西海域で活動。
  2. 24日、中国軍機19機が台湾周辺で活動、うち8機が中間線を越え台湾に接近。
  3. 27日、中国空母「山東」が台湾海峡を通過、同日中国軍機33機と艦艇10隻が台湾周辺で活動。
  4. 29日、米政府は、台湾に4億4000万ドル(約640億円)規模の弾薬等の売却を決定。
  5. 30日、中国軍機24機が台湾周辺で活動、うち11機が中間線を越え台湾に接近。

以下に主な項目の概要を説明をする。

  • 3日〜9日の間、我国・台湾周辺での中露両軍の行動活発化

3日から4日にかけて、中国海軍レンハイ級ミサイル駆逐艦(103)とジャンカイII級フリゲート(547)が、東シナ海から対馬海を通過、日本海に入った。その後これら2艦は6~7日に往路と同じ経路で東シナ海に戻った。

図1:(統合幕僚監部)「ジャンカイII/江凱II」型は「054A」フリゲート、満載排水量4,000 ton、全長134 m、速力27 kt、HQ-16対空ミサイルを32セルVLSに収納。対艦ミサイルYJ-83型を艦中央の4連装発射機2基に搭載。外洋艦隊防空用で防空能力を強化している。同型艦は40隻が就役済み。

図2:(統合幕僚監部)レンハイ級級ミサイル駆逐艦は「055型南昌級」駆逐艦、満載排水量13,000 ton、2020年就役開始の新型。兵装は、70口径130 mm単装砲1門、垂直ミサイル発射装置VLS 112セルを備える。写真(103)は「鞍山」2021年11月就役、北海艦隊所属。同型艦は8隻ある。前述「昆明級052D型」25隻と合わせると、彼らは33隻のイージス艦を運用中。

6日には、中国海軍ルーヤンIII級ミサイル巡洋艦(154)およびジャンカイII級フリゲート(578)が東シナ海から宮古海峡を通過、太平洋に出た。

図3:(統合幕僚監部)ルーヤンIII級(旅洋III級)ミサイル駆逐艦は、「昆明級052D型駆逐艦」・中国版イージス艦で、同型艦は25隻。満載排水量7,500 ton、速力30 kts、70口径130 mm単装砲1門、垂直ミサイル発射装置/VLSを32セル型2基を装備する。

図4:(統合幕僚監部)図1参照。

また、6日には、中国軍爆撃機H-6型機2機が東シナ海から日本海に入り、ロシア軍爆撃機Tu-95型機2機と合流、中国軍戦闘機2機が護衛して再び東シナ海に戻った。

図5:(統合幕僚監部)「H-6」は、ロシアTu-16爆撃機を西安航空機で国産化した機体。H-6K、H-6H、H-6M、H-6Nなど各型が配備されている。我国周辺にはH-6K、H-6M、それから最新のH-6Nが現れる。H-6Kは兵装搭載量が9 tonから12 tonに増え、機番が5桁表示になり、翼下面に巡航ミサイルCJ-10Aを6発搭載する。

図6:(統合幕僚監部)ロシア空軍は「 Tu-95 」爆撃機および改良型「Tu-95MS」戦略ミサイル輸送機として63機を配備。軸馬力14,800 hpのターボプロップ4基、最大離陸重量185㌧、最高速度925 km/hr、航続距離は6,400 km。海軍用に対潜哨戒機Tu-142がある。[ Tu-95MS ]は、超音速対地攻撃用ラドガ(Raduga) Kh-15巡航ミサイル(射程300 km) 6発を胴体内のドラムランチャーに搭載。派生型のTu-95MS-16は、ラドガ(Raduga) Kh-55亜音速・射程2,500 kmの巡航ミサイルを胴体内に6発と翼下面に10発、計16発搭載できる。

  • 7日、中露両軍の戦略爆撃機、宮古海峡経由、グアム攻撃可能地点まで進出、

中国軍H-6爆撃機2機とロシア軍Tu-95爆撃機2機が東シナ海で合流、宮古海峡を通過する間は中国軍戦闘機7機が護衛して、太平洋を東に進み南大東島付近を通過、搭載ミサイルの射程にグアム島が入る辺りに飛行、反転して戻った。復路の沖縄本島南付近ではロシア軍戦闘機2機が飛来、護衛についた。

