令和3年3月、我国周辺における中露両軍の活動と我国/同盟国の対応(その2)を本稿に掲載する。
投稿者: 松尾 芳郎
令和3年3月、我国周辺における中露両軍の活動と我国/同盟国の対応(その1)
「コロナワクチン」長いスパンでの接種後の影響が気になる
日本航空、コロナ対策で英国と米国の評価機関から最高評価を受賞
ボーイング777エンジン大破3件は、いずれもファン・ブレードの疲労破壊が原因
今年2月20日にユナイテッド航空ボーイング777-222型旅客機のプラット&ホイットニー製「PW4077」エンジンが大破したのは、ファンブレードに生じた疲労クラックが原因だった。これは同社機で2018年2月にホノルルで起きたケース、および日本航空の同型機で昨年12月4日に発生した大破に続く3件目である。(The February 20 inflight failure of a Pratt & Whitney PW4077 engine on a United 777-222 involving a cracked fan blade. This is the 3rdincident in past three years. following JAL’s on December 4, 2020 and United’s on February 13, 2018.
3月11日、ロシアTu-95MS戦略爆撃機を含む機9機、防空識別圏に侵入
防衛省統合幕僚監部の3月11日発表によれば、ロシア空軍機9機が日本の防空識別圏(ADIZ)に侵入、航空自衛隊はF-15戦闘機を緊急発進させ領空侵犯を防ぐなどの対応をした。空自戦闘機が撮影したロシア機はA-50早期警戒監視機1機のみで、他の写真はない。これは同時期に飛行した2機のTu-95MS戦略爆撃機と、これを護衛するSu-35S戦闘機が3群に別れて飛行して空自機を牽制したため、撮影の機会を失したためと思われる。ロシア軍は、本件についてTu-95MS戦略爆撃機2機と護衛のSu-35S戦闘機が日本海と北西太平洋を飛行した、と報じた。また、途中で日本のF-15戦闘機が飛来した、と報じている。この日は東日本大震災発生から10年目、地震、津波による犠牲者2万人を追悼する行事が行われている最中に、プーチン大統領は空軍機9機を動員、我国を脅かす訓練を指令したと見られる。
スターシップ[SN 10]、高空飛行試験と着地に成功、しかし数分後に爆発炎上
現地時間3月3日、スターシップ[SN 10]は、テキサス州キャメロン・カウンティ(Cameron County, Texas)のスペースX社基地から打上げられ、スターシップ原型機として3回目の高空飛行試験に成功した。しかし、着地後数分経過してから突然火炎に包まれ大破した。(On Wednesday, March 3rd, Starship SN 10 successfully completed SpaceX’s third high-altitude flight test of a Starship prototype from the launch site in Cameron County, Texas. The test was not enough, however, a few minutes later safely landing has made the craft was in fireball and destroyed.)
中国寄りの調査でWHOは新型コロナの起源を解明できるのか
新型コロナウイルスの発生源や感染拡大の原因を探るWHO(世界保健機関)の調査団が中国・武漢(ウーハン)市での現地調査を終了し、2月9日に中国当局と共同で記者会見を行った。武漢は世界で初めてオーバーシュート(感染爆発)を起こし、ロックダウン(都市封鎖)を経験した都市だ。調査団が武漢に入ったのは1月14日。調査団はクラスターが発生した華南海鮮卸売市場やウイルス漏洩を疑われた武漢ウイルス研究所などを視察し、関係者からも話を聞いた。世界各国はWHOのこの現地調査に注目したが、期待は裏切られた。記者会見で最初の発生についてWHOは武漢以外の見方を示し、武漢ウイルス研究所からのウイルス流出の可能性も否定した。ウイルスの発生源は中国以外で、そこから冷凍食品などに付着して中国国内に持ち込まれたという中国の主張を踏襲するものだった。
令和3年2月、中露両軍の我国周辺における活動と我国/同盟諸国の対応
令和3年2月、我が国周辺における中露両軍の活動と、我が国および同盟諸国の動きに関し、それぞれの公的部門等から発表があった。以下にその項目と内容を紹介する。中露両軍による我国防空識別圏(ADIZ)や領海侵犯事件はなかったが、中国軍傘下の海警局所属艦艇による尖閣諸島領海侵犯は連日のように続いている。今月の注目すべき事案は次の通り;―
① 2月26日発表 岸防衛大臣の記者会見・尖閣諸島防衛に関連した内容② 2月27日発表 令和2年度日米共同統合防空・ミサイル防衛訓練/図上演習「レジリエント・シールド2021 (Resilient Shieled 2021/回復力の盾2021)」③ 2月4日発表 原子力潜水艦「オハイオ」、沖縄近海で海兵隊と共同演習
プラズマ・スラスターの実現で、宇宙飛行の時間が大幅に短縮
米国の人気の科学フィクションTV番組「The Expanse (広大な宇宙)」で、太陽系の中を超高速で旅行するのに、光速の数分の一の超高速を出せる架空の推進装置「The Epstein Drive(エプスタイン・ドライブ)」を使うという話が出てくる。夢のような話で現実にはあり得ないが、プリンストン大学の最新の研究によると、理論的には「亜光速推進 (sublight propulsion)」、つまり光速の数分の一の超スピードを得る推進装置は将来実現し得る、と述べている。実現すればこれは「エプスタイン・ドライブ」ではなく、研究者の名前から「エブラヒミ・ドライブ (Ebrahimi Drive)」となるかも知れない。このエンジンは、太陽で起きている「コロナ質量放出 (CME=Coronal Mass Ejection)」の現象を「核融合炉 (Fusion Reactor)」を使って創り、推力を出そうと言うもの。(In The Expanse, spaceships use a fictional sublight propulsion “The Epstein Drive” to travel quickly through the Solar System at several fraction of light speed. We’re not nearly there yet, but we are getting closer with the announcement of a new theoretical sublight propulsion. It won’t be an Epstein drive, but it may come to be as the Ebrahimi Drive an engine inspired by fusion reactors and the power of Solar Coronal Mass Ejections.)