令和5年9月、我国周辺での中露両軍の活動と我国/同盟諸国の対応



2023(令和5年)-10-09 松尾芳郎

令和5年9月、我国周辺における中露両軍および北朝鮮の活動と、我国および同盟諸国の動きに関し各方面から多くの発表があった。今月の注目すべきニュースは次の通り。

(Military threats from Chinese, Russian Forces and North Korea are tensed up in September. Japan and Allies conducted multiple large scale exercises for retaliation. Following were main issues.)

  1. ロシア海軍艦艇の動き
  2. 中国海軍艦艇の動き
  3. 中国海軍空母「山東」を含む艦隊、太平洋上で演習、南シナ海に入る
  4. 中国「福建省と台湾の統一計画」を発表、同時に台湾周辺で大規模演習
  5. ロシア軍情報収集機IL-20が本州太平洋沿岸および日本海沿岸を飛行
  6. 中国海洋調査船、尖閣諸島海域にブイ/浮標を設置、尖閣支配を目論む
  7. 陸自高射特科群および空自高射群は、米国で陸自・中SAMと空自・ペトリオット対空ミサイルの共同実射訓練
  8. 海自「いずも」を含むIPD23部隊は、南シナ海で対潜水艦訓練
  9. 海自「いずも」を含むIPD23部隊、西太平洋上で米海軍、カナダ海軍と3カ国合同演習「ノーブル・ステイングレイ/Noble Stingray」
  10. 海自潜水艦「せきりゅう」をハワイ州パールハーバー・ヒッカム統合基地に派遣、ハワイ周辺海域で米海軍と対潜水艦訓練
  11. 海自輸送艦「しもきた」、太平洋沿岸/沼津海浜演習場で米海軍と上陸訓練、同日海自護衛艦、相模湾で米海軍艦艇と共同訓練
  12. 空自F-35A戦闘機部隊、米グアム・アンダーセン空軍基地および濠洲テインダル空軍基地への機動展開訓練(8月25日〜30日)を完了
  13. 空自戦闘機4機、日本海上空で米空軍・海軍・海兵隊航空軍・計29機と戦術訓練
  14. 米第7艦隊第7遠征攻撃軍団掃海艦、石垣島に寄港
  15. 米海軍無人艦、太平洋を横断・横須賀基地に入港

以下に各項目を説明する。

  1. ロシア海軍艦艇の動き
  2. 9月1日北海道礼文島北70 kmの海域を、スラバ級ミサイル巡洋艦(011)、ステレグシチー級フリゲート2隻(333および335)、マルシャル・ネデリン級ミサイル観測支援艦(331)の4隻が北東に進み、宗谷海峡を通過、オホーツク海に入った。

図1:(統合幕僚監部)1976-1990年間に4隻建造。満載排水量11,300 ton、全長186 m、最大測量32 kts。3番艦「ヴァリヤーグ」は1989年竣工、太平洋艦隊旗艦を務める。1番艦「モスクワ」黒海艦隊旗艦は2022-4-14にウクライナ軍の攻撃で沈没。

  • 9月1日タランタルIII級ミサイル護衛哨戒艇2隻(971および991)がオホーツク海から宗谷海峡を西に進み、日本海に入った。

図2:(統合幕僚監部)宗谷海峡から日本海に入るタランタルIII級ミサイル護衛哨戒艇。

  • 8月19日-30日にかけてビシニア級情報収集艦(208)は、津軽海峡、三陸沖、伊豆大島、房総半島、四国沖を通過、鹿児島県大隅半島沖で反転、往路と同じ航路を北上、北海道南岸沿いでオホーツク海へ、それから宗谷岬を通過、日本海に戻った。

図3:(統合幕僚監部)ヴシニア級情報収集艦は8月下旬10日間に渡り本州南岸海域を往復した。

図4:(統合幕僚監部)ヴィシニヤ級(Vishnya class)は1980年代にポーランド・グダニスク造船所で7隻が建造され、現在もロシア海軍で使用中。満載排水量3,400 ton、速力16 kts、写真は「SSV-208」クリルイ。1987年就役で太平洋艦隊に所属。

2。中国海軍艦艇の動き

9月11日中国海軍ルーヤンIII級ミサイル駆逐艦2隻(133および134)、ジャンカイII級フリゲート2隻(523および537)、ソブレメンヌイ級ミサイル駆逐艦(139)、の5隻が沖縄本島―宮古島の海峡を南東に進み太平洋に出た。

