日米共同開発の「全球降水観測主衛星(GPM主衛星)」の打上げ成功


2014-03-01  小河正義

2014-03-06  Revised

 GPM主衛星

図:(NASA) 「全球降水観測主衛星(GPM主衛星)」が軌道上から巨大ハリケーンを見下ろしている想像図。中央が衛生本体で左右に伸びるパネルはソーラー・アレイ。本体上部の箱形はアビオニクス・スタートラッカー、下の箱形は二周波降水レーター(DPR)で、奥がKaバンド(35.5GHz)、手前がKuバンド(13.6GHz)である。箱手前の上に支えられる薄い板状のものはマイクロ波放射計(GMI)。その後には高利得アンテナ(パラボラ)が見える。

 

JAXAとNASA共同開発の「全球降水観測主衛星(GPM主衛星)」は、2014年2月28日早朝種子島宇宙センターから打上げられた。GPM計画は、「GPM主衛星」と複数の副衛星群(11個)により、地球全体の降水を毎日数回観測(3時間ごと)し、詳しく予報しようと云う計画で、今回打上げた主衛星はその中心的役割を担当する。

到着したGPM主衛星

図:(JAXA)NASAゴダード宇宙センターで組立て後、種子島宇宙センターに到着した「GPM主衛星」、総重量3.82㌧。検査の後H-IIロケットに搭載された。

 

「GPM主衛星」の英訳:[Global Precipitation Measurement Mission Core Observatory]。

「GPM主衛星」は、NASAゴダード宇宙飛行センター(Goddard Space Flight Center)で組立てられたが、JAXAなどが開発した二周波降水レーダー(DPR)とボール・エアロスペース(Boulder, Colorado)が開発したマイクロ波放射計(GMI)を搭載している。

[DPR]は、弱い雨から豪雨まで観測でき、雨滴などの大きさとその雲の中での分布状況を知ることが出来る。

[GMI]は、13の異なる周波数で降水の分布を幅広く観測できる。

「GPM主衛星」は、軌道投入後ソーラーパネルを展張し、姿勢制御等の準備を終わって、約2ヶ月後から観測を開始する。これで得られるデータで、地球上の降水状況をこれまでより正確に把握できるようになり、天気予報の精度向上、また、気候変動が降水に与える影響の解明などに貢献できる。

H-IIでGPM主衛星を打ち上げ

図:(JAXA)2014年2月28日午前3時37分種子島宇宙センターから打上げられる「GPM主衛星」を搭載したH-IIAロケット23号機。H-IIAロケットは2001年から運用を開始した2段式ロケット。1, 2段とも液体酸素と液体水素を推進剤に使い、直径は4m、全長は53mのサイズ。本体横に2基の固体燃料ブースターが装着され、打上げ時の加速を補助する。1段目エンジンはLE-7A、2段目のLE-5Bエンジンは発射7分後に点火された。このミッションの費用は合計で1,200億円と云われる。

–以上−

本稿の参考にした記事は次ぎの通り。

NASA GPM News

JAXA 全球降水観測主衛星(GPM主衛星)の打上げについて

Aviation Week Mar. 3. 2014, page 13 “H IIA Orbits GPM Spacecraft”