令和8年6月、我国周辺での中露軍活動と我国/同盟諸国の対応



2026年7月17日(令和8年) 松尾芳郎

令和8年6月、我国および台湾周辺における中露軍の活動はほぼ以前の水準に戻る。これに対し我国および同盟諸国は、警戒を緩めることなく抑止力強化に努めている。

(China’s PLA military drill near Japan and Taiwan territorial space in June get back to normal, Russian’s are no change. Japan and allies are putting defensive act against the hostiles. Following are the details of major issues.) 

防衛省および各幕僚監部、米第7艦隊などが発表した6月における我国周辺の中露両軍の軍事活動および我国と同盟諸国軍の対応は以下の通り。

中露、北鮮軍の動向

  • 6月1日 中国空母「遼寧」艦隊、フィリピン・ルソン島東の太平洋上で40日以上反復訓練

5月26日、空母「遼寧(16)」、レンハイ級ミサイル駆逐艦(104)、ジャンカイIII級フリゲート(545)、沖ノ島南西1090 kmの海域で艦載機発着訓練を実施。

5月27日、空母「遼寧(16)」、レンハイ級ミサイル駆逐艦(104)、ルーヤンIII級ミサイル駆逐艦(124)、宮古島南790 kmの海域で艦載機発着訓練を実施。

5月28日、空母「遼寧(16)」、レンハイ級ミサイル駆逐艦(104)、ルーヤンIII級ミサイル駆逐艦(124)、ジャンカイIII級フリゲート(545)、フユ級高速戦闘支援艦(901)、宮古島南590 kmの海域で艦載機発着訓練を実施。

この間における空母「遼寧(16)」からのJ-15戦闘機およびKa-31早期警戒ヘリコプターなどの離発艦回数は合計170回であった。

図1:(統合幕僚監部)統幕が6月3日に“X”に訓練中の空母「遼寧(16)」として掲載した動画。これには訓練に参加した中国・ロシアの艦艇も収録されている.

図2:(Reuters)西太平洋上で40日以上に及ぶ訓練を行った空母「遼寧(16)」。満載排水量60,000 ton、全長304 m、速力30 kts、搭載機はJ-15戦闘機最大24機、Ka-31早期警戒ヘリコプター4機など。ソ連海軍向けに黒海造船所で起工した航空巡洋艦「クズネツオフ」(後にバリヤーグと改名)がソ連崩壊で工事を中断・放置されていたが、1998年にウクライナから“海上ホテルにする”との名目で購入、大連に回航し空母に仕上げた。

図3:(統合幕僚監部)5月25日から29日にかけての空母「遼寧(16)」艦隊の動き。

「令和8年5月、我国周辺での中露軍活動と我国/同盟諸国の対応」9ページで述べたように、5月19日に宮古海峡を通過太平洋に出ていたジャンカイIII級フリゲート(545)「漯河」、フユ級高速戦闘支援艦(901)「呼倫湖」の2隻は、6月19日昼過ぎに宮古海峡を通過し再び東シナ海に戻った。

この2隻は西太平洋での空母「遼寧」艦隊の訓練支援に従事した。

図4:(統合幕僚監部)艦中央前部に回転式フェイズド・アレイを装備するのが特徴。艦橋前部には30 mm CIWS(近接対空機関砲)がある。満載排水量6,000 ton、全長150 m、各種ミサイル垂直発射装置 (VLS) 32セルを装備。艦尾にはヘリ用格納庫と発着甲板がある。(545)「漯河」は同型の1番艦。

図5:(統合幕僚監部)満載排水量48,000 ton、全長241 m、速力25 kts、Z-8ヘリコプター1機とZ-18ヘリコプター1機を搭載。中部甲板に門型ポスト3基を装備する。前後2基が燃料・清水用の液体ポスト、後部液体用ポストに接近して左舷に空母燃料給油用ポストがある。搭載量は、艦艇・航空燃料25,000 ton、真水1,500 ton、弾薬1,800 ton、食料400 tonなど。兵装はH/PJ-13 30mm CIWSを4基搭載する。艦番号「901」は「呼倫湖」2017年9月就役。同型艦3隻、2隻が建造中。