同日ルーヤンII級ミサイル駆逐艦(151)、ルーヤンIII級ミサイル駆逐艦(154)、およびソブレメンヌイ級ミサイル駆逐艦(137)、の3隻が沖縄県尖閣諸島大正島北東230 kmの海域から宮古海峡を抜け太平洋に進出した。

9月14日-15日の間、同11日に太平洋に出た合計8隻のうち5隻、すなわち、ソブレメンヌイ級ミサイル駆逐艦2隻(137および139)、ルーヤンIII級ミサイル駆逐艦(154、133および134)、が太平洋から宮古海峡を通過、再び東シナ海に戻った。

図5:(統合幕僚監部)

図6:(統合幕僚監部)

図7:(統合幕僚監部)

図8:(統合幕僚監部)

図9:(統合幕僚監部)

図10:(統合幕僚監部)

図11:(統合幕僚監部)

図12:(統合幕僚監部)

図13:(統合幕僚監部)9月11日から15日にかけての中国艦隊の動き。

図14:尖閣諸島の位置を示す地図。

  • 9月12日ジャンカイII級フリゲート(550)は日本海から対馬海峡を通過東シナ海に入った。

図15:(統合幕僚監部)9月12日、東シナ海から対馬海峡を経由日本海に入ったジャンカイII級フリゲート。

3。中国海軍空母「山東」を含む艦隊、太平洋上で演習、南シナ海に入る

9月13日~15日の間、空母「山東(17)」、ジャンカイII級フリゲート2隻(500および536)、ルーヤンIII級ミサイル駆逐艦2隻(164および173)、およびフユ級高速戦闘支援艦(905)、合計6隻の艦隊が沖縄県宮古島の南650 km/台湾の南東/ルソン島北東の海域で艦載機の離発艦訓練を約60回をを行い、その後南シナ海に入った。

図16:(統合幕僚監部)空母「山東(17)」は大連船舶重工業で建造、2019年末就役で南海艦隊所属、海南島三亜が母港。満載排水量67,000 ton、全長315.5 m、飛行甲板最大幅75.5 m、速力30 kts、J-15戦闘機32~36機、Z-9ヘリ2機を搭載。発艦は12度勾配のスキージャンプで行う方式、着艦はアレステイング・ワイヤ4本で捕捉停止。1番艦「遼寧」より大型・効率向上している。

図17:(統合幕僚監部)空母「山東」艦隊は9月13日演習後、15日に台湾南バシー海峡を通過南シナ海に入る。

4。中国政府「福建省と台湾の統一計画を発表、同時に台湾周辺で大規模演習

9月12日、中国は、台湾との一方的な「融合発展計画」を発表したが、台湾国防部は翌13日の午前に「中国は演習と称して海軍と空軍で台湾を取り囲み、威嚇を行なった」と発表した。J-10戦闘機を含む20機以上の中国機が福建省から飛来、台湾南西の防空識別圏を含む西太平洋/バシー海峡の空域に進出、前項「3. 中国海軍空母「山東」を含む艦隊、太平洋上で演習、南シナ海に入る」で述べた「山東」を含む20隻の艦隊と合同訓練を行なった。

中国政府は、8月に台湾軍が米本土で米台軍事演習を行なうなど米台接近が進んでいることに苛立ち台湾周辺での演習を増やしている。

9月12日発表の「融合発展計画」とは「中国政府は福建省を台湾海峡両岸の融合発展のためのモデル地区にする」という内容で、台湾海峡両岸の経済的融合を進め、平和統一を目指す、と云っている。

米国の某コンサルテイング社は「一連の行動は、いざとなれば台湾を武力統一するという中国の以前から唱えてきた目標と一致する。来年1月13日の台湾総統選と立法委員選が近ずくに従い、この種の威嚇は一層増えるだろう」と話している。

  • 9月17日-18日の間、これまでで最大規模となる中国軍機103機が台湾周辺に飛来、威嚇飛行を行なった。台湾国防部によると、この行動は台湾海峡と台湾の安全保障に対する“深刻な挑戦”とし、このような破壊的行動をただちに止めるよう求める、と声明を発表した。

