増強著しい中国空軍(その3)


−新型の戦闘爆撃機[J-16]が中国空軍の戦列に加わる–

 

2014-01-26 松尾芳郎

 

この3年間で中国空軍に出現したのは、2種類のステルス戦闘機の原型機、長距離用大型輸送機、攻撃ヘリ、AWACS早期警戒管制機、電子戦偵察機など多数ある。これは他の諸国の航空機開発を遥かに上回るハイペースで、外国の脅威の的となっている。

そして今、ロシアのSu-30Kをベースにした新型の双発、複座の新型戦闘爆撃機[J-16]がリストに加わった。[J-16]は大型で強力なエンジンを備え、大量の兵装を装備、戦闘行動半径も数百km以上に達する。[J-16]は今後中国空軍、海軍の主力機となり、開発中のステルス戦闘機、成都航空機製の[J-20]と瀋陽航空機製の[J-31]が配備される迄の間のギャップを埋めることになろう。

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図:(Chinese Internet) 2013年春の初飛行前、として公開された[J-16] の写真。機首に機体番号”1601”とあるのは[J-16]の1号機であることを示している。すでに24機が完成、配備されている模様。

China J 16 fighter

図:(Chinese Internet) [J-16]は、乗員2名、翼幅14.7m、全長21.9m、最大離陸重量35㌧、2基の[WS-10]エンジンは、アフトバーナ時推力33,000lbs (135kN)。8㌧の兵装を携行、1,000km以上離れた目標を攻撃、帰還できる。

 

[J-16]は2年前から軍事筋の間でその存在が噂されてきた。瀋陽航空機が[J-11B]多目的戦闘攻撃機をベースにして開発に取組み、電子装備をAESAレーダーに換装するなど近代化し、航続距離を伸ばした新型機である。2012年6月頃からウエブサイトなどに現れ始めた。

原型となった[J-11]は、中国が2000年に輸入したスーホイ[Su-30MKK]をライセンス無しでコピー、国産化した機体で140機が実戦配備されている。このためか初期の[J-11]は故障が多く、数回の墜落事故を起こすなど、実用化までに大きな代償を払っている。

エンジンは度々述べた[WS-10]ターボファンを2基、空対空ミサイルPL-10やPL-12は勿論のこと、精密誘導爆弾KD-88ASMやLS-500J LGBなど、8㌧に達する兵装を携行し、航続距離は3,000km。中国軍事筋によると、すでに24機が完成し、空軍で運用が始まっていると云う。

 

−以上−

本稿作成に参照した記事は次ぎの通り。

Golden Eagles News 2014-01-16 “Add This Fighter-Bomber to the List of New Chinese Warplanes” by David Axe in War is Boring

Wikipedia “Shenyang J-16”

China Defence Blog “Chinese J-16 Fighter Latest Photos”