図6:(統合幕僚監部)空母遼寧演習の支援を行ったジャンカイIII級フリゲート(545)とフユ級高速戦闘支援艦(901)の航跡。

  • 6月4日 ロシア海軍ウダロイ級駆逐艦、宗谷海峡からオホーツク海へ

6月3日夜、ウダロイ級駆逐艦が日本海から宗谷海峡経由オホーツク海へ航行した。

図7:(統合幕僚監部)6月3日夜ウダロイ級駆逐艦の航跡。

  • 6月11日 中国海軍ドンデイアオ級情報収集艦(796)、大隈海峡経由太平洋へ

6月10日早朝、ドンデイアオ級情報収集艦(796)が東シナ海から大隈海峡を抜け太平洋に出た。

図8:(統合幕僚監部)6月10日早朝、大隈海峡を通過するドンデイアオ級情報収集艦(796)。

図9:(統合幕僚監部)6月10日大隈海峡を通過したドンデイアオ級情報収集艦(796)の航跡。

  • 6月11日 中国海軍ジャンカイII級フリゲート(515)、ルーヤンIII級駆逐艦(155)、奄美大島・横当島海域で遊弋後、太平洋から東シナ海へ

ジャンカイII級フリゲート(515)およびルーヤンIII級ミサイル駆逐艦(155)は、6月6日夕刻、宮古海峡を通過太平洋に出て、8日・9日には鹿児島県喜界島東方海上で遊弋、そのあと10日には、奄美大島―横当島間の海峡を通り東シナ海に戻った。

図10:(統合幕僚監部)ジャンカイ(江凱)II級フリゲート(515)「浜州」、満載排水量4,000 ton、速力27 kts。

図11:(統合幕僚監部)ルーヤン(旅洋)III級ミサイル駆逐艦(155)「南京」は[052D]型。満載排水量 7,500 ton、速力32 kts。イージス艦で同型は40隻以上ある。

図12:(統合幕僚監部)6月6日〜10日のジャンカイII級フリゲート(515)およびルーヤンIII級ミサイル駆逐艦(155)の航跡。

  • 6月12日 中国軍[Y-9]情報収集機、[TB-100]偵察・攻撃無人機が、長崎県男女群島付近に飛来

6月12日午後、Y-9情報収集機が長崎県男女群島南から南西諸島沿いに飛行、沖縄本島沖で反転、往路と同じ経路で引き返した。同日午後にはTB-001偵察・攻撃型無人機が沖縄本島西沖に飛来、変針北上して大陸方面に立ち去った。

図13:(統合幕僚監部)6月12日午後、Y-9情報収集機およびTB-001偵察・攻撃型無人機の航跡。

図14:(統合幕僚監部)6月12日午後、沖縄本島西海上に飛来したY-9情報収集機。

図15:(統合幕僚監部)6月2日午後、沖縄本島西の海上に飛来したTB-001偵察・攻撃型無人機。

  • 6月13日 時事通信社報道 中国海軍台湾東部太平洋上で異例の貨物船取締り

中国は6月1日、台湾東方の海域に海警局艦を派遣、異例の外国籍貨物船の取締りに乗り出し、13日まで行なった。

日本・高市早苗首相とフィリピン・マルコス大統領は5月28日、東京で「両国間の海洋境界協議(EEZの確定)を開始すると共同声明を発表。これに対し、中国は「中国の領土主権および海上権益を損なう」と主張、対抗措置として台湾東方海域で海警局艦による貨物船臨検に乗り出した。6~10日で200隻を調べたと言う。

台湾海上保安庁(海巡署)は「ここは台湾のEEZであり中国は “偽の管轄権” を主張し不当行為を行っている、退去を求める」と無線で警告をした。

6月20日には 台湾 巡視艇が、台湾海峡澎湖島海域で越境操業の中国漁船を拿捕している。

図16:(News week)日・比が協議しているのは、両国のEEZが重なり合う台湾東方、日本の与那国島の南の太平洋海域である。中国は大陸棚の延長上は全て自国のEEZと主張、東シナ海・南シナ海の大部分を「九段線」と称して近隣諸国に圧力を加えている。

図17:(フォーカス台湾・時事通信)6月18日 台湾 巡視艇が台湾海峡の澎湖島西44kmの海域で越境操業した中国漁船を拿捕する様子。

  • 6月22日 ジャンカイII級フリゲート(531) 奄美大島―横当島の海峡を通過、太平洋へ

6月19日昼から29日に掛けてジャンカイII級フリゲート(531)が奄美大島―横当島の海峡を通り太平洋に出た。

図18:(統合幕僚監部)ジャンカイ(江凱)II級フリゲートは[054A]型。満載排水量4,000 ton、速力27 kts、同型艦は42隻。(531)は「湘潭」。

