『B777-X、ローンチング前に870億ドル相当の発注交渉進展か』


ーエミレーツ航空等、湾岸の3強が導入の先頭を走るー

2013-10-30     マーク・デブリン(米フロリダ州マイアミ)

ボーイングの次世代新大型機、B777-Xシリーズの大量発注交渉が水面下で進行している。有力経済メディア『ブルームバーグ』が特ダネ扱いで10月30日、報じた。首尾よく交渉がまとまれば、契約総額は870億ドルと空前の規模。エミレーツ航空など湾岸の3大航空会社が交渉相手だ。11月17日、ドバイで開催予定の航空ショーで未曾有の航空機購入契約の全貌が明らかになる。

B777-X型機はボーイング社の”打ち出の小槌”、B777型機在来タイプの全面モデルチェンジ。乗客400人以上を乗せ、ノンストップで1万5千㌔を飛行、燃料消費を2割節約する優れもの。白紙状態から設計図をひかず、実用化済みのハイテク技術で既存の機体の性能向上をはかる発想。

これだと開発段階の経費を押さえ込める他、新技術導入時のトラブル続出から解放される。B787型機のリチューム・イオン電池でさんざん苦労したトラウマからボーイングが脱出出来る保守的選択である。ただ両主翼が70㍍を超すため、空母艦載機で馴染みの折りたたみ設計を採用、外見上の特徴となる。

ライバルのエアバスがA330、A350XWBのコンビでボーイングのB787、B777ミックスを攻め立て、有力航空会社からボ社にB777-Xシリーズのプロジェクト開始の加速要求が強まる一方だった。

B777-X型機開発の正式ローンチング表明はドバイ航空ショー開催に合わせると見るのが衆目の一致する見方。果たして、その時点でボーイングがどの程度の初期発注に恵まれるかが焦点となっていた。有力な売り込み先と目された、日航がライバル機種のA350XWBに切り替え、シアトルの民間航空機部門は暗雲がたれ込む雰囲気だった。

しかしB777型機を175機も購入したエミレーツ航空のティム・クラーク社長はB777-X型機に熱い視線を送り続けてきた。案の定、有力メディアがこのところ、エミレーツ航空のB777-X大量発注の動きを報じ、ボーイングに光が差し出した。そこへブルームバーグのB777-X型機の空前の規模の購入交渉進行の衝撃の報道である。エミレーツ航空は仮発注を含め 、255機、カタール航空が50機、エチハド航空が30機、キャセイ航空が25機ーが水面下で進行中の購入交渉の全貌だと言う。ルフトハンザ航空は9月、B777-X、34機の導入を決定している。

にわかにボーイング反撃の動きとなったわけで、ドバイの航空ショーは航空関係者に取って目が離せなくなった。