我が国北部の沿岸でロシア軍の活動が活発化


2015-07-11(平成27年) 松尾芳郎

 

このところ北海道および本州東北部の沿岸空域と海上でロシア軍の動きが活発になっている。

統合幕僚監部によると((27-07-10),7月9日 (木)午前5時半から同11時にかけて、北海道宗谷岬の北東約60 kmの海域を西に航行し日本海に入るロシア海軍艦艇5隻を発見した。折から同海域の警戒に当たっていた八戸第2航空群所属の哨戒機「P-3C」と第1ミサイル艇隊余市基地所属の「くまたか」が、ロシア艦艇の行動を発見、監視した。

ロシア艦艇の動きは次の通りで、ロシア太平洋艦隊旗艦「バリヤーク」ミサイル巡洋艦(艦番号011)を含んでいる。

(1)      午前5時半頃、ソブレメンヌイI級ミサイル駆逐艦1隻 (艦番号715)およびアルタイ改級補給艦1隻

(2)      午前7時頃、スラバ級ミサイル巡洋艦1隻(艦番号011)

(3)      午前8時頃、ウダロイI級ミサイル駆逐艦1隻(艦番号572)

(4)      午前11時頃、ペラ級航洋曳船1隻

 

今回のロシア艦隊の動きとは別に、一部既報したが最近ロシア空軍の電子情報収集機Il-20型機による北海道から本州東北部沿岸空域の偵察飛行が都合3回も連続して行われ、その都度我が空自戦闘機が緊急発進し領空侵犯を防いでいる。すなわち

(1)      7月3日に太平洋沿岸

(2)      7月7日に日本海沿岸

(3)      7月8日に再び太平洋沿岸

07-09ソブレメンヌイI級715

図1:(統合幕僚監部) 満載排水量8,000㌧、17隻竣工したが現役は9隻、ほかに4隻を建造、中国海軍に売却「杭州」級として運用中。対空、対艦戦闘に主眼を置いた艦で、24連装対空ミサイル1基と両舷に4連装対艦ミサイルKT-190を装備する。昨年10月2日宗谷海峡を西進した。

07-09アルタイ改

図2:(統合幕僚監部)アルタイ改級補給艦

07-09スラバ級巡洋艦011

図3:(統合幕僚監部) 艦番号011は1989年就役の「バリヤーク」と呼ばれロシア海軍太平洋艦隊旗艦で、2008年にオーバーホールを完了。満載排水量11,300㌧、強力な防空力と打撃力で空母機動部隊攻撃を主任務とする。3隻が現役配備中。両舷4個の筒は、射程距離700km、速度マッハ2の「P-1000ブルカーン」対艦ミサイル発射機、各機に2基ずつ、合計16基を搭載している。昨年10月2日に宗谷海峡を西進した。

07-09ウダロイI級572

図4:(統合幕僚監部) ウダロイ(Udaloy)I級ミサイル駆逐艦は満載排水量8,500㌧の大型対潜艦。強力なソナー、長射程の対潜ミサイル、対潜ヘリコプター2機、それにSA-N-9型個艦防空ミサイルを装備する。1980年から1991年にかけて12隻が就航し、現在8隻が現役。

07-09ペラ級曳船

図5:(統合幕僚監部)ベラ級航洋曳船と標的。

 

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