連合は共産排除、立憲民主は共産党と共闘継続 !!;


2021年12月20日(令和3年)  鳥居徹夫(元文部科学大臣秘書官)

10月の衆議院選挙では、自民党は安定過半数を維持したが、野党共闘の立憲民主党と共産党は議席を減らした。そして立憲民主党は枝野幸男代表が辞任し、新たに泉健太代表が選出された。

泉代表は、共産党との共闘は維持すると言いながら、労働団体の連合にも支援を求めるという。

ところが連合は、立憲民主党と「共産党との関係が、構成組織が一丸となって戦うことの困難さを増長させた」などとする総括を12月15日にまとめた。

さらに連合は「立憲民主党の候補者が立った一部の選挙区で『比例は共産党』と書かれた公選ハガキが配られ、混乱もあった」と指摘した。

一方共産党は、12月15日の第2回中央委員会総会(2中総)で野党共闘路線の継続を確認し、来夏の参議院議員選挙での勝利をめざすという。

共産党の志位和夫委員長は「連合の責任者が公党に対して非難をする以上、根拠を示す必要がある」「民主主義の党ではないとおっしゃるのであれば全く違う」と反論した。

連合の芳野会長は、産経新聞のインタビュー(12月15日付)で、「共産主義社会の実現を目指している勢力から、野党共闘の足を引っ張るなと批判されるゆえんは全くない」と断言。

また芳野会長は、共産党との共闘に反対する理由について「労働組合と共産が戦ってきた経緯がある。労組は職場の声を聞き、民主的手続きにのっとって機関決定し、運動を展開していくボトムアップ型だ。共産は指導部が決めたことを下におろしていくトップダウン型で、民主主義のわれわれと共産の考え方は真逆の方向を向いている」と強調したという。

連合の総選挙総括では、共産党が掲げる「野党共闘」とは「綱領に基づく統一戦線の一つの形であり、共産主義社会実現のための手段であることは明確だ」と強調しているのである。

◆共産党は、「連合の敵」

共産系労組を排除した当時の総評(労働団体)の駆け込み寺として、民間労組と一緒になったのが、結成31年目を迎えた連合である。

労働戦線統一と連合結成に向けて、かつての総評が大揺れに揺れたことがあった。

三十数年前の総評大会で、民間労組との合流を民主的に決定しながら、共産系は連合結成の流れを「労働戦線の右翼的再編」と決めつけ、総評方針に反旗を翻した。そして統一労組懇(のちの全労連)をつくった。

共産系は、総評大会の決定に対し、露骨に労働組合運動への介入を展開した。

あの自治労や日教組も、運動の主導権を巡って共産系が組織介入し激しい抗争を展開した。日教組では「400日抗争」で共産系との主導権争いは激烈であった。

そして新たに自治労連、全教など共産系労組を立ち上げ、総評系の労働運動を混乱させた。

これは組合民主主義に反する行動であるが、彼らはいまだ自己批判も反省も謝罪もしていない。

共産党、および共産系は、連合の敵なのである。

連合に票を求めるならば、立憲民主党や国民民主党は「左右の全体主義に反対する」と確約した「連合との政策協定」を遵守しなくてはならない。

立憲民主党やメディア、そして自民党議員においても、労働組合は「反政権、反米・反安保・反体制」というイメージが強い。

言うまでもなく、労働組合は「自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体」(労働組合法 第2条)である。

労働組合は、勤労者の雇用・労働政策など政策制度課題の解決を目指す政党や議員を支持し、選挙活動にも取り組むのである。

労働組合が、一部野党の候補者を応援することをもって、労働組合は政党の下請け機関であるかのような報道も一部に行われている。労働組合が、あたかも左派勢力であるかのような誤解を与えている。

たとえば連合は、東京都知事選挙の前回2020年は小池百合子知事を推薦、前々回2016年は自主投票、と野党が推薦した候補者と距離を置いた。

 これについて「野党結集に水を差すことになる」と、連合を非難する一部政党やメディアの存在もある。

かつてロシア革命を牽引したレーニンは「労働組合などの大衆組織は、前衛党(共産党)によって指導される」とする思考で、労働者・人民を扇動した。

政党(前衛党)が上部組織で、労働組合など大衆組織は下部機関なのである。

それゆえ立憲民主党などは、共産党も含めた反自民の政治勢力を、労働組合は無条件で選挙支援するものと勘違いしている。それは戦後かなり長期間、共産主義思想が強かった時期にみられた労働組合観を引きづっているからである。

言うまでもなく労働組合は、政党ではなく政治団体でもない。

労働組合も政党も、それぞれの目的をもった独立した組織である。

ましてや労働組合は、革命や大衆運動の組織体ではなく、政党の下請け機関ではない。

かつて安倍政権時代に、連合の加盟組織の基幹労連と電機連合で「組合員の意識調査」を実施したことがあるが、支持政党のトップは自民党であった。前連合会長の神津里季生は「(連合)組合員は、普通の市民・国民である」と強調していた。

労働組合は、組合員の「政治的、経済的、社会的地位の向上」を目指し、勤労者の生活向上と深く関わる政策制度課題の解決に向けて、政党や政治家と支持協力関係を持つのである。(敬称略)

ー以上ー