国民民主党は解党し   政党助成金のたくわえを全額国庫に返還せよ


2019-01-31(平成31年) 元 文部科学大臣秘書官  鳥居徹夫

 

突如として、国民民主党と自由党の合流構想 

1月24日に政局が動いた。同日午前に国民民主党と、小沢一郎らの自由が衆参両院での統一会派結成で合意。自由の6人が国民会派に合流し、参院では「国民・自由」が枝野幸男らの立憲民主党の所属人数を抜き、一時的に野党第一会派となった。

ところが同日午後に、立憲民主党の福山哲郎幹事長と社民党の又市征治党首は国会内で会談し、参院での統一会派結成で合意した。

そのため「国民・自由」と「立民・参院社民」の所属人数は27人と同数になった。

その直後に、国民民主党の藤田幸久参院議員が離党を表明し、立憲民主党に入党届を提出した。そうなると「立憲・参院社民」は28人に増えて26人の「国民・自由」を上回り、会派人数の上では参院の野党第一会派を維持するハズであった。

しかし国民民主党は、藤田幸久の離党届を受理しなかったことから、両会派はいずれも27議員と同数で、どちらも野党第一会派である。

翌25日に、衆参両院で統一会派を結成した自由党の小沢一郎と会談した玉木雄一郎は、将来の自由党との合流を念頭に蜜月ぶりをアピールした。

玉木雄一郎は、22日段階ですでに小沢自由党との両党を合流させる方針で大筋合意したが、党内には何一つ話がなかった。国民民主党の所属議員には、まさしく寝耳に水であった。

玉木・小沢合意では小沢自由党が解党する形で、国民民主党に合流する方向で党内調整を進め、28日の通常国会開会前までに合流手続きを済ませる予定であったとされるが、国民民主党議員の反発もあり、同一会派にとどまった。

 

党内求心力も国民の支持もない玉木雄一郎

自由党の小沢一郎代表は、「平成の壊し屋」と言われていた。

あの7党1会派(社会党、新生党、公明党、日本新党、民社党、新党さきがけ、社民連、および民主改革連合)による細川護熙政権が誕生したときも、小沢一郎は政権基盤が弱体な細川ガラシア細工内閣と言われていたにも関わらず細川政権を私物化した。

細川総理は、突如として国民福祉税を打ち出した。これは新生党(当時)の小沢一郎や、当時の大蔵事務次官であった斉藤次郎が細川護煕首相をハイジャックし、政権トップの細川首相の言うことを聞けと言わんばかりの理不尽なものであった。

しかもこの国民福祉税構想は、政権与党内はもとより、支持団体の連合などにも、説明も論議もされていなかったものであり、

当然のこととして、猛反発した初代連合会長の山岸章らによって、小沢一郎は煮え湯を飲まされ、また細川政権の崩壊の大きな要因にもなった。

また3年3カ月の民主党政権でも、「幻想の小沢神話(選挙に強いとか政局のキーマンとか)」に翻弄され、さらに小沢側近の唯我独善ぶりは目を覆うものであった。そして総選挙で大惨敗し政権を失った。

一方、国民民主党は衆参あわせて60人近い議員がいても、支持率は1%程度に低迷しており、現職議員の離党が止まらない。

立憲民主党は、元東京都議の塩村文夏(あやか)を、夏の参院選東京選挙区(改選数6)の公認候補として擁立すると発表した。

塩村文夏は、すでに国民民主党で公認候補に内定したにもかかわらず、立憲民主党が引き抜いたのである。今後も党勢拡大に向け立憲民主党は、夏の参院選に向け藤田幸久のケースにみられるように国民民主党の議員を引き抜きもつづくのではないか。

しかも代表の玉木雄一郎に党内の求心力もなく国民へのアピール力も魅力もない。玉木が、小沢一郎に合流した新党の幹事長を要請したと伝えられるが、それは自分に魅力も指導力もないことへの焦りであろう。

 

「お山の大将」であり続けたい玉木に、小沢の毒牙が 

玉木は、「弱り目にたたり目」にある。党運営を小沢一郎の腕力でもって支えてもらうことによって、「お山の大将」であり続けたいのであろう。

両党の合流構想は、現職議員や支援団体の連合にも相談すらもなく、玉木の独断による。

これでは党の私物化であり、先に既成事実をつくったあとに党内に追認を求めるだけであり、党内民主主義もあったものではない。

玉木は、党内の現職議員や地方議員、連合など支援団体ではなく、明らかに小沢一郎を優先している。

実際、小沢一郎が幹事長となると、民主党~民進党と継続した地方組織や金庫を牛耳られてしまい、山本太郎など小沢の側近の選挙に組織や支持団体が割り当てられるのではないか、との危惧の声も強いという。

立憲民主党が参議院で、社民党に続いて沖縄の風(2議員)らと同一会派となれば、参議院で立憲民主会派が29名となり、国民民主会派を上回り野党第一党になる。

この対抗策として小沢一郎は、共産党も加えた共同会派を、国民民主党に持ち掛けることになるが、玉木は野党第一党を維持できることから歓迎する方向で国民民主党内をまとめようとするのではないだろうか。

それどころか小沢一郎は、突如として共産党との選挙協力を打ち出し、国民民主党の議員が付き合わされる羽目になるのではないかとも危惧される。

小沢は1月29日に、都内で神津季里生(リキオ)連合会長と懇談している。おそらくは参議院選挙での野党全体の候補一本化へ立憲民主党への働きかけを要請したのではないか。

 

労働組合員が支持する政党のトップは自民党 

今年支払われる予定の政党交付金の試算では、国民民主党に54億600万円。自由党の2億7500万円の約20倍とされる。国民民主党の資金は小沢一郎にとっても魅力的と言える。

壊し屋「小沢」が、次に壊すのは国民民主党となる。そうなる前に玉木降ろしの号砲を鳴らさなければ、国民民主党に明日はない。

連合は、昨年11月30日に参議院選挙に向けて立憲民主党と国民民主党と政策協定を締結したが、お世辞にも政策協定と言えるものではなかった。

中身に政策はなく、政局認識の確認文書を交わしたというセレモニーであった。

連合の構成組織における組合員意識調査では、基幹労連(2016年)や電機連合(2018年)の支持政党は、自民党がトップであった。

同様のことは2年前のアメリカ大統領選挙でもみられ、労働組合はクリントン支持であったが、労働組合員はトランプ支持であった。

労働組合がそのまま民主党と言うのは、とっくに幻想に過ぎなかったのである。

連合が国民民主党との関係を続けるのは、参議院比例代表の連合候補が政党所属でないと当選が見込めないからである。

連合に対し、自民党が政策協議を要請し協議をすすめるならば、連合構成組織は安心して国民民主党との腐れ縁を切ることができる。

国民民主党は、解党を余儀なくされるのは当初、参議院選挙後とみられていたが、参議院選挙前に連合をはじめとする支援者からも見放され、空中分解する可能性も否定できないのではないか。

もはや「小沢・玉木の不愉快な仲間たち」に明日という日はない。「死して屍拾うものなし」の、断末魔が国民民主党に迫っている。

この際国民民主党は思い切って解党し、たくわえた政党助成金を全額国庫に返還すべきであろう。(敬称略)

ー以上ー