空母遼寧など3隻の艦隊は、5月25日〜29日の訓練を終え、フィリピン東の海域を南東に進んでいたが、反転北上し沖縄本島―宮古島間の宮古海峡に姿を見せ、通過して東シナ海に入り、母港青島に帰還した。

図19:(統合幕僚監部)

図20:(統合幕僚監部)ルーヤン(旅洋)III級ミサイル駆逐艦 [052D型] (124)「開封」は満載排水量7,500 ton、速力29 kts。

図21:(統合幕僚監部)レンハイ級は[055]型「南昌級駆逐艦」と呼ばれ、満載排水量 13,000 tonのため西側ではミサイル巡洋艦と呼ぶ。(104)は「無錫」、同型艦は14隻ある。

図22:(統合幕僚監部)空母「遼寧」、ルーヤンIII級ミサイル駆逐艦(124)、レンハイ級ミサイル駆逐艦(104)の航跡。

遼寧艦隊の動きは、海自第5水上戦隊所属・佐世保基地の護衛艦「あさひ(DD-119)」6,800 ton、および第5航空群所属・那覇基地の「P-3C」哨戒機、「EP-3」電子情報収集機が警戒監視にあたり情報収集を行った。

中国メデイアは、演習中、海自の「あさひ(DD-119)」、P-3Cなどから妨害を受けた、と主張した。これに対して斉藤聡 海上幕僚長は「海上自衛隊は国際法に基づいて適切に対応している。警戒監視・情報収集を緩めれば、力による現状変更をますます助長することになる。隙のない警戒監視を堅持して行くことが肝要」と反論した。

  • 6月26日 中国最新空母「福建」が台湾海峡を通過

台湾国防部は6月23日、中国の3隻目の空母「福建」が台湾海峡を通過と発表した。

「福建」は上海の江南造船所で建造、2024年5月に第1回の試験航海を実施、2025年9月には初めて台湾海峡を通過、海南島三亜基地に寄港、各種訓練の後、2025年11月に就役した。12月には台湾海峡を通り青島基地に帰還した。南海艦隊に所属、三亜基地を母港としている。

「福建」は中国としては「遼寧」、「山東」に次ぐ3隻目の空母。甲板が従来のスキージャンプ方式でなく、フラットな全通甲板となり、電磁カタパルトを採用している点が特徴。これは米海軍のフォード級空母に続く世界2件目の電磁カタパルト採用例。満載排水量8万トン、全長316 m、速力30 kts、J-15戦闘機など50機を搭載する。

図23:(中国海軍/Pu Haiyang/Xinhua via Getty Images)電磁カタパルトは、メイン・デッキに2本、アングルド・デッキに1本、計3本があり、J-15戦闘機16機を5分で発艦させる。

  • 6月25日 中国ルーヤンIII級ミサイル駆逐艦、東シナ海から対馬海峡を通過日本海へ

6月24日午後中国海軍ルーヤン(旅洋)III級ミサイル駆逐艦(117)「西寧」7,500 tonが東シナ海から対馬海峡を抜け日本海に向け航行した。

図24:(統合幕僚監部)ルーヤン(旅洋)III級ミサイル駆逐艦(117)「西寧」7,500 tonは「昆明」級駆逐艦あるいは052D駆逐艦とも呼ばれる。同型は40隻以上建造済み。

  • 6月25日 ロシア タランタルIII級ミサイル護衛哨戒艇2隻、アムガ級ミサイル補給艦1隻、が日本海から宗谷海峡通過、オホーツク海へ

6月25日早朝、ロシア海軍タランタルIII級ミサイル護衛哨戒艇(921)、(924)および

アムガ級ミサイル補給艦が日本海から宗谷海峡を抜けオホーツク海に向け航行した。

  • 6月26日 中国ルーヤンIII級ミサイル駆逐艦、東シナ海から対馬海峡通過、日本海へ

6月25日午後、中国海軍ルーヤン(旅洋)III級ミサイル駆逐艦(119)「貴陽」7,500 tonが東シナ海から対馬海峡を抜け日本海に向け航行した。

図25:(統合幕僚監部)ルーヤン(旅洋)III級ミサイル駆逐艦(119)「貴陽」7,500 ton。中国艦の日本海進出が頻繁に行われている。中露共同訓練が本格化している。

