露海軍で手強い攻撃型原子力潜水艦、就役


2014-1-14    ジョン・ボスニッチ(ベオグラード)

 

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図:(Russian Navy)ロシア海軍855M ヤーセン(Yasen)級攻撃原潜の1番艦が、北極海/白海に面したセブマッシュ(Sevmash)造船所で完成、「セベロドビンスク(Sevrodvinsk)」と命名、2013-12-30に海軍に引渡された。

 セベロドビンスクの諸元」

図:(RIA novosti)ノボスチ通信が2010年に発表した「セベロドビンスク」の完成予想/解説図。

露海軍に手強い攻撃型原子力潜水艦が加わった。名前は「セベロドビンスク」、水中排水量12,800㌧、全長120m、幅15m、動力は出力200メガワットの加圧水型原子炉KPMを1基備える。速力は水上で20ノット、水中静粛運航で28ノット、水中最大で35ノット、潜航深度は最大600mの高性能を誇る。大型艦であるにも拘らず乗員は90名。8連装型VLS(垂直発射装置)を4基または5基装備する。搭載兵装は、射程5,000km級の「アルファ」、「オニックス(Oniks)」などの巡航ミサイル(SLCM)、「クラブ」超音速対艦/対地ミサイルなどで、これらをVLSに合計で32~40発装填する。魚雷は650mm型自立走行魚雷など10発を装備する。ソナーシステムは最新型で、ロシア海軍の原潜として初めて艦首球状ソナーを採用、それに艦側アレイ、牽引アレイからなっている。

露海軍は第四世代の攻撃原潜として885型「ヤーセン」(Yasen)級8隻の建造計画を持っている。

「セベロドビンスク」(Severodvinsk)は、ヤーセン級の1番艦として1993年末に起工されたが、資金難で1996年に工事中断、2003年に追加資金を得て建造を再開し進水は2010年になった。原子炉を含む擬装用機材の準備に手間取り昨年完成、初航海は2011年9月、以来4回の試験航海を経て昨年末12月30日に漸く海軍に納入され、北方艦隊へ配属になったと云う。

2番艦「カザン」(Kazan)は改良型の[885M]型として2009年に起工され、3番艦「ノボシビルスク」(Novosibirsk)は2013年7月に起工されている。いずれも1番艦と同じセベロドビンスク市のセブマッシュ(Sevmash)造船所で建造中である。

敵対潜部隊の探知能力をかわす静粛化にも技術的進歩が見られる。

 米露Sub騒音比較

図:(US Navy)米露潜水艦の騒音比較図。縦軸は騒音レベル、横軸は建造開始年を示す。1990年代に旧ソ連からロシアに代わり「アクラ改(Improved Akula)」級を経て2000年に「セベロドビンスク(Severodvinsk)」級が出現。一方米海軍では1995年の「SSN-21,シーウルフ」級で最低騒音レベルに到達し、2005年の「SSN-774,バージニア」級との間に差がない。今や「セベロドビンスク」級は米原潜並の静粛性に近づいたことを表している。

将来、「セベロドビンスク」級攻撃原潜は露太平洋艦隊にも配備されるのは確実だ。日米双方とも対潜水艦作戦部隊の能力の見直しが浮上しそう。

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