中国空軍のH-6爆撃機6機が宮古海峡を飛行


2017-07-16(平成29年) 松尾芳郎

 

防衛省統合幕僚本部の発表(29-07-13)によると、7月13日(木)に中国空軍の「H-6」爆撃機が2手に分かれて、計6機が沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡上空を飛行した。飛行は2機が宮古海峡を往復し、4機が宮古島南東海上から都海峡を横断中国本土に向かい飛行した。

これに対し航空自衛隊南西航空方面隊第9航空団所属の戦闘機が緊急発進して領空侵犯を防いだ。

このH-6爆撃機6機の飛行については、我国マスコミは報道していない。

統合幕僚監部は翌日(29-07-14)に、「平成29年度第一四半期の緊急発進実施状況について」と題する発表を行った。これによると緊急発進回数は前年同期に比べて、対中国機ではほぼ半減の101回、対ロシア機では47回増の125 回となった。本件に関し、マスコミは特に対中国機スクランブル回数の減少を大きく取上げ、中国との緊張緩和を印象付ける報道操作を行っている。

07-13 爆撃機1

図1:(統合幕僚監部)中国空軍では、H-6爆撃機 は1969年から配備が始まり派生型を含み現在120機ほどを運用中。原型はロシアのツポレフTu-16で、西安航空機で国産化している。当初は核爆弾(20 kt級)用であったが、弾道ミサイル(ICBM)の実用化で核爆撃機としての効用が薄れ、現在は長距離巡航ミサイルDF-10Aの空中発射型KD-20(射程2,000 km)を6基搭載に改造して使用中。乗員3名、全長35m、翼幅34.4m、最大離陸重量76ton、エンジンはロシア製D30KP-2をリバース・エンジニアリングで国産化したWS-18を2基装備する。巡航速度790km/hr、戦闘行動半径3,500 km、兵装搭載量は9トン。コクピットを含む電子装備もTu-16から大幅に改良、性能を一新している。2011年以降最初の部隊が第8航空師団に配備されてから順次増強され、しばしば西太平洋に進出し、日本、グアムを目標にした長距離巡航ミサイルの攻撃訓練を行っている。昨年は9月26日と11月25日に宮古海峡を通過した。

07-13 爆撃機2

図2:(統合幕僚監部)図1を参照。

07-13 中国H-6航跡

図3:(統合幕僚監部)7月13日宮古海峡上空を通過した中国空軍H-6爆撃機の航跡。