  • 6月27日、中国・ロシアの爆撃機編隊が日本海・対馬海峡・沖縄本島/宮古島海峡・四国沖へと飛行

6月27日午前から午後にかけて、中国H-6爆撃機2機が日本海に進出、ここでロシアTu-95爆撃機2 機および同Tu-142哨戒機2機と合流、編隊を組んで東シナ海に向け飛行。そこで中国J-16戦闘機2機およびロシアSu-30戦闘機1機が爆撃機編隊に同航した。同日午後には新たに中国H-6爆撃機2機が加わり、東シナ海から四国沖太平洋を飛行した。中露爆撃機編隊は四国沖で反転、往路と同じ経路で東シナ海に戻り、ここで分かれてそれぞれ中国本土およびロシア沿海州方面に立ち去った。

6月28日、小泉防衛相は「中露両国による度重なる爆撃機の共同飛行は、我が国に対する示威行動であり遺憾である」と記者会見でコメントした。

図26:(統合幕僚監部)6月27日午前から午後にかけての中露軍爆撃機を交えた多数機による編隊飛行の航跡。携行する巡航ミサイルで我国全域がその射程内に入る。

図27:(統合幕僚監部)ロシア・ツポレフ[Tu-16]をライセンス生産した機体、改良を重ね現在の[H-6K]になる。行動半径は約3,500 km、日本全域、ハワイまで飛行できる。翼下面に核弾頭装備の空対地巡航ミサイル[CJ-20]を6発携行できる。[CJ-20]は射程1,500 km。

図28:(統合幕僚監部)[J-16]はSu-27SKをベースにSu-30MK2を加味して作られた多目的戦闘機。2015年から運用、350機ほど配備されている。最大離陸重量35 ton、最大速度マッハ2、戦闘行動半径1,500km。エンジンはWS-10Bターボファン推力20,000 lbs (A/B時は32,000 lbs)を2基。

図29:(統合幕僚監部)[Tu-142]は「Tu-95」爆撃機の哨戒機型である。

図30:(統合幕僚監部)[Tu-95MS] は1983年から製造。乗員7名、長さ49.5 m、翼幅51.1 m、最大離陸重量188 ton、航続距離15,000 km、最大速度925 km/hr、エンジンはターボプロップ出力15,000 SHPを4基。胴体内に6連装Kh-101巡航ミサイル・ランチャー、翼下面パイロンにも同ミサイル10発を携行可能。「Tu-95MS」の基地はシベリア中部ウクラインカにある。

我国、同盟諸国の対応

  • 6月2日 フィリピン・ミンダナオ島・ダバオ沖で日本・フィリピン共同訓練

海上自衛隊「インド太平洋方面派遣部隊( IPD26)」は、6月1日、フィリピン・ミンダナオ島ダバオ沖の海域でフィリピン海軍と共同訓練を行った。参加は、海自護衛艦「いかづち(DD-107)」6,200 ton、本艦は「むらさめ型護衛艦」9隻中の7番艦。

フィリピン海軍からは哨戒艦「アルテミオ・リカルテ/BRP Artemio Ricarte (PS-37)」同型艦は3隻ある。イギリス海軍が運用していた「ピーコック(Peacock)級哨戒艦を購入した艦。排水量700 ton、速力27 kts。

図31:(海上幕僚監部)手前が哨戒艦「アルテミオ・リカルテ/BRP Artemio Ricarte (PS-37)」、奥が「いかづち(DD-107)」。

図32:(世界史の窓)フィリピンの全体地図。ダバオはミンダナオ島南部にあり、首都マニラに次ぐ2番目の大都市。

  • 6月3日 ハワイ諸島海域で海自と海上保安庁が共同訓練

海自「遠洋練習公開部隊」は6月2日、ハワイ諸島周辺海域で海上保安庁と共同訓練を実施した。

参加したのは海自練習艦「かしま/TV-3508」4,500 ton、および「やまぎり/TV-3515 (旧DD-152)」4,900 tonの2隻と。海上保安庁の練習船「いつくしま/PL-23」5,500 ton。訓練項目は主として通信訓練。

先月紹介したが「かしま」は練習艦として建造された艦で、外交にも使用されることから内装もそれに相応しい仕様になっている。

「いつくしま/PL-23」は、2924年に就役したばかり、呉海上保安部に配属される大型巡視船、海上保安大学校の練習船を兼ねている。艦橋は、上段/航海艦橋、下段/実習艦橋の2段式になっている。