図18:(台湾国防部)2023年9月17日-18日における中国軍機103機の威嚇飛行経路

5。ロシア軍情報収集機IL-20が本州太平洋沿岸および日本海沿岸を飛行

9月15日昼間ロシアの情報収集機IL-20型機1機がシベリアからオホーツク海経由太平洋に飛来、反転してオホーツク海から日本海に向け立ち去った。

また同日別のIL-20型機1機がシベリアから日本海の新潟県佐渡島沖まで飛来、反転して往路と同じ経路で立ち去った。

図19:(統合幕僚監部/航空自衛隊撮影)IL-20M情報収集(ISR)機」はイリューシン「IL-18」ターボプロップ輸送機を電子情報支援機に改造した機体。NATOコードでは「クート(coot)」。長さ37.4 m、翼幅35.9 m、エンジンはAI-20Mターボプロップ4,350 hp X 4基、最大離陸重量64 ton、巡航速度675 km/hr、航続距離は約4,000 km

図20:(統合幕僚監部/航空自衛隊撮影)

6。中国海洋調査船、尖閣諸島海域にブイ/浮標を設置、尖閣支配を目論む

7月2日東シナ海、尖閣諸島魚釣島北西80 kmの我国EEZ/排他的経済水域内に中国海洋調査船「向陽紅22」が中国寧波から尖閣諸島海域に航行、直径10 mのブイを設置して立ち去った。9月に海保が発表した。設置場所は北緯26度4分、統計122度24分とされる。政府は外交ルートを通じて中国側に抗議、即時撤去を求めた。

ブイの設置は尖閣諸島周辺海域の管轄権を既成事実化し実効支配を狙う試みに他ならない。

海上保安庁によるとブイには「中国海洋観測浮標QF212」の表記があった。係留型のブイは2013年と2019年にも同じ位置に設置され、ケーブルが切れて流されるたびに新しいブイが設置されてきた。

海保元幹部は「中国は少しずつ刻んで工作する【サラミスライス戦術】で少しずつ事態を進めている。我国は異変を把握した時は直ちに反応する必要がある」と語っている。

7。陸自高射特科群および空自高射群は、米国で陸自中SAMと空自ペトリオット対空ミサイルの共同実射訓練

9月12日-12月6日のほぼ3ヶ月に渡り、陸上自衛隊の北部・中部・西部各方面隊所属の各高射特科群、第15高射特科連隊および高射教導隊は、航空自衛隊の各高射群および支援部隊と共同で米陸軍と、米国ニューメキシコ州マクレガー射場 (McGregor Rang, New Mexico)で陸自「中SAM」および空自「ペトリオット」の実弾射撃訓練を実施中である。

図21:(McGregor Range Home)マグレガー射場は広さ60万エーカー以上。陸軍の訓練期間以外は陸軍の許可[FBTC=Fort Bliss Training Complex Recreational Access Permit]を取得すれば誰でも立ち入る事ができる。1エーカーは一辺が約63.6 mの正方形の面積で、4,047平方メートルに相当。

  • 陸自「中SAM」:中距離防空用地対空ミサイル。三菱電機が主契約、三菱重工が誘導弾、東芝がレーダーを担当し製造。2003年から調達開始、陸自各方面隊の高射特科群(4個高射中隊編成)中心に配備が進んでいる。高射特科群は、6連装発射装置車複数台、射撃用レーダー装置積載車両、レーダー信号処理・電源車、運搬装填装置搭載車両、などで編成される。

2017年以降、巡航ミサイルや空対地ミサイルへの対処能力を向上した「中SAM改」の調達を開始、2020年末に第15高射特科連隊第1高射中隊から配備が始まった。

2023年度から、新型短距離弾道ミサイル(SRBM)と極超音速滑空体(HGV)への対処能力を高めた「中SAM改(改善型)」の開発が始まっている。

図22:(陸上自衛隊)高射教導隊所属の6連装中SAM発射装置車。「中SAM」本体は全長4.9 m、直径32 cm、重さ570 kg、弾頭重量73 kg、射程60 km以上と言われる。

図23:(陸上自衛隊)陸上自衛隊の方面隊区分。今回実弾射撃演習に参加するのは北部・東部・西部の各方面隊所属の高射特科群と沖縄県第15旅団麾下の第15高射特科連隊および千葉県陸自高射学校隷下の高射教導隊である。

