NASA、電動プロペラ駆動の航空機開発に乗り出す


–ヘリと同じ垂直離発着(VTOL)ができ、飛行機のように高速巡航する長時間滞空型無人機の開発を目指す、将来はヘリコプターや有人機の代わるかも知れない–

 

2014-09-03 松尾芳郎

GL-10初飛行

図:(NASA Langley/David C. Bowman)8月19日米国の“航空記念日”に初飛行したGL-10試験機の50%モデル。安全のため係留索付きの飛行だった。GL-10は、 胴体内に小さい8hpのデイーゼルエンジンが2基あり、これで発電機を回し、各ナセルにあるリチウム・イオン電池を充電する。その電力でプロペラを回し飛行する。ホバリング時は10基のエンジン全部を使い、水平飛行時には両翼端の2基のプロペラのみを使う。

 

8月19日は米国の”National Aviation Day”、は”航空の進歩を祝う日で、オービル・ライト(Orville Wright)氏が1871年に誕生した日を選んで1939年に定められた記念日。米国政府の建物には国旗が飾られ、国民の航空に関する意識を高める。我国でも国民の空への関心を高めるため1940年(昭和15年)に9月20日を“航空日”と決め、現在の“空の日”に受け継がれている。

NASAラングレー中央研究所(Langley Research Center in Hampton, Va.)ではこの日を選んで、開発中の無人機”WGL-10 Greased Lightning”の50%スケールモデルの初飛行を実施した。初飛行は安全のため、係留索を付けて行われたが、今年秋には索無しの自由飛行を目指す。

“GL-10”は複合材製で、デイーゼル–電気推進ハイブリッド型エンジンを備えたテイルト–ウイング機体、主翼と水平尾翼には垂直飛行および垂直/水平遷移飛行用のエンジンが装着されている。主翼には8基、尾翼には2基あり、垂直上昇、降下時および垂直/水平遷移飛行時はこれ等全てのプロペラを使ってホバリングと遷移飛行をする。多数のプロペラを主翼に固定、プロペラを回すことで、テイルト時でも主翼面上の空気流の剥離が無くなり安定した遷移飛行ができる。

水平飛行時は主翼の6基と尾翼の2基の固定プロペラは折り畳まれてナセルに納められ、両翼端の2基の可変ピッチプロペラだけで前進飛行をする。

動力源は2基の8馬力デイ−ゼルエンジンで、胴体内に納められている。

NASAによると、このハイブリッド方式は、小型のGL-10試験機から大型有人機に至るまで広く適用できる、と云う。

GL-10は翼幅6.1m、でエンジンは前述の様に電動モーター10基を装備、動力源は8 hpデイ−ゼル2基、初飛行したのは50%のスケールモデルだがエンジンや動力源はGL-10と変らないようだ。

–以上−

 

本稿作成の参考にした記事は次ぎの通り。

Extreme Tech August 20, 2014 “NASA’s electric VTOL airplane takes first flight, aims to eventually replace the helicopter” by Sebastian Anthony

NASA August 19, 2014 “Testing Electric Propulsion”

Aviation Week August 25, 2014 page 31 “Distributed Power” by Graham Warwick