図33:(海上幕僚監部)左・海自練習艦「やまぎり」と右・海保練習船「いつくしま」

  • 6月4日 新潟県沖の日本海で海自と海上保安庁が共同訓練

6月3日、海自舞鶴地方総監部・護衛艦「おおよど/DE-231」排水量2,500 ton、ミサイル艇「はやぶさ/PG-824」240 ton速力44 ktsは、海上保安庁・第9管区海上保安本部・巡視船「ひだ/PL-51」1800 ton速力30 kts以上、「さど/PL-76」1,250 ton 、「わかさ/PL-93」1,000 tonと、新潟県沖日本海で共同訓練を実施した。訓練内容は、海自と海保の情報共有訓練、護衛艦と巡視船の運動要領に関する訓練、また、重要施設に向かう不審船の追尾・監視訓練、停戦措置訓練など。

最近、わが国周辺での緊張の高まりに対処するため、海保・海自の共同訓練が増えてきている。

図34:(海上幕僚監部)新潟沖日本海で共同訓練中の左・海保「ひだ/PL-51」1800 ton、と右・海自「おおよど/DE-231」排水量2,500 ton。

  • 6月4日 乗り物ニュース報道、海自導入の[V-BAT]ドローン訓練公開

6月3日、海自は導入予定の無人機[V-BAT]の訓練状況を公開した。この訓練は5月下旬に護衛艦「あさぎり」の後部飛行甲板で離着艦を含む各種作業が実施された。

[V-BAT]は、アメリカのシールドAI (Shield AI)社が開発する垂直離発着の偵察型無人機で[MQ-35]と呼ぶ。黒海、カリブ海、中東地区、ウクライナで使われている。ウクライナ戦線では、敵の電子戦攻撃(EW=Electronic Warfare)で他の無人機が落ちる中それに耐え任務を遂行している。

「V-BAT」は、単発のダクテッド・ファンで垂直離発着・ホバリングし、水平飛行もできる。これには同社が開発した自律飛行用ソフト「ハイブマインド(Hivemind)」が使われている。GPSや通信機能が使えない環境下でもカメラとコンピュータで位置決め・航法が可能な[visual odometry]ソフトで飛行、目的箇所に着陸する。2023年10月にシールドAI社は、「ハイブマインドAI」を使って多数の[V-BAT]の編隊飛行(drone swarming)ができるようになった、と発表した。

2021年に米海軍は シールドAIに「V-BAT」開発を発注、続いて陸軍、沿岸警備隊も同様に発注、活用している。

日本では海上自衛隊が2025年1月に[V-BAT]を艦上で使うことを決定、6機40億円で発注。コンテナに分解収納され4人で組立・運用できる。

[V-BAT]の要目は次の通り。

全長3.8 m、翼幅2.9 m、重さ73 kg、最大速度90 km/hr、滞空時間13時間、上昇限度5,500 m。電子光学(EO)中波帯赤外線(MWIR)カメラを搭載。エンジンは2サイクル2気筒ピストン型でかなり騒音を発する。

図35:(海上幕僚監部)海自は2026年6月29~30日、相模湾上でフリゲート「くまの」で[V-BAT]の訓練状況を報道陣に公開した。

図36:(乗り物ニュース)コンテナ収納の部品を組立てた[V-BAT]、海自フリゲート「くまの」艦上で撮影・

  • 6月5日 フィリピン・ルソン島ボニファシオ海兵隊基地で日米比共同訓練「カマンダグ26」

陸上自衛隊第1空挺団などは、6月15日〜7月1日の間、フィリピン・ルソン島ボニファシオ海兵隊基地等で、フィリピン軍第4海兵旅団、米国海兵隊ダーウイン・ローテーション展開部隊と共同で「カマンダグ26 (Kamandag 28)」実動訓練を実施した。

この訓練において、陸自部隊は米比軍と空挺作戦に関わる各種行動や「CBRN (化学・生物・放射性物質・核兵器)」に対処する訓練を実施し、各部隊の作戦遂行能力の向上を図るとともに、米比海兵隊との連携を強化することができた。

図37:(陸自Instagram) 日米比3軍の共同訓練「カマンダグ26」で陸自第1空挺団兵士とフィリピン第4海兵旅団兵士。

  • 6月5日 太平洋の島国「ナウル」で海自太平洋方面派遣部隊「IPD26」、ナウル警察と共同訓練

海上自衛隊太平洋方面派遣隊(IPD 26)は6月1日〜同4日の間、ナウルを訪問、ナウル警察と立入検査に関わる共同訓練を首都ヤレンの沖で実施した。

「ナウル(Nauru)」共和国は太平洋ミクロネシア連邦とソロモン諸島に間にある島国で、1942年8月に日本軍が占領、戦後英連邦統治下になり、1958年に独立国となったが国防はオーストラリアに依存している。2024年には台湾と断行し中国共産政府と国交を結んでいる。