図7:(統合幕僚監部)6月7日のH-6およびTu-95爆撃機の航路。

図8:(統合幕僚監部)図5の説明参照。

図9:(統合幕僚監部)図6の説明参照。

8日には、中国軍の新型Y-9情報収集機が沖縄県先島諸島南方の太平洋、台湾の南東海上で、情報収集飛行をしたのが初めて確認された。当時この付近では、日米仏海軍の空母を含む12隻の艦隊が共同演習「Multi Big-Deck Event /複数大型艦共同演習」(次項参照)を実施中で、これの偵察・監視をするため演習海域に接近飛行したもの。

今回初めて確認された機体は、最新の電子偵察機「Y-9DZ」、従来の「Y-9」と異なる胴体下部の膨らみがある。専門家によれば、電子戦(EW)、電子情報収集(ELINT)、電波探知(ESM)、合成開口レーダーでの監視、電子妨害、などを遂行可能な多目的電子戦機と言う。

図10:(統合幕僚監部)6月8日台湾東方海上で撮影された新型電子戦情報収集機「Y-9DZ」。

胴体中央上部にSATCOMアンテナ、胴体後部両側に長方形のESM/ELINTアンテナ、垂直尾翼頂部にESMアンテナ、機首下面にSARアンテナが装備されている。

図11:(統合幕僚監部)「Y-9DZ」情報収集機の飛行経路。台湾東部太平洋上で実施中の日米仏艦隊演習「Multi Big-Deck Event /複数大型艦共同演習」海域の500 km以内を飛行、電子情報収集をした。

  • 3~5日、東シナ海で日米豪加共同演習「Noble Wolf」を実施

3日〜5日の間、LSGE 23の一つとして、日本、米国、オーストラリア、カナダ4ヶ国共同訓練「Noble Wolf」が東シナ海で実施された。海自からは護衛艦「しらぬい/DD-120(あさひ型護衛艦の2番艦)」P-1哨戒機、米海軍からはミサイル駆逐艦「チャンフーン/USS Chung-Hoon, DDG-93」、オーストラリア海軍からはフリゲート「アンザック/Anzac FFH 150」、カナダ海軍からはフリゲート「モントリオール/HMCS Montreal. FFH 336」および補給艦「アステリクス /MV Asterix」が参加した。

図12:(海上自衛隊)3~5日開催の日米豪加共同演習「Noble Wolf」に参加した諸艦。

  • 7日、日仏四国南方で共同訓練「オグリ・ヴェルニー23-3(Oguri-Verny 23-3)」を実施

海自フリゲート「くまの・FFM 2 (もがみ型の2番艦)」、潜水艦および空自第8航空団F-2戦闘機等は、フランス海軍フリゲート「ロレーヌ/Lorraine D 657」と太平洋海空域で各種戦術訓練を実施した。

図13;(海上自衛隊)フランス海軍フリゲート「ロレーヌ D 657」を見送る「くまの FFM 2」乗員。「ロレーヌ」は2022年就役の新鋭艦、対空戦闘能力が優れている。

  • 7日〜10日の間、東シナ海・太平洋で日米仏共同訓練「複数大型艦訓練/Multi Big-Deck Event」を実施

海自ヘリ空母「いずも/DDH 183」、護衛艦「さみだれ/DD 106 (むらさめ級6番艦)」、空自第9航空団F-15戦闘機等は、米空母「ロナルド・レーガン/CVN 76」、「ニミッツ/CVN 68」、ミサイル巡洋艦「アンテイータム(Antietam / CG 54)」、「ロバート・スモールズ (Robert Smalls / CG-62)」、「バンカーヒル(Bunker Hill /CG-52)」、ミサイル駆逐艦「ラファエル・ベラルタ(Rafael Peralta / DDG 115)」、「デイケイター (Decatur / DDG 73)」、「ウエイン・E・メイヤー (Wayne E Meyer / DDG 108)」、「チャンフーン (Chung-Hoon /DDG 93)」、米空軍B-52爆撃機、フランス海軍フリゲート「ロレーヌ(Lorraine D 657)」等と、東シナ海・太平洋海空域で、「大規模広域訓練2023 (LSGE 23)」の一つ「複数大型艦訓練/Multi Big-Deck Event」を実施した。

