耐空性改善通報(TCD)実施見逃しでジェットスター・ジャパンなどLCC、2社に厳重注意


『耐空性改善通報(TCD)実施見逃しでジェットスター・ジャパンなどLCC、2社に厳重注意

ー技術監理部門がメーカー指示を理解せず。10月23日迄に再発防止策提出を厳命ー

2013-10-10   小河正義

心配されていたLCC(格安航空会社)の技術能力の欠如が露見した。運輸省航空局は10月9日、ジェットスター・ジャパン、エアジャパン・アジア両社の社長等を呼び、エアバスA320型機の整備点検で、7~8ヶ月に渡り指示を守らず、チェック無しで機体を運航していたとして厳重注意した。背景に技術監理部門のメーカー通達の理解不測が判明。同局は事態を重視し、10月23日迄に再発防止策、今回のミスを引き起こした背景、原因を究明、報告するよう求めた。

航空局によるとエアバスA320型機の整備点検に係わる問題点は水平尾翼上部の駆動装置取り付け部の異常の有無確認作業。10ヶ月ごとに該当箇所を目視点検するようメーカーが航空会社に通報、航空局は『TCD(耐空性改善通報)』に指定し実施を義務付ける措置を取った。

ところがジェットスター・ジャパン、エアアジア・ジャパンの両社はこれらの指示を十分理解せず、整備現場への適確な指示を忘れていた。航空局の安全監査でジェットスター・ジャパンで7機、エアアジア・ジャパンで2機それぞれ整備の見落としが見つかったという。ジェットスター・ジャパンでは一部運休に追い込まれる事態となった。

『TCD(耐空性改善通報)』は航空局長通達だが指示通りの整備、改修が行なわれないと飛行の安全を確保していない事になり商業運航の用に供せない。ジェットスター・ジャパンでは最大8ヶ月、エアアジア・ジャパンは7ヶ月、耐空性証明の基準に満たない機体を運航する”大失態”を犯していた。LCCの発足当時から整備・技術、運航体制能力への不安がつきまとっていた。航空局は再発防止策の早期策定指示を含め、両社を厳しく指導する。