中国の影響がナウルにも伸びているため、対処すべく海自 IPD26]部隊を派遣、協力関係を強化しようとしている。

図38:(旅行のとも)「ナウル」の位置。ミクロネシア連邦とソロモン諸島の境にある島国(孤島)である。

図39:(海上幕僚監部)ナウル共和国首都ヤレンの第二次大戦戦没者慰霊碑に参拝する海自 [IPD 26]隊員。「首都ヤレン」はナウル島南西部海岸にある滑走路に面した陸側にある。

  • 6月9日 硫黄島近海で日米共同の機雷戦訓練

海上自衛隊は6月15日〜同27日の間、硫黄島周辺の訓練海域で米海軍と共同で機雷処分訓練と掃海特別訓練を実施した。参加したのは;―

海自;掃海母艦2隻、掃海艦2隻、掃海艇3隻、護衛艦1隻、の合計8隻。艦名は公開されていない。訓練統制官として「第2機雷戦隊(呉基地)司令・大川健二郎1等海佐」とあるので、参加したのは第2機雷戦隊および横須賀基地・第1機雷戦隊所属の艦艇と見られる。

第1機雷戦隊:うらが(MST-463)、「あわじ(MSO-304)」、「ひらど(MSO-305)」、「ちちじま(MSC-605)」、「横須賀水中処分隊」。

第2機雷戦:「ぶんご(MST-464)、「えたじま(MSO-306)」、「のうみ(MSO-307)」、「呉水中処分隊」。

米海軍:第5機動水中処分隊。

図40:(海上幕僚監部)掃海母艦「うらが(MST-463)」満載排水量6,850 ton、全長141 m、速力22 kts、同級は「ぶんご(MST-464)」。兵装は76 mm口径速射砲1門だが「ぶんご」にのみ搭載、「うらが」には後日搭載する。後部甲板はMH-53E大型ヘリの離着艦可能。

  • 6月10日 沖縄南方海域・フィリピン海で日米哨戒機による対潜水艦訓練

6月9日沖縄南方のフィリピン海で、海自哨戒機「P-1」および「P-3C」と米海軍哨戒機「P-8A」は共同で対潜水艦戦訓練を行った。

図41:(海上幕僚監部)海自哨戒機「P-1」の前で日米哨戒機訓練の集合写真。

  • 6月17日 5月22日〜6月16日の間、西太平洋上で海自「かが」米第7艦隊「ジョージ・ワシントン(CVN-73)」の両空母が共同訓練

5月22日〜6月17日の間、西太平洋上の海空域で海自軽空母「かが」と米第7艦隊空母「ジョージ・ワシントン」を含む艦隊が戦技向上と相互運用性の向上を目指して共同訓練を行った。参加艦艇は;―

海自:軽空母「かが(DDH-184)」、僚艦防空能力を備える護衛艦「ふゆづき」DD-118)」および「しらぬい(DD-120)」、補給艦「ましゅう(AOE-425)」。IPD 26 第2水上部隊に所属しているのは「かが」「ふゆづき」「ましゅう」。

第7艦隊:空母「ジョージ・ワシントン(USS George Washington /CVN-73)」、巡洋艦「ロバート・スモールズ(USS Robert Smalls / CG-62)」、駆逐艦「シャウプ(USS Shoup / DDG-86)」、駆逐艦「ベンフォールド(USS Benfold / DDG-65)」、補給艦「アール・ウオーレン(Earl Warren / T-AO-207)」5万トン。

訓練終了後IOD26第2水上部隊の1部はグアムに寄港した。

図42:(海上幕僚監部)左「しらぬい(DD-120)」と右空母「ジョージ・ワシントン(USS George Washington /CVN-73)」。

図43:(海上幕僚監部)呉基地を出航する軽空母「かが(DDH-184)」

図44:(海上幕僚監部)補給艦「アール・ウオーレン(Earl Warren / T-AO-207)」から給油を受ける左・護衛艦護衛艦「ふゆづき」DD-118)」と右・米駆逐艦「シャウプ(USS Shoup / DDG-86)」。