図14:(海上自衛隊)手前から「いずも」、「さみだれ」、バンカーヒル」、「チャンフーン」、左奥上は「アンテイータム」

図15:(海上自衛隊)手前から「ロナルド・レーガン」、「ロレーヌ」、「アンテイータム」

7~10日の日米仏訓練「複数大型艦訓練/Multi Big-Deck Event」に続いて、7日~14日にはカナダが加わる日米加仏共同訓練「ノーブル・タイフーン(Noble Typhoon)」が太平洋/南シナ海海空域で実施された。参加艦艇は「複数大型艦訓練/Multi Big-Deck Event」とほぼ同じだが、新たに米補給艦「ラパハノック (Rappahannock T-AO-204)」とカナダ海軍フリゲート「モントリオール/HMCS Montreal. FFH 336」が参加した。

続いて14日〜19日には南シナ海で、海自ヘリ空母「いずも/DDH 183」、米海軍ミサイル駆逐艦「ラファエル・ベラルタ(Rafael Peralta / DDG 115)」、カナダ海軍フリゲート「モントリオール/HMCS Montreal. FFH 336」、が参加して「ノーブル・レイブン23 (Noble Raven 23)」演習を行なった。

さらに同じ14日〜19日に同じ南シナ海で、海自護衛艦「さみだれ/DD 106」、米空母「ロナルド・レーガン/CVN 76」、ミサイル巡洋艦「ロバート・スモールズ (Robert Smalls / CG-62)」、フランス海軍フリゲート「ロレーヌ(Lorraine D 657)」が参加して3カ国共同訓練「ノーブル・バッファロー(Noble Buffalo)」を行なった。

これらはいずれも米太平洋軍主催の「大規模広域訓練(LSG 239)の一つとして行われた。

図16:(U.S. 7th Fleet Photo)日米加仏4カ国海軍共同訓練の様子。

図17:(海上自衛隊)左側の米補給艦「ラパハノック」満載排水量42,000 tonから給油を受ける海自ヘリ空母「いずも/ DDH 183」

図18:(海上自衛隊)「ノーブル・レイブン23 (Noble Raven 23)」演習で、併走するカナダ海軍フリゲート「モントリオール/HMCS Montreal. FFH 336」(左)と海自ヘリ空母「いずも/DDH 183」。

  • 9日~24日、空自は米空軍主催の「レッド・フラグ・アラスカ (RED FLAG Alaska)」演習に参加

演習はアラスカ州アイルソン空軍機地 (Eielson AFB)およびエレメンドルフ・リチャードソン統合基地 (Joint Base Elmendorf-Richardson, Alaska)ならびにその周辺空域で実施された。空自からの参加は、千歳基地第2航空団F-15戦闘機6機、浜松基地警戒航空団E-767早期警戒管制機1機、美保基地第3輸送航空隊C-2輸送機1機、および関係する将兵約190名。F-15戦闘機が日本からアラスカに飛行する際は米空軍空中給油機から給油支援を受け飛行した。

「レッド・フラッグ・アラスカ (RED FLAG-Alaska)」は、上述の空域で10日間行われる実戦を模した演習、2006年以降毎年4回行われている。それ以前は、1976年から太平洋空軍主催の「コープ・サンダー(COPE THUNDER)」として実施されてきた。

「RED FLAG Alaska」演習では、防御側「レッド/Red」と攻撃側「ブルー/Blue」に分かれて戦い、裁定は「ホワイト/White」部隊が行う仕組み。数々の電子装置を使い、地対空ミサイルや空対空ミサイル、地上からの支援、などを想定した訓練が行われる。毎回、アイルソン空軍基地にはおよそ1,000人の将兵と60機の航空機、JBEF基地には航空機70機が進出して、一日2回の戦闘演習が行われる。演習空域は、カナダ西部を含め総計67,000平方マイルに達する。