  • 空自「ペトリオット(Patriot)」:北部・中部・西部・南西の各方面隊所属の4個高射群に配備される合計24個高射隊に配備されている。各高射隊は発射機5機、射撃管制装置、レーダー装置、アンテナ装置、電源車、無線中継装置、等の車両で構成される。各高射隊の発射機はPAC-2用が3機・PAC-3用2機の編成。2019年の中期防衛力整備計画でPAC-3 MSEへの改修が開始されている。

ペトリオット(MIM-104 Patriot)システムは米国レイセオン(Raytheon)が開発した広域防空用地対空ミサイル。約20ヶ国で運用されている。

発射機はM901がPAC-2弾4発用、M902がPAC-3弾16発を搭載できる。PAC-2/PAC-3いずれも弾道ミサイル対応型だが、PAC-3は目標識別・捜索能力・通信能力が向上している。但し最大迎撃半径はPAC-2推定160 kmに対しPAC-3は対航空目標70 km/推定、弾道ミサイル目標20 kmと短い。「ミサイル・システム強化型/PAC-3 MSE (Missile System Enhancement)」では、射程は航空目標100 km、弾道ミサイル目標30 kmに改善されている。空自が採用するのはPAC-2、PAC-3、PAC-3 MSE。

図24:(航空自衛隊)中部航空方面隊所属の中部高射群・入間基地第4高射隊に配備のPAC-3発射機M902。

8。海自「いずも」を含むIPD23部隊は、南シナ海で対潜水艦訓練を実施

9月4日IPD23所属のヘリ空母「いずも」護衛艦「さみだれ」潜水艦1隻は、南シナ海で対潜水艦訓練を実施した。

図25:(海上自衛隊)南シナ海で対潜訓練をする「いずも」、「さみだれ」、「潜水艦」。

9。海自「いずも」を含むIPD23部隊、西太平洋上で米海軍、カナダ海軍と3カ国合同演習「ノーブル・ステイングレイ/Noble Stingray」を実施

9月5日、6日の両日、海自IPD23部隊所属のヘリ空母「いずも」、護衛艦「さみだれ」、潜水艦1隻は沖縄南方の太平洋上で、米海軍ミサイル駆逐艦「ラルフ・ジョンソン/USS Ralph Johnson- DDG 114」、カナダ海軍フリゲート「オタワ/HMCS Ottawa- FFH 341」、と共同訓練「ノーブル・ステイングレイ(Noble Stingray)」を実施した。

図26:(海上自衛隊)共同訓練「ノーブル・ステイングレイ(Noble Stingray)」に参加した日米加3ヶ国海軍。奥から「ラルフ・ジョンソン」、「いずも」、「オタワ」。

  • 9月9日、海自IPD23部隊と別れた米海軍ミサイル駆逐艦「ラルフ・ジョンソン/USS Ralph Johnson- DDG 114」とカナダ海軍フリゲート「オタワ/HMCS Ottawa- FFH 341」の2隻は、折からの悪天候の中、台湾海峡を通過、航行の自由作戦を実施した。

図27:(US 7th Fleet)9月9日台湾海峡で航行の自由作戦を行った米海軍ミサイル駆逐艦「ラルフ・ジョンソン/DDG 114」と後方にカナダ海軍フリゲート「オタワ/FFH 341」。

  • 9月12日、海自艦隊は参加しなかったが、米海軍第7艦隊麾下空母打撃群71(CTF 71)のミサイル駆逐艦「ラルフ・ジョンソン/DDG 114」とカナダ海軍フリゲート「オタワ/FFH 341」は南シナ海で水上戦闘訓練「ノーブル・ウオルベリン(Noble Wolverine)」を行なった。

図28:(US 7th Fleet) 「ノーブル・ウオルベリン(Noble Wolverine)」訓練に参加したカナダ海軍フリゲート「オタワ/FFH 341」。ハリファックス級フリゲート(Halifax class Multi-Role Patrol Frigate)12隻中の12番艦、1996年就役、満載排水量5,200 ton、全長135 m、速力29 kts。対潜水艦、対水上艦、対空装備を備える多機能艦である。