図45:(7th Fleet News)6月17日、日米共同訓練終了後グアムに入港した空母「ジョージ・ワシントン」

  • 6月18日、海自ヘリコプター相模湾で米沿岸警備隊と共同訓練

6月17日、相模湾界空域で、海自哨戒ヘリコプターSH-60Kは米沿岸警備隊巡視船「ミジェット」艦上への発着訓練と艦上給油訓練を実施した。

図46:(海上幕僚監部)米沿岸警備隊カッター「ミジェット」艦上で発着艦訓練をする海自掃海ヘリコプター「SH-60K」.。

  • 6月19日 オランダ海軍フリゲート「デ・ロイテル」は6月15日に台湾海峡を通過、東京港に来訪、続けて17日・18日の両日、関東南の太平洋上で海自護衛艦「むらさめ」と共同訓練

オランダ海軍フリゲート「デ・ロイテル」排水量6,000 tonは、大西洋・インド洋経由・南シナ海から台湾海峡を通過して、6月15日〜17日の間東京お台場の東京国際クルーズ・ターミナルに寄港した。海軍司令官ハロルド・リープレフス中将は、同艦が西沙諸島(パラセル諸島)周辺と台湾海峡を通過したことに関連して「本艦は日本に来るため最も合理的な航路を航行してきた。いずれも国際水域であり国際海洋法に基づいて航行したものだ」と語った。

同艦は、「デ・ゼーベン・プロビンシェン」級の3番艦2004年4月就役、排水量6,000 ton、全長144 m、速力30 kts、オランダ海軍では防空指揮フリゲート(LCF)とされ、艦隊全体の防空を担当する艦。艦橋後方のアクテイブ・フェーズド・アレイ・レーダー(APAR)と後部ヘリコプター格納庫上の長距離レーダー(SMART-L-ELR)で、2000 km以内に飛来する弾道ミサイルを捕捉、追跡する。同海軍はBMD用「SM-3」ミサイルは未装備だが、装備済みの日米艦艇と情報を共有してdんどうミサイル防衛(BMD)機能を構成できる。

17日・18日の両日、悪天候の関東南の太平洋上でオランダ海軍フリゲート「デ・ロイテル」と海自護衛艦「むらさめ」は共同訓練を行った。

図47;(乗り物ニュース深水千翔)お台場東京ターミナルに寄港した「デ・ロイテル」。

図48:(海上幕僚監部)5月17日・18日、関東南方の海上で悪天候の中、海自護衛艦「むらさめ「DD-101」」6,100 tonと共同訓練をするオランダ海軍フリゲート「デ・ロイテル」。「むらさめ」は第2水上線群第8水上戦隊(横須賀基地)に所属。

図49:(乗り物ニュース・深水千翔)護衛艦「むらさめ」艦長平田陽一2等海佐とデ・ロイテル艦長ロジャー・デ・ウイット中佐が盾の交換をしている記念写真。

  • 6月22日 6月12日〜20日の間、日本・イタリア・韓国・シンガポール・フィリピンの海軍は西太平洋/フィリピン海で共同訓練

6月12日〜20日の間、西太平洋/フィリピン海で、日本・イタリア・韓国・シンガポール・フィリピンの各国海軍はフィリピン沿岸警備隊と共同訓練を行った。

参加した艦艇は;―

日本:イージス艦「こんごう」

イタリア:哨戒艦「ジョバンニ・デレ・パンデ・ネーレ」

韓国:「チョンジャポン」

シンガポール:フリゲート「ステッド・ファスト」

フィリイン:フリゲート「ミゲル・マルバー」

フィリピン沿岸警備隊;巡視船「ガブリエラ・シラン」

訓練は、通信訓練、ドローン対処訓練、ヘリコプターによるクロス・デッキ訓練等を行った。

図50:(海上幕僚監部)海自イージス艦「こんごう」でのクロス・デッキ訓練。

  • 6月26日 航空幕僚監部発表 空自部隊は豪空軍主催多国間共同訓練ピッチ・ブラック26に参加

航空自衛隊は6月26日、オーストラリア空軍が主催する多国籍間共同訓練「ピッチ・ブラック26 (Pitch Black 26) に参加すると発表した。同訓練は19カ国から100機以上の航空機が参加する大規模航空作戦の訓練である。

