昨年7月のアシアナ航空着陸失敗事故原因は操縦ミスに加え、同型機の自動操縦装置の複雑さが絡む。NTSBが事故原因の最終報告書。


2014年6月25日(JST.17:30)                            Aaron Terruli

昨年7月、サンフランシスコ国際空港で起きたアシアナ航空着陸失敗事故で、米国の『NTSB(国家運輸安全委員会)』=クリストファー・ハート委員長=は6月24日、最終報告書を纏め、公表した。それによると事故原因は機長が自動着陸装置を十分理解せず、回避のためのゴーアラウンド(着陸復航)のタイミングが遅れる等、”人的ミス”を指摘した。同時に同型機の自動着陸装置の複雑さについて、ボーイング、FAA(米連邦航空局)に再検証を求めた。

この事故は、2013年7月16日、午前11時28分(現地時間)に晴天下で発生した。事故機は滑走路手前の防波堤に激突後、滑走路を暴走、数百㍍先で機体が反転、爆発炎上した。

この事故で乗客、乗員291人中、乗客3人が死亡。同40人に乗客が重傷を負った。また乗員ではコクピット・クルーの1人が重傷、客室乗務員8人が負傷した。

NTSBは最終報告書で機長ら運航乗員は1)最終進入開始時点で ミス・マネージメントを冒した。2)その後も。着陸進入速度のモニターで不適切に行動。3)自動操縦装置に不慣れでシステムを理解していなかった。ーと指摘。機長の操縦ミスが主要原因と結論づけた。しかし、B777型機の自動操縦装置の操作、運用の複雑性も背景にあると指摘。『型式証明』発行の責任を持つ、FAA(米連邦航空局)、ボーイングに対し、同種事故再発防止でシステムの見直しを求めた点が注目される。

事故機は滑走路への降下角度を示す『グライド・スロープ』より機体姿勢が高いため、高度を下げて調整。100㍍ほど低くなったのに速度計の変化をモニターせず、機体のゴーアラウンド(着陸復航)の操作が事故回避には遅すぎ、防波堤に衝突する結果を呼ぶ事になる

NTSBの調査で、機長は自動操縦のメカニズムを理解せず、同航空の同型機のトレーニングに”欠陥”があったという。

クリストファー・ハート委員長はアシアナ航空機事故の教訓を次の様に警鐘をならす。『航空機の操縦等の自動化は空の安全性向上に欠かせない。しかし、システムを差配するのは乗員だ。マン・マシーンの更なる進展でボスはあくまで人間であるのを忘れるな!』。

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[(NTSB)クリストファー・ハートNTSB委員長]