ユナイテッド、ボーイング787・100機と737MAX・100機を発注


2022-12-21(令和4年) 松尾芳郎

図1: (Boeing) ユナイテッド航空が今回発注した787型機(中央)は確定100機とオプション100機で、機種は未定。同時に737-MAX型機(上下の2機)を、従来のオプションを含め100機の確定発注をした。

12月13日、ボーイングはノース・チャールストン(North Charleston, S.C.)、ユナイテッド航空はシカゴ(Chicago)でそれぞれ、ボーイング787ドリームライナー広胴型機100機の発注とオプション100機を含めることで合意した、と発表した。これはボーイング史上最大の787受注機数となる。ユナイテッドは同時に737MAX狭胴型機について、オプション44機を確定発注に切り替えると共に新しく56機を追加、合計100機を発注した。

(December 13, Boeing and United Airlines announced the carrier is investing in its fleet with an order for 100 787 with the option 100 more. The deal is the largest 787 order in Boeing history. United also purchased 100 737MAX, executing 44 options and 56 new orders.)

今回の発注で、ユナイテッドは2032年までに既発注分を含め狭胴型機・広胴型機合計で約700機を受領する事になる。2023年までに毎月2機ずつ、2024年には3機ずつ受け取る。

ユナイテッド会長スコット・カービー(Scott Kirby)氏は「米国を代表する航空会社ユナイテッドはコロナ不況から脱却しつつある。今回の大量発注は、我々の立場を強固なものにし、多くの顧客が一層広い範囲の旅行を楽しんで貰える。これはとりも直さず従業員・株主へも利益をもたらすことになる。」と語っている。

767型機および777型機を、炭素繊維複合材で作る軽量化した787で置き換えることで燃料消費は25 %ほども改善される。

さらに、現有機の客室内装のアップグレードにも取組中で、国際線用の広胴型機では、ビジネスクラスの90 %が「ポラリス(Plaris)」シートまたは「プレミアム(Premium)」シートに更新されている。これらは2023年夏までに完了する予定だ。

今回の737MAXと787の発注で、ユナイテッドが使用中の旧型機は退役が促進される。

ユナイテッドの現有ボーイング機と更新予定を纏めて示すと次の通り。

  • B 737型機;-700、-800、-900の合計で329機(順次737 MAXに更新)
  • B 737 MAX型機:-8、-9、(-10)、の合計で73機、これに今回オプション44機の確定への変更と追加発注56機で合計100機が加わる。追加分の56機は2027~2028年に受領する。機種は未定。
  • B 757型機:-200、-300の合計で61機(2025年までにA321neo、A321XLRおよびB 737 MAX 10に更新)
  • B 767型機:-300、-400の合計で53機(2030年までにB 787に更新)
  • B 777型機:-200、-300の合計で96機(2030年までにB 787に更新)
  • B 787型機:-8、-9、-10、の合計で67機、今回の発注で100機が加わる、機種は未定。これでユナイテッドは世界最大の787ユーザーとなる。

787型機の確定発注100機は受領済みの67機と合計で、使用中の広胴型機767/53機と777/96機全てを10年以内に更新する事になる。これで整備費用が大幅に削減でき、燃料費が節減されるので、会社全体のコスト構造の好転が期待できる。また同時に契約したオプション100機は、将来の長距離国際線需要の伸びに対応するもので、市場の規模拡大に応じ確定発注に切り替え、米国最大の国際線キャリアとしての地位を確保・維持し続ける。

737 MAX型機のオプション44機の確定発注への切替は2026年までに受取り、今回新しく追加した56機で2027年以降の更新に対応する。

ユナイテッドの国際線

ユナイテッドの国際線について触れてみよう。ユナイテッドは国内の主要都市から大西洋、太平洋、ラテンアメリカへの路線を運営している。

最近の2年間だけで、新たに40の国際路線を開設し、既存の10路線については増便した。この中でロンドン・ヒースロー(London-Heathrow)への便は毎日5便を増やし、2023年夏までにニューヨーク/ネワーク(New York/Newark)からのシャトル便などで毎日23便にする予定だ。

ユナイテッドがハブ空港から運営している国際線路線数を、多い順から7空港を並べると次のようになる。

  • ネワーク・リバテイ/Newark国際空港(EWR)から78路線
  • ジョージ・ブッシュ・ヒューストン/ George Bush Houston国際空港(IAH)から56路線
  • シカゴ・オヘア/Chicago O’Hare国際空港(ORD)から45路線
  • ワシントン・ダレス/Washington Dulles国際空港(IAD)から41路線
  • サンフランシスコ/San Francisco国際空港(SFO)から32路線
  • ロサンゼルス/Los Angeles国際空港(LAX)から18路線
  • デンバー/Denver国際空港(DEN)から17路線

太平洋路線ではユナイテッドが全米第一の路線網となる20路線を運営している。中国・香港線を除いて来年には2019年の水準を超える予定だ。南太平洋、特にオーストラリア路線の直近3年間の増加が著しい。オーストラリアの3大都市、シドニー、メルボルン、ブリスベーンと米国側のハブ空港、サンフランシスコ、ロサンゼルス、ヒューストンを結ぶノン・ストップ6路線の開設を計画中。また、日本向けのフライトは、来年1月から毎週48便に増やす。この中にはネワーク/ニューヨーク・羽田のフライトの開設を含む。

