医学

「受動喫煙論議」全面禁煙に勝る対策なし

 「百害あって一利なし」と分かっていながらどうしてすっきりと解決できないのだろうか。今回はたばこの話である。

 2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、厚生労働省が他人の吸うたばこの煙を吸い込む受動喫煙を防ぐための法案(健康増進法の改正案)をまとめた。焦点の飲食店は原則店内を禁煙にしたが、喫煙専用室の設置を許可、さらにバーやスナックなどの小さな飲食店は例外的に喫煙を認めた。

「臓器移植法の施行から20年」 どうしたらドナー増やせるのか

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臓器移植法が施行されて来年でちょうど、20年を迎える。ドナー(臓器提供者)とその臓器がないと自らの命を維持できないレシピエント(患者)とを結び付けて支えるのが、臓器移植法だ。しかし20年が経過するというのに日本のドナーの数は、世界で最低だ。臓器移植という高度な医療技術があるのにドナー不足で患者が救えない。日本はどうしたらドナーを増やせるのだろうか。

はしか対策 予防接種を正しく理解して感染なくそう

大阪府の関西国際空港で集団感染が起きるなど「はしか」の感染が続いている。国立感染症研究所によると、9月11日までに報告された患者数は計115人で、昨年の患者数の3倍を超える。

 9年前にも若者の間で大流行し、大学や高校が相次いで休校する騒ぎがあった。

「ハイブリッド肺移植」 生体移植の苛酷さ自覚したい

今回は生命倫理の絡んだ移植医療の問題について論じたい。

 今年7月17日、岡山大病院が世界2例目の「ハイブリッド肺移植」の手術に成功した、と発表した。ハイブリッドとは「混成物」の意味で、ハイブリッド肺移植は脳死したドナー(臓器提供者)と健康な生体ドナーの双方から肺の提供を受け、同時に患者に移植する手術である。昨年4月に岡山大病院が世界で初めて成功した。

  最高裁判決をきっかけに認知症対策を真剣に考えよう

認知症の高齢者が徘徊中に列車にはねられ、JR東海が振替え輸送の費用を家族に求めた訴訟で、最高裁が3月1日、1、2審の判決を覆して画期的な判決を下した。「家族には損害賠償責任がない」という初判断。認知症の高齢者を介護する家族にとって朗報である。

 ただし最高裁は「家族が監督義務者に当たるかは総合的に考慮すべきだ」とも判断している。つまり介護する家族に監督義務がなくなったわけではなく、今後もケースごとに個別の事情を考えて決めていかなければならない。

 「ジカ熱と小頭症」感染拡大の向こうに健康弱者がいる

WHO(世界保健機関)が2月1日、蚊が媒介する感染症の「ジカ熱」について「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言した。緊急事態宣言は、一昨年8月のエボラ出血熱以来のことである。

 ブラジルなど中南米でアウトブレイク(流行)し、日本でもブラジルから帰国した川崎市の高校生が感染していたことが最近、分かった。このジカ熱、妊婦が感染すると、小頭症の子供が生まれる危険性が指摘されている。

「化血研の不正」 薬はだれのためにあるのか

一般財団法人・化学及(および)血清療法研究所(化血研、熊本市)が、40年以上も前から血液製剤やワクチンを未承認の方法で製造し、その事実を隠蔽していた。昨年暮れのニュースである。化血研は薬害エイズ訴訟(民事)の被告企業のひとつで、激しい批判にさらされ、猛反省したはず。それがなぜ、患者を裏切るような行為を続けていたのか。

 医療事故調スタート 制度を見直し大きく育てよう

医療事故調査制度が10月1日からスタートした。死亡事故の原因を調べ上げ、再発防止を目指すのが目的だ。10年以上前からの念願の制度が始まったことは評価できるが、はっきり言って課題の多いシステムである。今後、大小の問題やトラブルが発生するだろう。制度の見直しと改善が求められる。

特定機能病院の取り消し、どこか「たが」が緩んでいませんか

医療安全に問題があるとして厚生労働省は群馬大病院と東京女子医大病院の「特定機能病院」の承認を6月1日に取り消した。特定機能病院は高度な医療を安全に提供できると厚労省から〝お墨付き〟を与えられた施設で、全国に86病院ある。大半が大学病院だ。

 承認が取り消されると、診療報酬上の優遇が受けられなくなり、年間億単位の減収となる。病院経営にとって大きな痛手だ。

「人はどこまで長生きしていいのか」 生命倫理研究者を取材した

橳島次郎さん

いつまでも健康で長生きしていたい。古くからの人類の欲望だ。いま科学技術の急速な進歩がこの不可能な願いをかなえつつある。近い将来、iPS細胞(人工多能性幹細胞)やES細胞(胚性幹細胞)などを使った再生医療によって壊れた体の一部を新しいものと交換できるようになる。