米・攻撃型原潜が絡むロシア領海での強制退去の事実を否定。在欧米軍司令部が反論。


2014年8月13日(JST.11:40)                                  John Bosnitch

北極圏のロシア領海付近で起きた露軍による、米攻撃型原潜の強制退去事件について、『在欧米軍司令部(EUCOM)』はそうした事実は無いと反論、露メディアの報道や転電した欧米有力紙等の報道を否定した。米海軍機関紙の一つ『USNI』が8月13日迄に報じた。

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[(GENARAL DYNAMICS,ELECTRIC BOAT)露が名指しした強制退去の相手艦、バージニア級攻撃型原潜]

今回の事件発生は露の国営メディア、ノーボスチ通信が海軍北方艦隊の高官の言明としていち早く報じた。それにによると、露海軍の対潜索敵部隊が8月7日、バレンツ海のロシア領海付近で潜む米攻撃型原潜『バージニア級』を探知、対潜哨戒機イリューシンIL-38『メイ』も出動し、27分間追尾の結果、強制退去させたとしている。

これに対し、米海軍が沈黙を破り、『在欧米軍司令部(EUCOM)』が声明を出し、『該当海域に当時米攻撃型原潜は存在しない』と露側の指摘した事実に反論した。ただ、米側は『他国の潜水艦の行動を知りうる立場に無い』と一定の含みを持たせた。

攻撃型原潜バージニア級は最新最強で、『静粛性と船体外板の特殊コーティングのステルス性能で探知不能に近い』(欧米に海軍アナリスト)。逆に『静かな海域ほど潜んでいる可能性あり』とのエピソードが広まるほどだ。

事実関係の真相は深海の闇に葬られそうだが、露側の報道の背景に、ウクライナ領のクリミア半島併合後、米露間の軍事的緊張の度合いが日増しにエスカレートしている証拠と指摘される。

今回の攻撃型原潜の領海外退去の報道の他、7月18日、バルト海上空での米空軍電子偵察機RC-135U『リベット・ジョイント』に対する露空軍機スホーイSu27『フランカー』のスクランブル、4月には黒海でパトロール中の米海軍ミサイル駆逐艦『ドナルド・クック』を標的にした露空軍対地攻撃機スホーイSu25型機の12回に及ぶ異常接近事件が起きている。

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[(ILYUSHIN)露海軍対潜哨戒機、イリューシンIL38″メイ”性能向上型]