10。海自潜水艦「せきりゅう」をハワイ州パールハーバー・ヒッカム統合基地に派遣、ハワイ周辺海域で米海軍と対潜水艦訓練を実施

9月19日~12月21日の間、海上自衛隊は今年度第2回となる潜水艦米国派遣訓練を実施中。場所はハワイ州オアフ島パールハーバー・ヒッカム統合基地(Joint Base Pearl Harbor-Hickam, Honolulu, Hawaii) とその周辺海域で、派遣潜水艦は「せきりゅう/SS 508」、対潜水艦戦訓練を実施中である。

図29:(海上自衛隊)2017年3月28日、神戸川崎重工で完成、同13日に引き渡された「せきりゅう/SS 508」が配属先の呉基地第1潜水隊群・第5潜水隊に到着した時の写真。「せきりゅう」は水中排水量4,200 ton、全長84 m、水中速力20 kts、のAIP通常動力型潜水艦で「そうりゅう」型の8番艦。「「そうりゅう」型は12隻建造され、10隻がスターリング機関搭載型、最後の2隻はリチウムイオン(Li-ion)電池搭載型になっている。

11。海自輸送艦「しもきた」、太平洋沿岸/沼津海浜演習場で米海軍と上陸訓練を実施、同日海自護衛艦、相模湾で米海軍艦艇と共同訓練を実施

9月25日-10月3日の間、海自輸送艦「しもきた」と揚陸艇LCAC、護衛艦「みくま」、掃海艇「やくしま」「たかしま」および掃海ヘリ”MCH-101”は、米海軍LCACと、九州西方から四国沖を経て駿河湾に至る海空域及び沼津海浜訓練場で、LCACのクロスデッキ訓練、上陸訓練(Beaching Exercise)、捜索救難訓練などを行なった。

図30:(Wikipedia)「しもきた/LST-4002」は、三井造船玉野で建造、2002年就役、1番艦「おおすみ/LST-4001」3番艦「くにさき/LST-4003」と共に第1輸送隊に編入、呉基地に配属されている。満載排水量14,000 ton、全長178 m、速力22 kts、陸自隊員330名と大型トラック55台、戦車18両を搭載できる。艦内後部ウエルドックにホバークラフト揚陸艇LCACを2隻搭載、飛行甲板はMV-22オスプレイ・CH-47大型輸送ヘリの離着艦が可能。

  • 9月21日相模湾で海自護衛艦「ゆうだち」は米海軍ミサイル巡洋艦「ロバート・スモールズ」と戦術訓練を行なった。

「ゆうだち/DD-103」:「むらさめ」型護衛艦9隻の3番艦、住友重機追浜造船所で建造、1999年就役で第3護衛隊群第7護衛隊大湊基地に配備されている。満載排水量6,200 ton、全長151 m、速力30 kts、62口径76 mm単装砲とMk 48 VLS 16セル垂直発射筒1基を備える。

「ロバート・スモールズ/USS Robert Smalls(CG-62)」:「タイコンデロガ/Ticonderoga-class guided missile cruiser」級ミサイル巡洋艦27隻中の16番艦、1989年に「チャンセラービル/USS Chancellorsville」の名称で就役して2015年横須賀基地第7艦隊に配属、この名前は南北戦争で南軍が勝利した地名。2023年になると著名な黒人政治家に因み名称を「ロバート・スモールズ」に変更した。満載排水量9,500 ton、全長172 m、速力30 kts、62口径127 mm単装砲1門、Mk.41 VLS 122セルを備える。

図31:(海上自衛隊)相模湾で演習する左が海自護衛艦「ゆうだち/DD-103」、右が米ミサイル巡洋艦「ロバート・スモールズ/CG-62」。

12。空自F-35A戦闘機部隊、米グアム・アンダーセン空軍基地および濠洲テインダル空軍基地への機動展開訓練を実施(8月25日〜30日)・完了

TokyoExpress 2023-08-23「中露軍の脅威に対抗、空自・米豪空軍との共同訓練を1段と強化」の7ページ以降に記載した「空自F-35A戦闘機部隊のグアムおよび豪州への展開訓練」は予定通り実施され、成功裡に完了した。

図32:(航空自衛隊)グアム・アンダーセン空軍基地(Andersen Air Force Base, Guam)での空自F-35A、第3航空団301飛行隊所属の機体。

図33:(航空自衛隊)訓練終了後、オーストラリアのノーザン・テリトリー州テインダル空軍基地 (Royal Australian Air Force Base Tindal, Northern Territory)のハンガー内で休息する空自F-35A。