日本での787使用状況

ユナイテッドに続きANAは第2位の787ユーザーで77機を受領、発注残を含め96機となる。ANA 787はRR「トレント1000」エンジン付き。JALは「GEnx」エンジン付きで51機を運用中、発注残はない。

ボーイング787の概要

787はボーイングが開発・製造する広胴型旅客機、全日空(ANA)から50機の発注を受けて、2004年4月26日開発が決まり、初号機787-8の型式証明取得(2011年8月)後、ANAに同年9月に引き渡され、2011年10月から就航が始まった。

787 は、200-300名を乗せ15,000 kmを飛ぶボーイング767より燃料消費を2割削減することを目標に作られた。GE製「GEnx」またはロールス・ロイス製「トレント(Trent)1000」エンジンを2基装備する。機体構造には旅客機として初めて複合材を多用した。また従来の油圧システムに代わり電動システム(electrical sys.)を採用している。主翼の端はレーキド・翼端(raked wingtip)、エンジン排気口は騒音低減用のシェブロン(chevrons)構造になっている。

787は、海外メーカーを含む約70社が開発に参加する国際共同開発プロジェクト。下請けを含めると900社が参加している。

日本からは複合材を供給する東レ、これを使って主翼・中央翼・前部胴体、などを製造する三菱重工、川崎重工、富士重工、エンジンには川崎・IHI・三菱が参加、客室内装にはジャムコ、など、多くの企業が参加している。

複合材は炭素繊維複合材(CFRP=carbon fiber reinforced polymer)で、尾部、胴体、主翼、ドア、その他の主要部材に使われ、その合計は1機当たり35 tonになる。CFRPはアルミ合金に比べ重量対比の強度と疲労強度が優れているので構造が軽くできる。

787の機種と受注・引渡し

787には次の3機種がある。すなわち―

  • 787-8 (初飛行2009年12月)

標準2クラスで242席、全長57 m、翼幅60 m、主翼後退角32.2度、最大離陸重量228 ton、巡航速度マッハ0.85 (903 km/hr)、航続距離13,600 km、エンジン推力64,000 lbs、受注は416機で引渡しは384機、

  • 787-9(初飛行2013年9月)

標準2クラスで290席、全長62.8 m、翼幅・主翼後退角「-8」と同じ、最大離陸重量254 ton、巡航速度「-8」と同じ、航続距離14,100 km、エンジン推力71,000 lbs、受注は911機で引渡しは575機、

  • 787-10(初飛行2017年3月)

標準2クラスで330席、全長68.3 m、翼幅・主翼後退角「-8」と同じ、最大離陸重量「-9」と同じ、巡航速度「-8」と同じ、航続距離11,900 km、エンジン推力76,000 lbs、受注は182機で引渡しは68機、

まとめると、主翼は3機種とも同じ、全長は乗客数に対応して長くなる。最大離陸重量は「-8」が最も軽く、「-9」と「-10」は同じ。航続距離は「-10」が最も短い、となる。

受注機数はトータルで1,409機、これに今回のユナイテッドの100機(機種未定)が加算されて1,509機となる。引渡し済み合計は1,027機なので、その差が受注残となり482機。

終わりに

ボーイングCEO「デイブ・カルホーン(Dave Calhoun)」氏は投資家向けの会合(11月2日)で「新型機の開発は、当面2030年までは取り組む予定はない」と話した。ボーイングは、しばらくの間、現在の737 MAXと787の生産に専念する予定だ。

737 MAX-7、-10、のFAA証明取得の問題は漸く解決の目処がつき、サプライ・チェーンの生産不足の問題も解消、これから製造・引渡しを本格化する。現在の月産23機から2023年前半に25機、同年後半には月産31機、その後ラインを1本追加し月産38機を目標にしている。

787では、胴体構造の結合部の不具合やその他の不良箇所の発生で、数回にわたり引渡しが中断、エベレット工場では、引渡し中断した多数の完成機に対し時間のかかる面倒な修正作業を実施してきた。一方でエベレットの生産ラインをサウスカロライナ州(South Carolina)に移転・統合して生産体制を整え、今年8月から顧客への引渡しを再開した。このような経緯で、2024年には月産5機、2025~26年に月産10機にする予定。

ユナイテッド航空の今回の737 MAXおよび787の大量発注は、ボーイングにとり極めて重要な支えになることは間違いない。

―以上―

本稿作成の参考にした主な記事は次の通り。

  • United mediaroom.com Dec 13, 2022 “United Airlines Unveils Historic Order to Purchase to 200 New Boeing Widebody Planes”
  • Boeing News Dec 13, 2022 “Boeing, United Airlines Finalized 737 MAX and 787 Order, including Record Purchase for 100 Dreamliner”
  • The Seattle Times Dec 13 2022 “United places huge order with Boeing to replace aging planes” by David Koeing 
  • RUTERS Dec 14, 2022 “United Airlines makes big Boeing order ,include 100 Dreamliner” by David Shepardson and Rajesh Kumar Singh
  • 日経2022-12-14 “ユナイテッドが787 200機ボーイングに発注、燃費改善へ更新“ by 花房良祐 
  • Aviation Week Nov.21-Dec. 11, 2022 “Tough Choices” by Guy Norris and Sean Broderick