米第7艦隊に哨戒、偵察で"新戦力"


ー西太平洋で脅威増す、中国海軍へ牽制役果たすー

2014年1月19日   マーク・デブリン(米フロリダ州マイアミ)

西太平洋で中国海軍の存在が日増しに強まっている。初の国産空母建造着手等、中国が発信する『シー・パワー』拡大の動きは米海軍の対中警戒感を一段と高めている。米太平洋海軍は中国の動きを牽制すべく、このほど対中海軍戦力の偵察、監視機能ランクアップで新戦力を投入した。

米海軍で機種転換を始めたばかりの対潜哨戒、水上偵察活動分野で世界最高レベルの機材投入を始めた。飛行性能、攻撃、策的、偵察能力でライバル機を寄せ付けぬボーイングP-8A『ポセイドン』の沖縄・嘉手納基地への前進配備だ。昨年暮れに配備が始まり当面の戦力として同型機6機がそろった。

このほどP-8A『ポセイドン』に搭乗した米海軍対潜航空機部隊の提督は『米第7艦隊にとって新たな偵察、監視能力を得た』と満足している。同艦隊は一朝有事の際、敵の心臓部に原子力空母を中核にした機動部隊が決定打を与える。常時、行動の自由確保で、先行して敵部隊の動きを速やかに捉える事が欠かせない。

手強い相手が日進月歩の敵原潜の行動。これまではロッキード社の旅客機、『エレクトラ』4発ターボプロップ機をベースに開発した機体P3C『オライオン』で十分すぎた。しかしこのところ同型機でも能力面の限界が見えだした。米海軍はボーイング社のB737-800次世代シリーズを転用。探知、追尾、攻撃等既存のすべての装備を一新。高速飛行性能、搭載攻撃兵器、艦隊との情報通信機能等で革新性能を持つ機体に仕上げた。P3Cの後継機として117機を製造するが、13機の製造段階で嘉手納に一部配備に踏み切ったのは中国海軍への警戒感に他ならない。

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