訓練はオーストラリア北部準州(Northern Territory)ダーウイン(Darwin)空軍基地とその周辺空域で実施。

航空自衛隊からは、三沢基地第3航空団所属の [F-35A]戦闘機6機および三沢基地・那覇基地の警戒航空団所属の]E-2D]早期警戒機2機が参加する。

派遣期間は7月17日〜8月7日まで。展開・撤収を含めた期間は7月15日から8月14日までを予定している。約250名を派遣する。

「ピッチ・ブラック(Pitch Black)」はオーストラリア空軍が隔年で開催、空自は2022年、2024年に「F-2」戦闘機を派遣・参加した。

訓練期間中の7月23日には「ミンデイル・ビーチ(fMindil Besch)航空ショウ」、8月1日は「ダーウイン基地公開イベント」が開催される。

参加国はブルネイ、英国、インド、インドネシア、スペイン、カナダ、マレーシア、ニュージランド、パプアニューギニア、韓国、シンガポール、アメリカ、タイ、フイジー、フィリピン、フィンランド、フランス、スエーデン、日本。

[Pitch Black 2026]の指揮官、オーストラリア空軍「コモドーレ・メタ・マコーマック」氏は、「共同演習でオーストラリア空軍と同盟国・パートナー国の協力が強化され、航空作戦時の相互運用性を高める」と語っている。

図51:オーストラリアの地図。北部準州(Northern Territory)と「ダーウイン(Darwin)基地」の位置を示す。

図52:(航空幕僚監部)三沢基地第3航空団所属のF-35A戦闘機。第3航空団には第301および第302飛行隊・いずれもF-35A運用、がある。航空自衛隊は[F-35A]型を105機、[F-35B] STOVL型機を42機導入する。

警戒航空団は浜松基地に司令部があり、隷下の第1飛行群・第801飛行隊(三沢基地)及び第603飛行隊(那覇基地)に[E-2C/D]早期警戒機が配備されている。2025年3月現在、旧型の[E-2C]が10機、新しい[E-2D]が9機が配備中。[E-2D]は18機発注済み。

[E-2C]は、アリソンT56-A-427ターボプロップ、5,100 hpを2基装備、艦載機なので離着陸距離は非常に短く、離島の小規模飛行場でも離発着できる。レーダーはAN/APY-9CD、長大な探知距離と洋上の微小な目標を探知可能。空自採用のモデルは、翼内燃料タンクを備えた「Full Wet Wing」仕様なので巡航速度500kmで飛行した場合4,000 kmを無給油で飛行可能。

図53:(赤塚 航空自衛隊の[E-2D]早期警戒機。主翼内に燃料タンクを主翼内に増設した仕様で、航続時間は8時間を超える。18機を導入する計画だ。

  • 南鳥島に12式地対艦ミサイルの訓練基地整備と偵察ドローン基地を整備

南鳥島は東京都小笠原村に属する島で、東京から南東へ距離1950 kmに位置する絶海の孤島。近年周辺の我国EEZ内の深海でレアアースを大量に含む泥土が発見され、話題を呼んでいる。

6月28日、陸上自衛隊は南鳥島に「12式地対艦誘導弾」射撃訓練用射場の設置を完了した、と発表した。また射場の機能確保のため、ネットワーク電子戦システム[NEWS]の設置、および偵察ドローン「スキャン・イーグルII」を配備、周辺海域の航空偵察を行う。これらの情報を基に12式を含む長射程地対艦誘導弾の射撃演習を行うと見られる。

南鳥島は、ミサイル射場がある伊豆諸島新島から1,800 lmも離れ、気象庁、海上自衛隊の駐在施設のある小さな島で、住民はいない。

図54:(東京都小笠原村)本州と南鳥島の位置関係。東京から南東へ直線距離1950 kmに位置する。

図55:(東京都小笠原村)南鳥島は一辺が約2 kmの三角形の平坦な島で周囲は珊瑚礁に囲まれている、北東vs南西に伸びる簡易滑走路が1本ある。珊瑚礁の外は急峻な断崖になっており、直ぐに数千メートルの深海になる。

図56:(陸自MAMOR)陸自最新の「スキャン・エーグルII」の発射状況。発射機の圧縮空気式カタパルトで発射する。機体の回収は「スカイフック」で展張した網に翼端を引っ掛けて行う。

図57:(陸自MAMOR)全長1.7 m、翼幅3.1 m、重量26.5 kg。地上遠隔装置でカメラ映像・赤外線センサーやデータを読み取り、ジョイ・ステイックで操作する。

図58:(統合幕僚監部)4連想発射筒から発射される[12式地対艦誘導弾]射程200 kmとされる。「能力向上型」は「25式地対艦誘導弾」と呼ばれ、射程は1,000 km〜2,000 kmと言われる。2026年3月に熊本県建軍基地第5地対艦ミサイル連隊に配備された。

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