参加は、米空軍の他に海軍、陸軍、海兵隊、および他の外国から参加できる。

米太平洋空軍によると、今回の「RED FLAG Alaska 23-2」、つまり今年2回目の演習は、6月12日から23日までの間実施した。米軍からの参加人員は2,000名、32部隊から航空機70機、これに日本の航空自衛隊と韓国空軍が参加して行われた。

アイルソン空軍機地 (Eielson AFB)はアラスカ中部フェアバンクスにあり、エレメンドルフ・リチャードソン統合基地 (Joint Base Elmendorf-Richardson)はアンカレッジ近傍に位置する。

図19:(Defense Visual Information Distribution Service)アラスカ州アイルソン空軍基地(Eielson AFB, Alaska)で発進準備中の空自F-15J戦闘機。

図20:(Defense Visual Information Distribution Service)アイルソン空軍基地で発進待機中の空自F-145J戦闘機部隊。

  • 28日、沖縄周辺空域で空自は米空軍と共同訓練を実施

空自那覇基地第9航空団F-15戦闘機4機と南西航空警戒管制団は、米空軍F-35A戦闘機4機、B-52爆撃機2機、およびKC-135空中給油機1機と沖縄周辺の太平洋と東シナ海空域で共同訓練を実施した。

  • 9日、中国軍機37機台湾南西の防空識別圏に侵入。24日、中国軍機24機が台湾周辺で防空指揮月圏に侵入。

台湾国防部は9日、中国軍機37機と艦艇5隻が台湾海峡中間線付近で活動、J-16戦闘機やH-6爆撃機の一部は防空識別圏を侵犯し台湾軍を威嚇した。飛来した中国軍機はJ-16戦闘機14機、運油20空中給油機2機、H-6爆撃機4機、Y-9情報収集機2機、無偵7偵察型無人機1機、空警500早期警戒機2機、であった。

24日、中国軍機19機が台湾海峡中間線付近で活動、うち11機が中間線を超え台湾に接近し、また艦艇5隻も中間線付近で活動、軍事的圧力を加えてきた。飛来した中国軍機はJ-16戦闘機、スホイ30戦闘機、H-6爆撃など。

図21:(台湾国防部)台湾への示威飛行を行った中国軍J-16戦闘機。

  • 29日米国が台湾へ武器売却を発表、これに対し中国は30日海空軍が沖縄・台湾周辺で活動・反発

米政府は29日、台湾に対し4億4000万ドル(640億円)の弾薬などの売却を決定、と発表した。売却内容は、台湾が開発した装甲戦闘車CM34に搭載する30 mm口径機関砲が使う弾丸、それに車両の修理備品が加わる。米政府は「台湾軍を近代化し、防衛能力を維持強化する努力を支援する措置だ、これは地域の安全保障に資する活動である」と声明を発表した。

図22:(台湾国防部)台湾独自開発の8輪駆動CM34「雲豹」装甲戦闘車は米国製Mk 44ブッシュマスターII 30 mm機関砲を装備する。昨年6月に年間72輌生産する生産ラインを公開。したがって台湾軍にはすでに100両以上が配備されていると推定できる。これをベースにした105 mm砲搭載型の試作も行われている。

30日には、米下院軍事委員長マイク・ロジャース(Mike Rodgers)氏が率いる同委員会所属議員9名が訪台し、蔡英文総統と会談した。

これら米国の行動に対し、中国軍機24機が台湾周辺に飛来、艦艇5隻と共に行動し、「戦闘即応パトロール」を行い、抗議の意思を表明した。

これは、去る3月1日発表した6億1000万ドルに続く台湾支援措置で、米国の台湾に対するコミットメントに変わりがないことを示している。3月1日支援の内容は、AMRAAM中距離空対空ミサイル200発、AGM-88B HARM 対レーダーミサイル100発などを含んでいる。

―以上―