「明治日本の産業革命遺産」情報センターに難癖、歴史捏造の韓国


2020年06月29日

元 文部科学大臣秘書官  鳥居徹夫

終戦間際の軍艦島は、世界遺産の対象期間ではなかった

平成27(2015)年にユネスコの世界遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」を説明する施設「産業遺産情報センター」(東京都新宿区)が6月から公開された。

この明治日本の産業革命遺産は、岩手や静岡、長崎や鹿児島など8県11市の23施設にわたる。

ユネスコの世界遺産に登録された『明治日本の産業革命遺産』は岩手や静岡、長崎や鹿児島など8県11市にまたがり23資産で構成され.る。

静岡の韮山反射炉や長崎の軍艦島、福岡の八幡製鉄所など、幕末から明治にかけ近代化を成し遂げた日本の産業資産の歴史的価値が認められた。

その対象期間は、ペリー来航の1853年からロンドンで日英博覧会が開かれた1910年まで。この1910年は、産業国家として日本がデビューした年とされる。

今回、公開された「産業遺産情報センター」には、対象期間の明治時代と全く異質な昭和19~20(1944~45)年の戦時の軍艦島(長崎市の端島)の展示コーナーがある。

それは日本の外務省が、ユネスコ登録が決まる際に、先の大戦の終盤に勤労動員(国民徴用令)や、軍艦島(長崎市の端島)に朝鮮半島出身者がいたことを明示すると約束したためとされる。

言うまでもなく、それは世界遺産が対象とする期間ではない。終戦間際の軍艦島は、昭和であって明治ではない。

韓国政府は当時、猛烈な反日ブロパガンダを展開していた。それは史実をゆがめた慰安婦の強制連行であり、先の大戦時における徴用工の強制労働キャンペーンである。

韓国政府が登録妨害のためにユネスコで配布した冊子には、朝鮮半島出身の徴用工として、北海道の炭鉱で働いていた日本人労働者の写真が使われていた。

つまり史実の歪曲、歴史の捏造をしていたのが韓国である。

 

◆「ウソの歴史を、日本は受け入れよ」という韓国 

韓国外務省は6月15日、「産業遺産情報センター」が公開されたことについて、「施設の展示に日本が約束した後続措置が全くなされていないことに強く抗議する。歴史的事実を完全に歪曲した内容が含まれ、甚だしく遺憾である」との批判声明を発表した。

昭和19(1944)年9月以降、国民徴用令に基づいて働いていた朝鮮半島出身者がいたのは事実だが、韓国側の言うような強制労働ではない。

当時の鉱労働がどこでもそうだったように、苛酷な労働条件にあったことはきちんと展示してある。労働者には内地人(日本人)とともに朝鮮半島出身の人がいたことも明示してある。

賃金の支払いを伴う合法的な勤労動員にすぎず、内地人も同じように働いていた。つまり朝鮮半島出身者の強制労働はなかったのである。

韓国は、ユネスコの権威のもとに、史実を曲げたウソの歴史を日本に押し付けた。

韓国の言い分は、「歴史の真実を展示するな」「ウソの事実を提示せよ」というのである。

また韓国は、「本人の意思に反する韓国人強制労働」を認め、情報センターの設立を約束したと強弁する。

ところが、そのような「本人の意思に反する韓国人強制労働」は、なかった。つまり展示しようがないのである。

日本側が現地で働いた経験のある人たち、そしてその家族らの証言を集めたところ、「強制連行され、差別的な地獄のような労働をさせられた」などという証言はなかった。もともとウソであった。

つまり虐待を受けたという元島民の証言はなかった。

逆に父親が軍艦島の炭鉱で働いた在日韓国人2世の元島民からは、「いじめられたとか、あれは朝鮮人とか、そういったことは全く聞いたことがない」という証言しか出てこなかった。

ところが朝鮮日報(6/22付)によると、過去を美化する内容のみの展示で産業遺産情報センターを開館したと非難した。

韓国は、軍艦島を「監獄島」などとレッテル張りをしたが、誰もそのようなことをいう元島民はいなかった。当然のことである。

 

◆「明治日本の産業革命遺産」は、人類共通の遺産

明治日本の産業革命遺産は、8県11市23施設ある。

軍艦島はそのうちの一つ。軍艦島では朝鮮半島出身者も大事にされていたのが歴史の真実。

このような日本を貶めるヘイトに対し、政府も民間も、韓国に謝罪と反省を求めていかなくてはならない。

ウソのプロパガンダを打ち砕き、正しい歴史と真実を世界に拡散することこそ、今を生きる日本人の任務であり役割である。

日本は、西洋技術を取り入れながら、自らの力で人を育て、産業を興し、産業国家となった。

海外の科学技術と自国の伝統の技を融合し、わずか50年あまりで産業化を成し遂げた日本の姿は、人類共通の遺産としてふさわしく普遍的な価値を持つ。

韓国が難癖をつけるから、ユネスコ世界遺産をやめればよいという声も、日本の一部からみられることは残念である。むしろ韓国を、ますます勢いづかせ一層の悪乗りを誘発することになりかねない。

外圧という困難な時代でありながら、産業国家をとなった明治日本の重みを認識することが、いままさに歴史教育に欠かせない。

世界に誇る「明治日本の産業革命遺産」を、正しく評価しアピールすることが日本に求められる。