文書書き換え不祥事 – 安倍政権に責任転嫁の財務省‼‼


2018-03-24 (平成30年) 元文部科学大臣秘書官  鳥居徹夫

2018-03-25改定(文中の見出し修正)

 消費税率が来年10月に、8%から10%へ引上げが行われることになっているが、これまで2回も延期されている。延期した時の総理は、安倍晋三である。消費税引き上げなど歳入構造の安定化は、財務省の肥大化となり省益につながる。

3月19日の参議院予算委員会で、学校法人「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書が、財務省と近畿財務局で書き換えられるという不祥事に関し集中審議が行われた。

この質疑では自民党議員が「安倍晋三政権をおとしめるため、意図的に変な答弁しているのでないか」と財務省にただすという場面も見られた。

 

答弁に沿って決裁文書を書き換えた財務省

文書ではないが、かつて証拠改ざん事件というのがあった。

大阪地検特捜部が、厚生労働省の村川厚子局長(当時、のちに事務次官)を逮捕したものの、立件できるものがないため、証拠として押収したフロッピーを改ざんしたという事件があった。この事件では、大阪地検の取調官が逮捕され有罪となり、村川局長は裁判で無罪となった。

この大阪地検中枢による証拠改竄をスクープしたのは、今回と同じ関西の朝日新聞であった。

決裁文書の書き換えがあったのは、平成29(2016)年6月に森友側と国有地の売買契約を結ぶ際に作成された決裁文書などで、当初の決済文書にあった「総理夫人」などの記述が、昨年に国会提出された文書では削除されるなどしていたという。

国税庁長官を辞職した佐川宜寿は、理財局長の時に国会で「事前の価格交渉はなかった」などと答弁していた。ところが書き換え前の決裁文書には、価格交渉のやり取りがあったことから、佐川理財局長の答弁に沿うように書き換えられていたという。

佐川宜寿は3月9日、「国会対応に丁寧さを欠き、審議に混乱を招いた」などとして、国税庁長官を辞任した。麻生大臣は佐川宜寿を懲戒処分とし、財務省は3月12日に国会に書き換えがあったことを報告した。

 

これでは「麻生太郎局長、太田充大臣」ではないか

文書書き換えの動機について麻生財務大臣は、3月14日の参院予算委員会集中審議で、「佐川(宣寿前国税庁長官)の答弁と資料の間に齟齬(そご)や誤解を招かないことが主たる目的」と述べるとともに、「偉い方々を忖度(そんたく)したわけではない」と答弁した。

財務省は「価格交渉はしていない」と国会答弁していたが、3月2日に、決裁後の文書書き換えが朝日新聞によって報じられた。

安倍総理は、昨年2月17日の衆議院予算委員会で「私や妻が関係していたということになれば、首相も国会議員も辞める」と答弁していた。

財務省不祥事への批判を、こともあろうに安倍内閣への攻撃に転嫁したのが財務省官僚であった。

麻生太郎財務相は3月14日の参院予算委員会集中審議で、「偉い方々を忖度(そんたく)したわけではない」と答弁し、総理発言が影響はなかったと断言した。また麻生財務大臣は、16日の閣議後記者会見で、「法令に基づいて適切に行われたとの答弁をずっとしている」「総理発言が影響を与えているものではない」とも発言していた。

ところが財務省の太田充理財局長は、19日の参院予算委員会で、「(書き換えは)総理、大臣もご答弁があるので、政府全体の答弁を気にしていたのはそうだと思う」「(書き換え前の記述は)首相夫人ということで(載った)と思う」と、麻生大臣の答弁・発言を否定したのであった。

さらに太田充理財局長は、文書改ざんの動機について「政府全体の答弁を気にしていた」と述べ、昭恵氏に関する記述が「首相夫人ということで(載った)と思う」と、文書の書き換えに忖度があってもおかしくないと、ボヤっとした思わせぶりな答弁を行った。

つまり麻生財務大臣の「総理発言の影響はなかった」との発言を否定するものと言わざるを得ない。これは「太田大臣、麻生局長」というべき下克上ではないか。しかも野党や一部マスコミと同様の倒閣の意図も感じられる。

かつて「佐橋次官、三木大臣」と揶揄された出来事もあったが、それを彷彿させるものであった。(三木武夫通産大臣の答弁を、事務次官の佐橋滋が大臣答弁を否定した。昭和40年代のこと)

 

財務省決裁文書の書き換えは理財局内部

3月2日の朝日新聞の書き換え報道のあと、5日に国交省から「書き換えの可能性がある」と官邸へ報告があったという。官邸は、財務省に調査を求めたという。ところが矢野財務省官房長から、麻生財務大臣へは連絡されなかったという。

そもそも決裁文書の書き換えが判明したのは、大阪地検で押収された文書と、理財局から国会に報告された文書が食い違っていたからであった。それを東京でなく関西の朝日新聞がつかんでスクープしたという見方が強い。つまり決済文書書き換えは、財務省内部の問題である。

参議院予算委員会の質疑で、太田理財局長は「理財局の一部の本省職員がやった。本省理財局の外や大臣から指示や相談はしてない。近畿財務局は本省の指示でやった。国会答弁で誤解されないためにやった」の答弁していた。

籠池の証人喚問から1年後の参議院予算委員会(3月19日)でも、安倍総理も麻生太郎財務相も財務省決裁文書の書き換えについて「指示したことはない」と改めて強調した。

また森友学園の籠池泰典理事長(当時)も、昨年3月23日の国会証人喚問において、安倍首相にも昭恵さんにも「何も頼んでいない」と証言している。

西田昌司「安倍さんに何を頼んだのですか?」

籠池泰典「安倍さんには、何も頼んでいません」

西田昌司「昭恵さんには、何を頼んだのですか?」

籠池泰典「副読本の内容や教育カリキュラムについて相談しました」

 

官僚にとって困るのは政治主導

財務省にとっての最大の懸案は、来年10月に消費税を8%から10%に着実に引き上げることであるが、今回もデフレ脱却が道半ばとして、再々延期の動きも与野党に強い。しかも安倍内閣は、消費税の税率アップには否定的とみられる。

財務官僚は、「倒閣」を考えることさえある。いつも官僚は、自分たちは被害者だと決めつける。官僚が忖度するのは上司など省内の派閥動向である。

財務官僚にとって首相や大臣は、消費税アップに抵抗しないことが関心事である。

小沢一郎ではないが「神輿は軽くてパーが良い」わけで、誰でもどうでもよいわけなのである。 (敬称略)