13。空自戦闘機4機、日本海北部上空で米空軍・海軍・海兵隊所属合計29機と戦術訓練を実施

9月15日青森県西の日本海空域で、空自千歳基地第2航空団所属のF-15J戦闘機4機および三沢基地の北部航空警戒管制団(レーダー)は、米空軍F-16戦闘機15機およびAC-130対地攻撃機(ガンシップ/Gun Ship)1機、米海軍EA-18Gグロウラー電子戦機5機、および米海兵隊F-35B戦闘機8機と各種戦術訓練を行なった。

図34:(U.S. Air Force) AC-130対地攻撃機はC-130輸送機を改造、ボフォース(Bofors)L60 40 mm機関砲やM102 105 mm榴弾砲を装備した対地攻撃用にした機体。写真は105 mm砲を発射している様子。米空軍は30機以上を保有している。

14。米第7艦隊第7遠征攻撃軍の掃海艦、石垣島に寄港

9月9日、米海軍のアベンジャー級掃海艦パイオニア(MCM 9)/Avenger-class mine countermeasures ship Pioneer (MCM 9)は台湾に近い南西諸島の石垣島を訪問・寄港して出航した。この訪問は日米同盟の強固さを示すもので、西太平洋の防衛に関わる米海軍の揺るぎない姿勢を示したもの。

「パイオニア」艦長チェイス・ハーデイング(Chase Harding)中佐は「我々の母港は佐世保だが常に同盟国日本と共同で事態に対処している」と話している。石垣島では、海岸の砂浜の清掃作業に参加し、海上保安庁の隊員、八重山警察署の警察官、市役所の職員と面会、交誼を深めた。

図35:(7th Fleet Photo)石垣島埠頭に停泊する掃海艦「パイオニア(MCM 9)」。同艦は、第7遠征打撃群(Expeditionary Strike Group 7)配下の第7機雷掃海中隊(MCMRON 7 =Mine Countermeasures Squadron 7)に所属している。1992年就役。アベンジャー級掃海艦14隻中の9番艦。同型艦8隻が海外展開中だが、4隻は佐世保、4隻はバーレン(Bahrain)に配備されている。満載排水量1,400 ton、全長68 m、構造は木製だが至近距離で機雷が爆発しても耐えられるよう頑丈にできている。

15。米海軍無人艦、太平洋を横断・横須賀基地に入港

9月18日、米海軍無人艦(USV=unmanned surface vessel)の「レンジャー(Ranger)」と「マリナー(Mariner)」、いずれも米海軍「第1無人水上艦部隊(USVDIV-1=Unmanned Surface Vessel Division ONE)に所属、が「Integrated Battle Problem(IBP) 23.2」演習の一環として横須賀軍港に到着した。

「IBP 23.2」演習は、今年初めに行われた米太平洋艦隊の[IBP 23.1]演習に続くもので、インド・太平洋区域での無人艦の運用試験を目的としたもの。

横須賀に到着する前には「カール・ビンソン/USS Carl Vinson (CVN-70)」第1空母打撃群(Carrier Strike group 1)」と共同訓練[Large Scale Exercise 2023]を行なった。

これらを通じ、大型の無人水上艦と有人水上艦との高度なチーム編成に至るコンセプトの開発を図ることを目的としている。今後は第7艦隊の下で、沖縄配備の第3海兵遠征軍、第76任務部隊、第15駆逐艦隊などと連携してUSVの能力向上に努める。

2隻の無人艦(USV)は、米西海岸のサンデイゴ(San Diego)から横須賀まで出入港時を除く全ての期間、乗員の監視のもとで自律航行をした。

米海軍では中国海軍の増強に備え、将来「USV」に「ISR /情報・監視・偵察」、通信連絡、の任務に加えて、対潜戦支援、ミサイル発射プラットフォーム、物資輸送、など広範囲の任務を想定しており、これらに関する試験を急いでいる。

図36:(YouTube /US Navy)横須賀に入港した無人水上艦(USV)「レンジャー/Ranger」。2013年に石油掘削用リグへ物資等を輸送する高速船として建造されたのを、米海軍が購入し無人水上艦に改造した。これを試験運用し習得した技術で大型艦を開発する。

―以上―